電子書籍
機龍警察 未亡旅団
著者 月村了衛(著)
チェチェン共和国から侵入してきた女性だけのテロリスト集団、『黒い未亡人』と特捜部との壮絶な闘いを描く至近未来警察小説。日本SF大賞&吉川英治文学新人賞受賞シリーズの最新第...
機龍警察 未亡旅団
機龍警察未亡旅団 (ハヤカワ・ミステリワールド)
商品説明
チェチェン共和国から侵入してきた女性だけのテロリスト集団、『黒い未亡人』と特捜部との壮絶な闘いを描く至近未来警察小説。日本SF大賞&吉川英治文学新人賞受賞シリーズの最新第4弾 チェチェン紛争で家族を失った女だけのテロ組織『黒い未亡人』が日本に潜入した。公安部と合同で捜査に当たる特捜部は、未成年による自爆テロをも辞さぬ彼女達の戦法に翻弄される。一方、特捜部の城木理事官は実の兄・宗方亮太郎議員にある疑念を抱くが、それは政界と警察全体を揺るがす悪夢につながっていた――世界のエンタテインメントに新たな地平を拓く“至近未来”警察小説、衝撃と愛憎の第4弾。
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日本を跋扈するチェチェンの魔女たち
2016/02/13 21:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やきとり - この投稿者のレビュー一覧を見る
自爆テロという凄まじいオープニングで始まる本作、今回はテロリスト側、特捜部の両視点で物語は進行。チェチェン紛争での語られない実態が引き金となって女だけで構成されたテロ集団「黒い未亡人」の結成に至る前半は圧巻で敵ながら天晴れと応援したくなった。また中盤の由起谷の活躍も取り調べ室で最高潮に達するなど相変わらず警察小説としても手堅く纏めている。そしてテロの最終目的が判明してからの流れは一気呵成に話が流れ出すので最終頁までやめられない。
またお約束の戦闘シーンは機甲兵装でのバトルだけでなく生身での戦闘シーンも用意されており、堪能できます。地雷や自爆など苛酷な状況が展開しシリーズ一の甚大な被害が出るほどの凄惨な戦い。そして相変わらず暗躍する「敵」もようやく尻尾を出した感じで多少話は進みますが全貌はまだまだこれから。
しかし前半のチェチェン市民の窮状を読むのはきつかった。あまりにも酷い現実に理想を掲げ崇高な使命を持って生まれた組織がその現実によっていつの間にか歪んでしまうという皮肉、そして本作のテーマでもある「母性」。女性の女の部分と母の部分、そして愛情と憎悪という二面性の間で翻弄される人々。「黒い未亡人」3人のリーダーのキャラがライザ以上に強力で、これだけでも読む価値アリです。
とにかく最新作が一番面白いという読者にとって幸せなこのシリーズ、次巻も期待しております。