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一般書

電子書籍

エアーズ家の没落 下

著者 サラ・ウォーターズ , 中村有希

相次ぐ不幸の結果、当主のロデリックが去ったハンドレッズ領主館は、ますます寂れ、倹約を余儀なくされていた。残されたエアーズ夫人と令嬢キャロラインの身を案じるファラデー医師は...

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エアーズ家の没落 下

税込 1,019 9pt

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エアーズ家の没落 下 (創元推理文庫)

税込 1,100 10pt

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商品説明

相次ぐ不幸の結果、当主のロデリックが去ったハンドレッズ領主館は、ますます寂れ、倹約を余儀なくされていた。残されたエアーズ夫人と令嬢キャロラインの身を案じるファラデー医師は、館への訪問回数を増やしていく。やがて、医師とキャロラインの間には、互いを慕う感情が芽生え始めるのだった。しかし、ふたりの恋が不器用に進行するさなかにも、屋敷では異様な出来事が続発する。事態は、最後の悲劇へと向けて、まっしぐらに進んでいくのだった……彼らを追いつめるのは誰? ウォーターズが美しくも残酷に描く、ある領主一家の滅びの物語。たくらみに満ちたブッカー賞最終候補作。/解説=三橋曉

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みんなのレビュー37件

みんなの評価3.8

評価内訳

紙の本

信用がならない語り手が語る、幽霊屋敷譚

2010/10/05 19:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:mayumi - この投稿者のレビュー一覧を見る

 かつて隆盛を極めたエアーズ家が没落していく。
 その姿を主治医の視点から描く。

 とはいえ、主治医ファラデーがエアーズ家に出入りする段階で、土地は切り売りされ邸宅は荒廃している。しかも使用人は、家に悪霊がいると言い出す。

 ホラーであれば、怪異を体験するのは語り手なのだ。
 が、ファラデーは決してそれを認めない。
 彼の根底には、上流社会に属しているエアーズ家の嫉妬がある。

 また、悪霊がいると、エアーズ家をでていきたがっていた使用人は、結局ずっとこの家に居続けた。

 誰一人として信用がおける語り手が、傍観者がいないのが、この物語の恐怖の源なのかもしれない。

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電子書籍

美しく残酷な物語

2022/03/12 16:31

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:藍花 - この投稿者のレビュー一覧を見る

かつて隆盛を極めながらも、今では土地を切り売りしてハンドレッズ領主館でひっそり暮らすエアーズ家の人々。

静かに崩壊していく様が美しく残酷な物語でした。誰よりも館に取り憑かれていたのはあなただったのですね。

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紙の本

館の描写がすごい!

2021/09/30 21:43

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る

下巻に入って館の怪異現象はますます勢いを増してゆく。パタパタという足音、隠れた壁にいつの間にか現れる幼くして亡くなった少女の落書き。これに心を乱されるのは、エアーズ夫人だった。
子供部屋と地下の厨房をつなぐ笛付きの伝声管の恐怖感がホラー映画みたいだ。その部屋の細かい様子まで、一々目に見えるほどの臨場感、そして一切の種明かしはない。
そして夫人は、痛ましくも謎めいた状況で死を迎える。

このあたりで、この物語の主人公はこのハンドレッズ館そのものであるとはっきりわかってくる。その兆候にいち早く気付いていたのは、メイドのベティだったが、理性的なはずのキャロラインさえも、「超常的な何かの力」を感じ始める。だが館に感傷的な憧憬を抱いているファラデー医師は、あくまで神経のせいだと言い続けて、家族を次々と施設送りにしようとする。
このファラデーの態度と行動にどうも違和感を感じて仕様がない。たしかに表面上はキャロライン第一の気遣いと奉仕のように見えるが、実際のところ当主のロデリックを施設に追いやり、女性たちが自分だけを頼るしかないようにするための効果的な誘導とも見えるのだ。
そして、キャロラインが自分の意思で館を出ていこうとした矢先に訪れた不可解な転落死。館はすべての門に閂がかかり、その合鍵はファラデーだけが持っている。
問題の夜、彼は疲れ切った体と心を抱えたまま館近くの森の中に一人でおり、その記憶は夢とも現実ともつかない曖昧なもの。
検死審問でベティの口から語られる、キャロラインの死の直前の言葉。これを聞いたファラデーは恐怖に震えながら証人席に立つ。
実際に彼がその夜館に行ったという証拠はないが、キャロラインはおそらくその姿を目にしたのだと思われる状況だ。
だが、それは彼自身というより、失望と焦燥にかられた彼の心が、実体をもった姿をキャロラインに見せたのではないだろうか?
とにかくはっきりした謎解きはないまま、3年たった今も取りつかれたようにそっと部屋部屋を見て回るファラデーの姿を示して、余韻を残しつつ物語は終わる。ラストの館そのものの描写が素晴らしい。やはり主役は最初から最後までこの館そのものだったのだと
納得できる。誰も住む人のいなくなった館は、やっと自由を満喫し、誰の制約も受けずに悠々と自ら生きることを楽しんでいるのだ。

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2010/09/24 12:43

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2010/12/12 23:47

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2010/10/05 20:09

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2010/10/14 19:31

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2010/10/22 23:06

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2010/10/28 20:55

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2011/02/14 23:20

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2010/11/05 23:57

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2010/11/12 11:55

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2010/12/11 14:37

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2011/01/17 16:13

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2011/02/03 10:36

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