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  3. GORIさんのレビュー一覧

GORIさんのレビュー一覧

投稿者:GORI

248 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

紙の本蜜蜂と遠雷

2016/12/18 15:04

今年一番の小説!

20人中、18人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

恩田陸さんの小説しばらく出ていないなあと思っていた時の新刊。
5年の歳月をかけて書き綴ったと何かで読んで、少し心配していた。
しかし、本作は5年間恩田さんが一曲一曲、
一人一人の演奏を表現するために書き綴ってきた集大成。

ピアノコンクールで優勝を目指すコンテスタント達。
無名の謎の蜜蜂王子、突然舞台から去った元天才少女、楽器店店員28歳の高島明石、そして元天才少女の幼なじみのマーくん。
みんな素敵で、みんなを応援したくなる。

最初、表紙を捲ると推薦状と書かれている。
ユウジ・フォン=ホフマンって誰?
読んでも意味が分からないので、さらに分かりづらい目次が続き、いよいよエントリーを読む。
ここで初めて推薦状とユウジ・フォン=ホフマンが重要な意味を持つ事を知る。
一次予選、二次予選、三次予選そして本戦。
それぞれの予選の演奏、結果にハラハラドキドキしながら読むのが楽しい。
そして一曲一曲を描く恩田さんの表現に体が宙に浮かんだり天に昇ったり幸福な気持ちにさせられる。
4人のコンテスタント達がそれぞれの演奏に進化され、
そして同時に共演している。
この本から世界中に音楽が溢れ出して来るようです。
長編だが読むのを止められず、いつまでも読んでいたい一冊。
私の今年のベスト。

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紙の本

紙の本羊と鋼の森

2016/02/23 22:24

森の中で光が水玉のように輝く小説

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

僕は森の中を彷徨うように歩む。
森の中は瑞々し光のツブと気持ちよい空気にあふれている。
僕には見えない道だけど、自分を信じて前に進む事しか出来ない。

主人公の青年は、高校時代にピアノの調律師に出会い、これが自分の世界だと衝撃を受ける。
2年間調律師の学校で学んだが、自分に自信も持てず、才能も感じられず、どこを目指して良いのかも分からず森の中を彷徨う。
その一途な歩み方が、読む者に気持ちよさを感じさせ、周りの人たちにも若かりし頃の自分を重ね合わせ、大切な言葉を投げかける。

こんなにも気持ちよく感じられる時間を与えてくれた本書に感謝。
直木賞候補と知って図書館に予約して読ませて頂きました。
良かった。

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電子書籍

電子書籍海の見える理髪店

2016/07/21 21:42

直木賞受賞おめでとうございます。

6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

表題作の「海の見える理髪店」が抜群に良かった。
祖父の代から続いている理髪店。
鏡に映った青空と海の二つのブルー・・・素敵だろうなあ。
有名な俳優も髪を切りに来るほどの予約制のお店に・・若い男性客。
髪型の注文から始まり髪にスプレーをかけられ蒸しタオルで毛穴がウズウズ広がる。
櫛をぐいっと入れられ、いよいよカット〜はさみを替えてカット〜洗髪〜ひげ剃り〜マッサージと気持よい時間が過ぎる。
その間理髪店の店主の人生が自然に語られる。
店主の子供時代から父親の突然の死、結婚、上手くいっていた時代の話など  自分が海の見える理髪店の椅子に座って聞かされている気持ちになった。
ラスト、若い男性客が来た理由が明かされ、なるほどと唸った。お見事!

どれも良い作品だけど「成人式」が読んでいておかしくて笑わされ、とっても明るい気持ちになった。
悲しくて悲しくて・・ずっと二人で笑い合った事などなかったはずなのに、二人で挑んだ「成人式」が二人の新たな旅立ちを祝福してくれた。

直木賞にふさわしい作品です。
これからの作品も楽しみにしています。

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紙の本

紙の本お探し物は図書室まで

2021/02/23 09:09

世の中は繋がりで出来ている

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

この本に出会ったのは何がきっかけだったかなぁ?
図書館に予約をして届いた本を机に山積みしていて、次に何を読もうかなあと考えていた時に毎日新聞に一面広告が載って読み始めた。
本に出会うのにも、いろいろな人たちが繋がっている。
本を作るまでにもたくさんの人が繋がっている。
本の表紙の猫、蟹、飛行機、地球の羊毛フェルトの作家さん(フェルトたちは本の中にも登場します)。写真家さん、きっとこの本が読んで欲しくてPOPを書いてる書店員さん。
生きていれば、辛い事もあるし、何のために仕事をしてるのか嫌になってしまう時もある、自分はダメだなあと落ち込む時もある、退職して何をやったらいいのか分からない人もいる。
自分を中心に考えると、ついつい周りや人のせいにしてしまい何も始まらない。
でも視点を変えて、出来ないと考えている事を目標にしたり、自分でできそうな事からひとつひとつ積み重ねる事で、今とは全く違うものが見えたりする。
たくさんの人に読んで欲しいと思いながらレビューを書いています。

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紙の本

紙の本コンビニ人間

2016/09/02 05:32

最強コンビニ店員

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

コンビニが作られて私達の生活は一変した。
最初はこんなに影響があるとは思っていなかったが、今はコンビニが無ければ生活が成り立たない。

本作は周りの人と違ってどう生きていいのか分からなかった主人公が、コンビニの「店員」という役を与えられ生き生きと18年間過ごしていた。
しかし、コンビニのアルバイトで独身という社会の肩書きでは、いろいろ言い訳が面倒で生きづらい。
そこで安易に結婚の型を選んで丸く収まる事を期待したが・・・。
この辺りから物語は奇妙で面白く展開し、生きる力を失った主人公がコンビニで生き返る姿が最高潮に盛り上がる。

現代の生きづらい社会の中で、それぞれの「役」を学校や会社、家庭などから与えられ、その「役」を演じる事で社会の中で普通だと安心している人たちが多いのでしょう。
そんな社会をテンポ良く、おかしく描ききり、白羽さんという誰もが目を背けたくなるような毒をスパイスに効かせた作品は芥川賞にふさわしい出来です。

芥川賞受賞の作品でこんなに面白く読めた作品は初めて。

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紙の本

紙の本64

2012/12/24 11:12

待ちに待った横山秀夫の新刊

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

長編だが最後まで一気に読める。
警察組織の中で広報官、新聞記者そして刑事達が過去の誘拐事件の亡霊に踊らされるように活躍する。
それは一人一人の価値観であり、仕事に生きる人間であり、そして警察官の姿。
ラストにかけてロクヨンが動き出す展開が素晴らしく。
広報官三上の疑心暗鬼になりながらも懸命に生きる姿に感動できる。

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紙の本

紙の本

2017/01/14 17:52

生命の躍動

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

西加奈子さんの小説は言葉が大切に選ばれていて、
音楽のようにリズムがあって、
言葉に表情がある。

冒頭から不安な気持ちを感じながら読み始め、
主人公アイの不安定な心と同じように読み続ける。
両親と血がつながっていない自分という存在の意味、
両親から注がれる愛情の不安、
世界中の死、
選ばれなかった人たちの運命。
その全てをアイは自分の内側に潜り込むように考え続ける。

その思いは届かないのかもしれないが、思ってくれる人がいるという確かな世界があることが、大切なんだとあらためて気づかされた。

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紙の本

紙の本ソロモンの偽証 第1部 事件

2013/01/06 14:54

読み始めたら止められない!

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

中学2年生の飛び降り自殺から物語が始まる。
ホワイトクリマスの雪に覆われたように、中学2年生の死の真相が明らかに出来ない。警察、学校、家族、教師、級友が一人称で語られる事実が物語を複雑にそして迷走させる。
3枚の告発状が出された辺りからどんどん引き込まれて読むのを止められない。
虐めによる復讐心、そして虐められる子の心は思いもよらない方向へも向かう。
一人一人の思い、そして日常の何気ない視線、表情がこの物語に躍動感を与えている事に驚かされる。
まだまだ明らかにはならないが亡くなった柏木卓也の真の狙いが明らかになる事が恐ろしい。

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紙の本

紙の本風よあらしよ

2021/01/20 10:27

熱く胸に迫る圧倒的な生き様

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

こんなに熱い思いで読み続けられるとは思わなかった。
本の厚さにも、怯みながら最初のページを開いたが、その瞬間からずっと、この本の事だけを考えていた。
それほど伊藤ノエと大杉栄の物語に目が離せない。
人と意見を戦わせる(対立の意味ではない)ためには、自ら学んで考えて言葉を生み出さなければならない。
ノエが甘粕へ放った言葉が今の時代への警鐘にも聞こえる。今 私たちのまわりには「どうしたら自分たちの地位が脅かされずに済むか、どうしたら今より出世して弱い者から搾取できるか」という考え方で行動している人達がなんと多いことか。
熱く幸せな恋愛小説として楽しみながら、また自ら考えて、自分の生き方を考えさせられた一冊だった。

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紙の本

紙の本女のいない男たち

2016/11/18 12:11

村上ワールド短編集

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

女を失った男達の短編集。
村上春樹が書くと短いページにも村上ワールドがしっかりありました。
村上春樹さんの好きな長編小説を読んでいるように感じられる短編小説で、ちょっと儲かった気分です。
「ドライブ・マイ・カー」良いです。
唯一の友人と呼べる高槻との関係が不穏なものを感じさせる。
妻に先立たれ、妻の謎を解きたいと考えるが、男と女の違いに、フッと男の寂しさと愚かさが感じられる。
北海道の町の議員さんがクレームをつけた小説だったんですね。
クレーム自体が、消えてしまう程の村上さんの対応にあっぱれでした。
「イエスタディ」
村上春樹さんの作品には珍しく、希望を持てるラスト。
「木野」は海辺のカフカを思い出しました。
主人公が怪しい不吉なものに追いつめられるシーンが良かった。
「シェエラザード」
主人公は地方都市にある「ハウス」に送られ、「連絡係」の女が定期的に必要な食料などを運んでくれ、彼とベットを共にし、興味深い不思議な話をする。
女達と親密な時間を過ごすにつれ、いつかその時間を失うことに恐れを感じる男の弱さがなんとも怪しく描かれている。
シェエラザードの最後の話の続きが聞きたい。
村上さんぜひとも長編で書いてください。お願いします。

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紙の本

紙の本琥珀の夏

2021/08/16 07:23

琥珀に子供を閉じ込める

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

辻村深月さんの作品は期待を裏切らない。
どれも読むと一気に読み続けたくなる。
おもしろいだけではなく、人の痛みに寄り添う優しさ、私たちが直面している辛いものに立ち向かう勇気、そしてミステリー的な面白さ満載。
本作は、子供達の理想の教育を目指す「ミライの学校」が舞台。小学校の夏休みの合宿に参加したノリコは誘われた学校の友達とも一緒にいられず不安な時間を過ごす。
そんなノリコに未来の学校に暮らすミカとシゲルが声をかけて二人の友情が育まれた。
そんなミライの学校の事も忘れていた頃、学校の敷地から子どもの白骨が発見される。
弁護士になっていた法子のもとに白骨で発見された子供は自分の孫ではないか調べて欲しいと依頼がある。
その後は一気読み。

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紙の本

紙の本クララとお日さま

2021/05/26 11:56

クララの祈り

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

カズオイシグロの物語は、入り込むまでが辛い。
今回も人口親友AFクララが語る世界は、近未来を描く格差社会が際立ったもので、入り込むまでが辛抱。
しかし、いつの間にかカズオイシグロの世界にどっぷりハマっていて、手に汗握る展開。

病弱なジョジーと出会い、お互いが惹かれあい、お互いが求め合う出会いのシーンが素直にうれしい。
そしてお日さまを神のように崇め、信じてジョジーのために、祈り自分を捧げるクララに感動。

AIにより優れたロボットが作られる社会。
それは病弱な子供の替わりになると考えようとする大人たちがいる。
そしてよりよい生活のために向上処置を受けた子供たちと受けていない子供たちの差別がある社会など投げかけられるテーマは重いものだが、クララの太陽のような真っ直ぐで賢い子供の存在が読む人を明るく暖かく照らしてくれる。

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紙の本

紙の本正欲

2021/05/16 10:53

大多数の分かり合えない人達と分かり合える僅かな人達

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

人にはいろんな嗜好、ツボのようなものが当たり前にあって当然だと思っていた。その当たり前が、この本を読んでから、不気味な存在に変わってしまった。
そんな物凄い小説を、朝井さんは書いている。
帯の高橋源一郎さんのコメントはそんな辺りをついていると思われる。
大多数の人達が「明日生きていたいと思う」側にいたくて、不安から確かめずにいられない。そして排除する者を見つけて、大多数の側を維持している。
大多数の側にいて家族にもその側にいる事を守ろうとしていた検事の寺井啓喜のラストと大多数の側にいなかった容疑者佐々木佳道と妻とのラスト。
そして大也と繋がれたと思えていた八重子。
最悪の結末のはずなのに救われている人たち。
閉塞感に覆われていて、将来にも希望を持てないと思う今の社会に、生きづらさを感じている人たちに、何かを投げかけらる一冊になるはず。
今年度最高の読むべき一冊。

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紙の本

紙の本流転の海 改版 第1部

2021/03/12 15:59

壮大な物語が始まる

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

流転の海第一部は1984年に刊行された。
宮本輝は40年近くをかけて父と子を題材にしたこの物語を書き上げた。
いつか読みたいと思っていたが、ようやく私はこの物語の1ページ目を開いた。
なんと魅力的な父熊吾だろう。
男として経営者として、そして魅力的であるが不可解な男として描かれている。
そんな男が50歳で授かった伸仁とこれからどんな人生を歩むのか。そして母房江の人生も1部できっちり描かれていて、3人のこれからの人生が楽しみだ。

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紙の本

紙の本旅する練習

2021/02/23 12:30

凛とした佇まいの本

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

芥川賞候補作と知り図書館へ予約。
忘れた頃に届いた本は白っぽくて真面目なフォントの題名。まるで堀江さんの本みたいと思ったら、読んでも堀江さんの小説を思わせる、侘しさ、静かな時の流れ、大切なものを慈しむ気持ちが感じられる。
レビューで堀江さんを思い浮かべて読まれていた方がいらっしゃって少し驚きました。
帯にはサッカー少女と小説家の叔父が我孫子から鹿島アントラーズのホームへ歩いて旅に出ると書かれている。
歩く、書く、蹴る
リフティング、利根川、水鳥、出会い
旅の中でサッカー少女の亜美はどんどん成長する。
そんな姿を愛おしく、かけがいのない存在として書かれた一文に涙する。

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