紙の本
「ジャーナル」とはなにかが、本書のキーワード
2016/02/27 13:34
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぱこちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
女児誘拐事件の被害者とその家族、捜査当局、そして新聞記者たちの営為を社会部新聞記者の目から捉え、小説として練り上げたところが、とても新鮮である。
また、新聞記者同志が交わす複雑な心の「貸し借り」、ベテラン記者から新人に伝えられる仕事の仕込み方、そして記者としてのメンツをかけて「とられたら取り返す」と息巻くような、同業他社との、あるいは支局と本社との競い合いなど、新聞の一読者には窺い知ることが出来ない、新聞社の「フツーでないところ」が見事に曝されているところも、また興味深い。
新聞社といえば暑苦しく男臭いものを連想してしまうが、本書では女性記者の折り目正しさと、ここ一番で見せるツッコミの鋭さもよく表現されており、女性活躍時代に入りつつある報道の現場の雰囲気が、よく伝わってくる。
冒頭から結末まで、一貫して楽しむことができた。
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あっという間でした
2016/02/26 10:15
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:壱太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めから心を持っていかれて、休みを入れることが出来ないまま読み終えました。続きが気になりすぎて、お茶を飲む暇もないくらいでした。最後のページにたどり着いた時は、緊張しすぎで肩が凝ってました(笑)
夢中になりました。面白かったです。
誤報…それも生死に関わる誤報というとんでもない所から話は始まります。
新聞社としての建前、記者としての責任、記事の正確性かつインパクト。とくに、責任について考えさせられます。
新聞記者はいらないのか?という問いかけがあります。その問いかけに真剣に悩んでしまいました。
流し読み・見出しだけ読みをしていましたが、新聞を真面目に読もう!と思いました。
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者は、元産経新聞の浦和支局の記者で、サンスポも経験しているとか。支局貴社の気持ちやレッズの話が盛り込まれているのも納得。市トーリーも面白いが、やや調子が良すぎる感もアリ。豪太郎が主役なのだが、途中、祐里が準主役以上の存在になるなど不満も。二人主役なら、それはそれで良いのか。にしても、豪太郎のキャラクターが今一つ曖昧。産経で外回りだった割に、整理部にも詳しいのは意外。経験があったのか。
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それはジャーナルではない!
2016/05/05 08:51
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み終えた後も、豪太郎の声が聞こえるようだ。
新聞記者をメインにした小説は初めてだけど、警察小説でおなじみなので、一気にのめり込めました。
面白い。
おすすめです。
7年前、児童連続誘拐事件を追う豪太郎、祐里、マツパクの3人の「被害者女児死亡」大誤報から物語が始まる。
それぞれが大誤報の傷痕を背負いながら、それぞれの場所で生きている。
大誤報による被害者家族への罪の意識を背負いながら新聞記者を続ける3人。
そんな時に、さいたまで児童連続誘拐事件が発生。
新聞記者の戦い、社内での戦い、警察への取材、緊迫した取材合戦が始まる。
書くという事は何のためなのか。
特ダネを追い続ける事が全てなのか。
祐里は、特ダネを狙うばかりに誤報をしてしまいたくさんの人を傷つけてしまった事を忘れない。
豪太郎は、記事を書く事は捜査を担う警察と同じ責任を持つ事だと心に誓う。
初めて読んだ作家。
新聞記者を退職後に小説を書き始めた事を知った。
他の小説を読むのも楽しみです。
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もうひとひねりあれば
2017/11/16 00:50
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投稿者:ずんのすけ - この投稿者のレビュー一覧を見る
誘拐事件を題材にした特ダネを追う新聞記者達を描いた小説。記者出身の筆者ならではの細かい描写がより迫力ある、また真に迫るストーリーにアクセントを加えているが、肝心の事件の謎の書き方が少々乱雑で興味を引きにくい。事件の解決もあっさり解かれてしまい、ミステリーというより記者小説といった感じです。
筆者の小説は好きな方ですが、今回は長編の割には中身が薄く、短中編だったらもう少し面白く読めたと思います。
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★ざっくりとしたあらすじ
チームを組んでいた新聞記者が誤報を出してしまい、人命や被害者家族の気持ちなどを考えていないと世の中から叩かれ、事実上左遷されチームはばらばらになる。
主要記者だった主人公の豪太郎が誤報と言われた記事の中にあった犯人は2人組かもしれないという記載が、とある事件を気に正しかったのではないかと思い始め行動を起こし始める。
過去に協力して記事を作った仲間がいつのまにか集まり、事件の真実を突き詰めてゆく。
新聞記者の仕事ぶりもよくわかる、記者魂の熱い一冊。
★感想
私の思う新聞と新聞記者へのイメージが、偏見や誤解なんだと本書を読んで知り、とても衝撃でした。
本書を読むまでは、新聞というと、事件記事の扱いが大きく内容もセンセーショナルで、人の不幸が際立って目に入る読み物という印象でした。
記事も警察発表などの事実を文字にしただけのベタ記事で、各社記事の内容の差もほとんどなく感じていたので、新聞記者は、いち早く事件を知る必要があるものの、警察発表を待っていればいいだけの楽な仕事だと思っていました。
情報もネットの素人を追いかけるように出るので、新聞記事になったときには古さを感じます。
本書を読み始めるまでは、そんな悪い印象ばかりでした。
しかし、本書を読み、新聞記者の細かい仕事ぶりに驚きました。
事件の警察発表後に、細部や被害者家族が黙っていて欲しいと警察にお願いした裏事情まで入手して、全体を見据えたうえで重要な箇所を記事にするとは意外な事実で驚きました。
マスコミにはいいイメージがなかったので、ちゃんと仕事しているんだ! と変に関心してしまいました。
情報を入手するための警察官との駆け引き、記者や警察に情報を流して相手の動きを即したり、様子をみたりする巧妙な心理作戦にドキドキしました。
本書では、女児誘拐強姦殺人という極悪非道な事件を扱っているので、悲惨な内容を最後まで読めるか不安でしたが、主人公の豪太郎記者の執念強い仕事ぶりにいつしか感情移入して読みふけっている自分がいました。
記事が注意喚起になり、次の事件を抑止できる、そのために取材し続ける記者たちにハッとさせられました。
私は新聞やマスメディアは、人の不幸でご飯を食べている嫌な仕事だと否定的でしたが、ミッドナイト・ジャーナルを読んでこの考えが一変しました。
被害者の気持ちを考えずに取材し記事にしていると、他人事で済ましている自分に気がついたのです。新聞記事には記者の個人的な思いが綴られることはないですが、信念は感じることができるんだと、記事の本来の意味合いをミッドナイト・ジャーナルを読んで初めて理解できた気がします。
お話としてもとても面白かったです。
次作があるならば、くせのある押しの強い豪太郎恋愛を見てみたいと思いました。
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スクープと誤報は紙一重。ネットでは即時でニュースが流れる。早さが命ではあるけれどそこに付きまとうのは誤報という大きな「罪」
新聞記者に必要なのは疑う事。どんなささいな事件事故であっても紙面に載せる前に必ず疑ってかかること、そこにこそ記者としての意地とプライドと矜持がみえる。
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ずーとむかし、大学新聞を作っていた。そのとき、「理論をこねくり回す前に足で書け」と教えられた。闇に埋れている事実を明るみに出す。この作品で言えば、微かな犯人の痕跡や沈黙する権力から真実を明るみに出す。言うは易く行うは難し。この本には、その難きことが詳細に述べられている。勿論、趣味半分の学生の仕事とはレベルが違う。新聞作りは記事のみが大切なのではない。どういう割付をするかも、重要な新聞つくりである。何を選びどう見出しを作るか。だから、マツパクの仕事は書かれなければならなかった。最終的に事件の背景までも明らかにするのは、新聞でしか出来ないことだから、調査報道を書いた祐里の仕事は更に重要だ。そこに至るまでの綿密な仕事と言う意味で、豪太郎のスクープに至るまでの取材過程を描いたこの小説は大きな意味があると思う。
ただ、学生新聞でもう一つ最も大切なことを学んだ。現場にある無数の事実の中から、一番主張したい事実を拾い上げ、その事実を磨き上げることだ。そのためには、自分がどういう「視点」を持つかが必要になる。今回は、幼児誘拐・殺害という最もわかりやすい「正義」があった。次回は「公益か、個人か」等々、もっと記者が迷うような事件を期待する。
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久々の星5つ
付けすぎかもしれないけど、終盤における現場の緊迫感、スピード感は久々に味わう感じで、5行前からページをめくろうとするほどだった。
結末は出来すぎな感じだけど、変に捻るよりも「どストレート」で良いと思います。
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何気なく読んでいる新聞記事がこんな風に作られているのかと思った。ほとんど毎日、あれだけの活字の詰まった新聞を作るって本当に大変な仕事ですね。
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本城雅人による新聞社ハードボイルド。
話の展開にエンタメ性は十分で、刑事への取材シーン等は熱があって悪くない、終盤の疾走感もあって読み応えはそこそこだった。
しかし、どうも人物描写が今一つ。特に何人かいる主人公について、抽象的なイメージは重ねられるものの、それだけ。破天荒キャラなら特に、もっとインパクトあるエピソードなどがあれば感情移入でき、作風ともマッチするはず。
準主役の老獪なジイサンだけは、そういうのが不要なタイプだからか、よかった。
3
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一般人もSNSですぐ事件を伝えられる時代に、新聞記者の意義とは何なのかー
7年前に決着したはずの単独誘拐犯事件に、共犯者の存在を主張した記者は、誤報も重なりタブー視された。だが、またも似た事件が発生。やはりあのとき捕まらなかった共犯者は存在するのかー報道の責任とは何なのか。
テーマはとてもいいし惹きつけられるのに、犯人を見つけたら落ち着いてしまったのが残念。
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被害者女児死亡-。誤報を打ち、飛ばされた3人の新聞記者。さいたま支局の関口豪太郎、本社の遊軍記者・藤瀬祐里、整理部員の松本博史。7年後、児童連続誘拐事件が発生する。豪太郎はかつての事件との関連性を疑うが…。
新聞記者たちと刑事の世界を熱く描く。ジャーナリズムは本作のような事件ネタだけで語られるわけではないけれど、権力とマスコミの距離感については伝わってくるものがあった。もう少しスピード感があればなおよかったのに。
(B)
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埼玉県内で少女の連れ去り未遂発生。目撃情報によれば犯人は2名の可能性がある。
思い起こされるのは7年前の「大誤報」。生還した少女を「遺体」と報じて大きな処分を招いた事件だったが、警察に否定されたものに助手席に人がいたという証言があった。
埼玉支局に飛ばされた関口と当時のチームだった藤瀬、部署移動した松本。
夜討ち朝駆けの取材攻勢とお約束の本社人員の出世レース、本社と支局の縄張り争いが絡んで読む手が止まらない。
クライマーズ・ハイに匹敵するブンヤ小説の誕生だ!
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女児拉致事件で誤報を流した、関口豪太郎、藤瀬祐里、松本博史ら3人の記者。7年後に同様の事件を取材する。
7年前の事件と関連はあるのか?
元新聞記者の作者が書く、ハラハラするジャーナルミステリーです。
記者の犯罪・犯人に対する思い、取材の苦労・工夫が良くわかる。
新聞を読むときに、記事を書く記者を想像しながら読む様になりそうです。