紙の本
江戸時代後期を代表する滝沢馬琴によって著された大長編怪奇小説です!
2020/05/17 11:02
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、江戸時代後期に曲亭馬琴(滝沢馬琴)によって著わされた大長編読本で、刊行から数えて28年をかけて完成したと言われています。原本は全98巻、106冊から構成されています。江戸時代の戯作文芸の代表作で、日本の長編伝奇小説の古典の一つでもあるとされています。河出文庫では上下2巻シリーズで刊行されており、同書はその下巻です。内容は、室町時代後期を舞台にして安房里見家の姫・伏姫と神犬八房の因縁によって結ばれた八人の若者(八犬士)を主人公とする物語です。共通して「犬」の字を含む名字を持つ八犬士は、それぞれに仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌の文字のある数珠の玉(仁義八行の玉)を持ち、牡丹の形の痣が身体のどこかにあります。関八州の各地で生まれた彼らは、それぞれに辛酸を嘗めながら、因縁に導かれて互いを知り、里見家の下に結集していきます。ぜひ、江戸時代の怪奇小説を一度、読まれては如何でしょうか?
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年始にお正月らしいことをしたと言えは2日3日の二夜連続放送されたTBS50周年記念の
5時間ドラマ「里見八犬伝」を観たことぐらいである。ドラマの感想はひとまず置いて、
ドラマを観たことがきっかけで原典の「南総里見八犬伝」を読んでみたくなった。
「里見八犬伝」というタイトルを最初に知ったのは薬師丸ひろ子、真田広之出演、
深作欣二監督の角川映画だった。この映画は馬琴の作品の映画化ではなく鎌田敏夫が
新解釈で書いた小説「新・里見八犬伝」が原作。映画は当時観ており深作欣二らしい勢いの
ある演出は迫力があったが展開がセカセカして落ち着かない印象が残っている。鎌田敏夫の
小説「新・里見八犬伝」はいつ手に入れたのか自分でも覚えていないが持っているので
いずれ読んでみるつもりだ。その後、山田風太郎が忍法帖シリーズにアレンジした
「忍法八犬伝」を読み、同じく山田風太郎の「八犬伝」を読んだ。「八犬伝」は八犬士の
活躍を描く「虚の世界」と執筆を続ける原作者・馬琴を描いた「実の世界」、2つを
交錯させてつくられたもので「作家と作品の関係」を書こうとした山風版「八犬伝」は
崇高なラストシーン迎える。これには感銘を受けたし忘れがたい作品である。しかし今回は
「南総里見八犬伝」の物語そのものに入り込んでみたい。といっても馬琴の原作は
岩波文庫から現在入手できても読みこなす自信がない。様々なリライト版が出版されている
中でも、より馬琴の原作に近いと思われる白井喬二による現代語訳版を選んでみた。伏姫の
自害とともに体から飛び散る8つの珠の鮮烈なイメージにまず引き込まれる。登場する
八犬士達にはそれぞれの身上や目的があり、彼らがが出会い離散を繰り返し様々な事件に
遭遇。一つ一つの挿話が幻想的で化け猫が登場するなど怪談めいたものもあり因縁に
因縁が絡みエピソードがぐいぐい膨らんでゆく。白井喬二の訳文が切れ味よくテンポを崩す
ことなく読み進む。後半、八犬士の中で犬江親兵衛だけが一人歩きして大活躍するところ
など迷走っぷりも面白い。物語が終盤に近づくにつれ、章立てを見るに原作の省略が目に
付くようになる。物語としてはついに八犬士が集結する場面が最大のクライマックスに
なるだろう。「作者二十年の腹稿は今にして小団円を見たのである」というこのくだりの
文章は馬琴の原文で読んだ方がより深い感慨を味わえたであろうとは思うのだが…。最後の
合戦の部分だけでも原作は膨大な量らしいがここは大胆に切り捨て一章にまとめ物語は幕を
降ろす。原作を読んでなくても「南総里見八犬伝」をバランスよくリライトしようとした
白井喬二の意向は伝わってくるし最後まで楽しく読むことができた。読んでいて不思議と
懐かしいような気持ちがするのは「南総里見八犬伝」と言う物語に影響された漫画、映画、
小説等が日本にはたくさんあり��ういった作品群の古里を垣間見たからかもしれない。
前後するけどTBSのドラマはなんだか画面が中華風で細かいことを言えばいろいろと文句が
あるものの総じては楽しく観ました。本を読んでみれば意外や、原典に沿った筋書だったし
5時間でコンパクトに上手くまとまっていた。八犬士の名前が犬飼、犬川、犬塚だのよく
似てるのがドラマでヴィジュアルのイメージがあったおかげで本を読んでるときも
混乱せずにすんだしね。本ではあまり登場しない玉梓を最大の悪役に持ってきたことで
話がスッキリとしたし演じる菅野美穂には妖艶さがあった。悪女・舟虫がドラマでは運命に
翻弄される悲劇の女になっているのも面白い解釈をしていたんだな。これでヒロイン浜路役
の綾瀬はるかにもうちょっと魅力があったら良かったんだけどねえ。
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前半に比べて、後半は急いで終わらせてるような感じがしました。
まぁ、連載小説だったらしいからしょうがないけどね。
ハッピーエンドの持って行き方があんまり好きではなかったです。
典型的な勧善懲悪!!になってました。
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一騎当千の兵で義に厚い八犬士がとても格好良かった。
しかし、江戸時代にこんなファンタジー小説が生み出されるなんて、自分が思っている以上に江戸時代の文化は豊かだったんだろうな。
そういえば、家の祖先は辿って行くと南総館山の出らしい。
自分たちが暮らす土地を舞台に紡がれる物語を、当時の祖先は、どんな気分で読んでいたんだろう。
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ちょっと前巻に比べて早足な印象。とはいえ、ただ八犬士を出すだけじゃなくてそれぞれに因縁があるので、ただ単調に勧善懲悪な作風にならないのがよかった。
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読み終わってしまうのが、悲しくてたまらない…といった感じで残りのページをめくってしまった。京都編も入っていて、読み応え抜群!
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現代語訳とは言ってもそれなりに昔の言葉なのでわかりづらいぶぶんはある。
仕えた主人の横のつながりや昔の功によるつながりが物語のなかでも重要になるのだが、八犬士それぞれの物語が描かれているので、それが途中で分からなくなる。
でもわからなくても話は楽しめる。現代ではあたりまえのファンタジーアドベンチャー小説だか、江戸時代にこのような発想ができたことはすごい。終わり方がかなり寂しいが、それまでのハ犬士の活躍ぶりは映像として目に浮かぶぐらい鮮やかに描かれている。
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舞台にアニメに漫画にエトセトラエトセトラ、二百年経っても終わらないコンテンツ・曲亭馬琴さまの大著「南総里見八犬伝」のおそらくもっとも読まれているであろう白井訳その下巻。巻末に馬琴の年譜、多田道太郎氏の解説つき。
上巻に引き続き下巻。庚申山・なみだの雛衣編から終わりまで収録。やはり鈴ヶ森の仇討ちはアツいね、川を挟んでの孝嗣君と道節毛野の問答もすっごい好きなところだ。それはいいとして半分くらいになってもまだその辺りで、親兵衛が出てこない…こりゃあ後編省略の嵐なんじゃないかと戦々恐々してたら段々二回を一回にまとめたりクライマックスの管領戦なんかは一気にまとめてって感じになってたです。一回一回逐語訳とはいかないまでもちゃんとさらってくれてるもんだと思ってたぜ。個人的には施餓鬼法要の描写とか百八十回勝(だったけなー)のゝ大様の字解きのやつとかなくてすげー残念だったのですが。牡丹の痣の謎解きね。あれ重要だろう…
でもまあ流れはこれで掴めると思うので八犬伝読んでみたいけどいきなり原文アタックするのはちょっとって人にはとりあえずお薦めしておく一冊と言う感じです。
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メタフィクションというのかな、読者に向けた語りが含まれてて、江戸時代からこういう表現が使われれてたのか~と少し感動した。
上巻は感動的な場面が沢山あった。対してこの下巻は話の展開が早すぎて、感動する暇がなかった。最後の方は転がるようにお話が進んで、ぶった切るような幕切れだった。目が点。お話自体は相当面白いので、いつか原書を読んでみたい。
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登場人物の名前が覚えきれない分、過去のいきさつ思い出すのに行った入り来たりで疲れてしまったが、この物語は現代の感性にも耐えうる痛快小説。
今まで読む機会がなかったのが不思議なくらい魅力的な物語。善悪交差する場面が魅力だが、悪役にもどこか憎みきれないところがあり、現代小説の救いようのない悪とは違い読後感は良い。
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上から下に移るのに、時間が経ってしまったので、最後の戦いに出てくる人たちの事をほとんど忘れてしまって、細かい内容がよくわからなかったのが残念だった。
また時間が出来たときに、今度は一気に読みたい。
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下巻感想では登場人物について書いてみる。
八犬士たちは、以下出てきた順で。
【犬塚 信乃 戍孝(いぬづか しの もりたか):孝の玉】
最初に出てきたためか、出番も多く祖父母の代から自分の子供自体の生い立ちまで詳しく書かれる。読者に「犬士たちはこんな感じで出てくるからね」という紹介も兼ねてるのかもしれない。
【犬川 荘助 義任(いぬかわ そうすけ よしとう):幼名額蔵。義の玉】
母は行き倒れ、信乃の叔父夫婦の下男としてタダ働き。信乃とは跡取り息子と下男として出会い、互いが同じ玉を持ち、祖父の代からの宿縁を知り、義兄弟となる。
今後他の犬士たちが出会って義兄弟となって行くのだが、読者に初めて「犬士同士が出会い、自分の宿業を知り、犬士同士で義兄弟となる」を示す例なんでしょう。
犬士として活躍する前に「孤児となり、下男としてこき使われ、主人の仇を売ったら殺人者の濡れ衣で捕縛、拷問され、あやうく処刑されそうになる」という、犬士の中では案外酷い目に合っている。
【犬山 道節 忠与(いぬやま どうせつ ただとも):忠の玉】
初登場時はほとんど山師(笑)。父とその主君の仇を狙い、怪しげな術で金稼ぎ。
「火遁の術」「仇討のため全国巡り」というキーワードで、私の勝手なイメージでおっさんだと思っていたんだが、まだ20歳ちょっとの凛々しい顔立ちの若者だったようだ(笑)。
信乃の許嫁の浜路とは異母兄妹で、瀕死の浜路に再会(ほぼ初対面だけど)し、妹が虫の息で「信乃さまにこの名刀村雨を届けてください」と願うのを「いや、ちょっと仇討に借りる」と一時的に無視するという、実に自分の都合に真っ直ぐな人である(笑)
【犬飼 現八 信道(いぬかい げんぱち のぶみち):信の玉】
足利成氏に仕えていたが、成氏の怒りを買って投獄されていたところ「曲者が城に入った!ひっとらえろ!」との命令により牢から出される。
その曲者とは信乃の事なんですけどね(笑)。二人は城の天守閣で決闘を行う。
この場面は子供の頃の私が一番好きな場面で、いくつもの本を借りてはこの部分を読んでいた。
【犬田 小文吾 悌順(いぬた こぶんご やすより):悌の玉】
小文吾の母が幼い現八を育てた。
親孝行で相撲が強く地元では頼りにされ…まあ地元の若衆のアニキですね。
【犬江 親兵衛 仁(いぬえ しんべえ まさし):仁の玉】
子供の頃から私は「仁」は「ひとし」だと思い込んでいた。この字で「まさし」って読むって知らなかったわ。
小文吾の甥。初登場時4歳で、すぐ神隠しに合い(伏姫の神霊に守られていたんだが)、割と終りのほうまで出てこない…んだが、出てきたと思ったら八つの人徳の最上級「仁」の玉に相応しく縦横無尽の大活躍。再登場時10歳だが18歳くらいの外見に知力腕力、一人で城一つ掌握するとか神薬を持ってるとか使者として京都に向かったら気に入られて困っちゃったとか、人間扱いしていいのかこの人。里見八犬伝連載28年の間で想像すれば、5年目くらいに出てきてすぐ行方不明になった子供が25年目くらいに出てきていきなりほぼ主役と言う感じかなあ。当時���読者は混乱しなかったのだろうか(笑)
さて、八犬士たちはラストでそれぞれ里見の姫と結婚するんだが、仁のお相手は一の姫。いったいどのくらいの姉さん女房なんだろうとは昔からの疑問(笑)
【犬坂 毛野 胤智(いぬさか けの たねとも):智の玉】
父は城主、側室だった母が落ち延び、三年身籠って産まれた。父の仇討のために女曲芸師として修行を積み、武芸知略に優れ、里見家にの軍では智将として参謀役を務める。
…だなんて十分主人公たる経歴だというのに、この話では八犬士の中の一人に過ぎないとは贅沢と言うかなんでもありと言うか(笑)
亡父の仇討場面はなかなかの迫力。
【犬村 大角 礼儀(いぬむら だいかく まさのり):礼の玉】
幼名は角太郎。
父の一角は腕に覚えのある郷士だったが、化け猫退治に出たが返り討ちにされ、その化け猫は一角になり替わる。化け猫の一角は現八により傷を負う。そして角太郎の妻雛衣(ひなぎぬ)の腹を裂きその胎児の血と母の心臓を混ぜたものを飲めば治ると、雛衣に自害を迫る。
化け猫退治は中盤の見せ場。八犬士たちがあまりにも強いので常人では敵として迫力不足、化け猫でやっと相手になるというか。
私はスーパー歌舞伎でこの化け猫の場面を観たことがありますが、早変わりや一人数役、だんまり(暗闘。暗闇で戦っているという設定を明るい舞台で演じる)を使ってのなかなかおどろおどろしさだった。
…こんな八犬士全員が一堂に会した時は馬琴先生も嬉しさを隠しきれない様子。
第9集 巻の19 第126回
ああ、時なるかな、命なるかな、八犬はいよいよここに勢ぞろいして、ヽ大の縮望空しからず八行の玉は一つに繋がれたのだ。読者各位もおのずから微笑されるであろう。作者二十四年の腹稿は今にしてその小団円を見たのである。
さて、こんな犬士たちに対する適役ですが、やはり相手になるのは物の怪の類、生身の人間ではどうも物足りない。
里見家に最大の呪いをかける玉梓(たまずさ)、中盤の見せ場を作る化け猫、終盤は玉梓の呪いを受けた化け狸。
人間の敵で頑張ったのは、毒婦船虫(ふなむし)か。犬士たちの、特に小文吾の前に現れては邪魔したり命を狙ったり宝を奪ったり。夜鷹になったり強盗になったり人殺ししたり強かに悪道を行き、人間の中では活躍した方の悪役のため相当壮絶且つ凄惨な迎える。
乱世の合戦相手は鎌倉公方足利家、関東管領扇谷家が主だったところ。
(…余談ですが、子供の頃の記憶で「扇谷」を迷わず「おうぎがやつ 」と読めましたよ(^-^))
しかしやはり所詮は生身の人間、神となった伏姫のご加護がある里見家に適うわけがない。
さて、化けもんが出てくるのだから怪しげな民間療法?もいろいろ出てくる。
「破傷風の傷には、男女の血を五合ずつ混ぜたものを濡れば治る」⇒実際にそんな血を被ったら瞬時に完治。
「百年物のマタタビと、妊婦の血と、その胎児の血を混ぜたものが薬になる」⇒親孝行のために了解して自害する女性…
「子供の血を親の髑髏で受け止めたら血は零れない」⇒それで野晒し頭蓋骨が父の物と証明された。
滝沢馬琴のその時代には実際にこういう呪いや代々伝わったものがあったのですね。
滝沢馬琴はこの話を28年かけて書き、実際は膨大な量になるのですが、この版だと現代語訳が分かり易く実にサクサク話が進み実に読みやすい。読んでいたら子供の頃の感覚が蘇り、やっぱり全部の版を読みたくなってしまった。
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むずい、、、
船虫が死ぬところはなかなか見応えがあった。
解説読んだけどこれは獣達のある意味擬人化した話だったのか、、、
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行方不明だった新兵衛くんが満を持して登場し、遅れを埋めて余りある御活躍。子供向け読んだときは断然荘助くんが良かったけど毛野ちゃんもかっこいいなあ。
あと犬士たちがことあるごとにお互いを褒めまくるのかわいい、仲良しさんかよ
解説に小難しいこと書いてあったけど私は普通にエンタメ小説として楽しみました。
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うーん、期待が高かった分、あまり楽しめなかった。
さすがに八犬士が揃ったところは感動したけど、とにかく登場人物が多すぎてそれぞれに感情移入できなかった。