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購入の価値あり
2017/01/21 00:44
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投稿者:しん - この投稿者のレビュー一覧を見る
他の人が書いたレビューに、「少々値段は高いけれど、買ってよかった」という内容が多いようだが、私はそのような意見には同意できない。「この値段でこの内容は安い!」というのが、私的な感想である。殊能氏のファンのみならず、もっと一般的な「短編小説ファン」の方にも是非、この一冊を読んで欲しい。収められた三篇はどれも粒ぞろいだし、最後の日記形式の短編(?)も、文学賞に興味のある方にとっては参考になる話だと思う。こんなことを感じたのは、きっと私だけだと思うけれど、何となく三島由紀夫の文章に似ていると感じた。切れ味が素晴らしい。
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なるほど
2022/05/01 20:46
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投稿者:マー君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ハサミ男の著者である殊能将之さんの未発表短編集。
挟み男ではそのトリックに完璧にやられてしまったが、その片鱗を伺うことができる短編集。
紙の本
発見された未発表の短編小説三編
2016/06/07 15:45
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投稿者:あずきとぎ - この投稿者のレビュー一覧を見る
2013年に急逝した殊能将之の没後、最近になって発見された未発表の小説三篇を収めた短篇集である。
収録された作品は、「犬がこわい」「鬼ごっこ」「精霊もどし」。
さらに、著者のデビュー作である「ハサミ男」のメフィスト賞受賞から出版に向けての過程を、日記形式で記した「ハサミ男の秘密の日記」も併録されている。
三篇の小説は、編集部の段ボール箱の中から発見され、プリントアウトされた形であったという。
作家デビューした後、編集者より短篇を請われたときに、「ストックしてあった」原稿を送ったと記録にあり、デビュー以前に執筆されたものであるらしい。
「ハサミ男」から一貫してミステリ小説を発表してきた著者であるが、デビュー前にはミステリ以外の作品を書いていたのは興味深い。
そして、殊能作品に通底する、あの軽妙で読みやすい文体がこれらの短篇で既に用いられていることは、ファンとして何だか嬉しい。
著者が没し、新作を読む機会を失い落胆していた殊能ファンに、天上から送られてきた作品集だ。
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今になって、しゅのーセンセーの新しい小説が読めるとはね。
感涙ものです。
短編は3編とも良かったし、
大森望の解説も良かった。
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図書館より。
十代の時、追いかけるように読んでいたメフィスト賞受賞作家の一人。作品も何冊か読んだこともあり。
お亡くなりになっていたと知り、借りてきて読了。
短編はミステリ?とかではないけど、面白かった。
特に『犬がこわい』実は主人公の怖い気持ちがよくわかる。獣の牙って無条件で怖い。
そしてラストの犬の気持ち。主人公の想像だとは思うが、充分納得してしまった。
『ハサミ男』から、また再読したい気持ちになった。ご冥福を祈りたい。
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もっと、いろんな話が読みたかったよ。
正直、「ハサミ男」と「子どもの王様」以外はあまり印象に残っていないんだけど、参考文献がすごい量だってことは覚えてて。
なくなったことを聞いたときはすげぇショックうけたけどさぁ……。やっぱり、もっといろいろ書いて欲しかったなぁ。紛れもない天才だよ。
覆面作家で、中のひとはどうやらSFの方面ではとても有名だった方みたいですね。サイトも見てないし、ツイッタも見てなかったから知らなかったけど。解説が大森望、名前はよく見るけど、どういうひとか知らないんだよね、このひとも。普段解説読まないんだけど、これは思わず読んじゃったね。
完全未発表の短編が三つと、メフィストに載ったらしい私小説っぽい日記みたいなのが一つ。「鬼ごっこ」が好きです。
帯にも抜き出されてたけど、「それでも小説は残る」んだよねぇ。「ハサミ男」は名作だよ。
抜粋、「ハサミ男の秘密の日記」より。
頼まれたら、帯に推薦文を書いてあげてもいい。
「著者絶賛!」
やっぱりプロの世界でも自分の書いたものは面白く読めるんだねぇ。
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たくらみに満ちた奇妙な味の未発表短編集。すっとぼけた殊能センセーらしく、またどことなく筒井康隆っぽさも感じた。
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2004年刊行の『キマイラの新しい城』以降、殊能将之さんの新作は途絶えていた。2009年刊行のアンソロジー『9の扉』に短編が収録されたが、特に語るべきこともなかった。そして2013年2月。殊能さんの訃報が飛び込んできた。享年49歳。
本作は、未発表短編3編を含む作品集である。感熱紙に印刷され、消えかけていたものもあったというから、間一髪だ。企画作品『樒/榁』を除けば、殊能さんの短編は『9の扉』に収録の「キラキラコウモリ」しかない。殊能ファンとしては、読まねばなるまい。
「犬がこわい」。幼少時のトラウマから、犬が苦手な男。ところが、近所で大きな犬が放し飼いされていた。意を決して抗議に行ってみると…。ガチ本格ではないが、ミステリーらしい意外性もある。生前の作風を考えると、わかりやすい1編だな。
「鬼ごっこ」。物騒な男たちが、ついに見つけたターゲットを襲撃…って、何をやっているかと思えば、おい! とばっちりを受けた人たちが浮かばれないだろうがっ! 殊能さんらしいといえばらしい1編だが、日の目を見てよかったのだろうか。
「精霊もどし」。妻を亡くした友人が、大真面目に妻を復活させようとしている。生前の殊能作品にも、ホラー的要素がないわけではないが、やや戸惑った。最後の一言を、どう解釈すればいいのだろう。もはや真意を確認しようがない。
『ハサミ男』で第13回メフィスト賞を受賞しデビューした殊能さんだが、連絡がつかないのでメフィスト誌上で名乗り出るよう呼びかけ、デビューに至ったのは有名な話である。その顛末を描いたのが、「ハサミ男の秘密の日記」である。元々は、デビュー直前に友人宛に送ったものだという。色々な意味で、凡人とは違っていたのだな。
どうしてこの人は大作を書かないのだろうと、ずっと思っていた。本気半分、おふざけ半分の独特の作品群を残し、早逝した天才・殊能将之。殊能さんのtwitterアカウントは、現在もそのままになっている。最後のツイートは「んじゃまた」。もっと読みたかった。
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殊能先生の新作、もう二度と読めないと思っていたので嬉しかった。毒っ気があってちょっと笑える短編でとても殊能先生らしさを感じた。想定も素晴らしい。帯までがちゃんとデザインに組み込まれていて感動した。
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犬嫌いの男をコミカルにどこか可愛らしく描いたおっさんミーツドッグな「犬がこわい」
Vシネマ的バイオレンスから奇妙な世界観が広がる「鬼ごっこ」
霊が一番真人間なホラー風味「精霊もどし」
殊能将之がデビューする前に書いた三つのユーモア短篇小説。
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2013年に49歳の若さで他界した著者の未発表短編3作と、『ハサミ男』がメフィスト賞を受賞し本になるまでのいきさつを書いたエッセイを収録。短編3作は習作ということもあり切れ味はいまいちな気がしますが、著者らしいスマートな筆致とユーモアは顕在です。
また、【ハサミ男の秘密の日記】はかなり腹を割った内容でとても興味深いです。200頁弱で1944円とお値段は高めてすが、なかなか貴重な一冊だと思います。
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未発表だったということは、それなりに問題があったということである。内容は異色でもあり特異な才能をもった人だったんだと思う
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まさか今になって新作が読めるだなんて! 嬉しいサプライズの一冊です。
今まで世に出なかったということで、ばりばりのミステリではなく、小品といった印象の作品なのだけれど。それでも充分面白いので、よくぞ見つけてくださった、と言いたいです。
お気に入りは「犬がこわい」。一番ミステリ的な作品です。こういう展開になるとは!
そして読み終えたら、「ハサミ男」再読したくなっちゃうなあ……いや、それだけとは言わずに全作品。
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「ハサミ男」前記にて環は閉じる。陳腐だが、人が記憶に残ることで生き続けるのであれば、本書は早逝の天才をひさかたぶりに思い出す、まさに「精霊もどし」なのではないだろうか。
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『ハサミ男の秘密の日記』のみ雑誌で読んでいたが、どれも"らしい"仕掛けがあってニッコリ。ミステリを期待して読んだけど世にも奇妙な物語に近い読後感か。本書の中で多分一番興味深く読んだのが大森望氏の解説。殊能センセーの裏話みたいなのをもっと読みたい