紙の本
死の床につくジャン・ヴァルジャン
2020/04/21 15:53
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
六月暴動は軍隊に鎮圧され、指導者アンジョルラスらは銃殺。マリユスも重傷を負う。コゼットを奪うマリユスを憎みながらも、命懸けで彼を救うジャン・ヴァルジャン。マリユスを背負った彼は地下水道の迷路へ。テナルディエの画策で地上へ逃れ出たジャン・ヴァルジャンを、ジャヴェールが待ち受けていた。
暴動の悲劇的な終結。マリユスとコゼットの再会・結婚。コゼットの幸福を見届けたジャン・ヴァルジャンは、悲痛な決意を秘めて彼女から遠ざかる。死の床についた彼が最後に見たものは…。
コゼットの結婚から物語の終幕まで一気に読んでしまった。コゼットの巣立ちと同時に生きる気力を失ってしまうジャン・ヴァルジャンの姿があまりに悲痛。危険を冒して修道院を出たのも、嫉妬に苦しみながらマリユスを救ったのも、結婚したコゼットから遠ざかろうとしたのも、すべては彼女の幸福のため。
とても充実した読後感を得た。理解しきれなかったユゴーの哲学思想についても、改めてまた読み込んでみたい。
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やっぱり良いものだった。
2018/10/27 04:44
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投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミュージカル映画から入って原作に辿り着きましたが、ようやく読破出来ました。
最初のうちはユゴーの主義主張ターンの多さに辟易しましたが慣れればそれもまた良し。
翻訳ものであり、時代背景も違うので理解するのが難解なのは仕方無いですが・・・
とはいえ本編の方は今読んでも(当然のことながら)分かりやすく面白いストーリー。
5巻はさすがに盛り上がります。ジルノルマンさんの早とちりからの歓喜、にはもらい泣き。
(原作寄りの旧作映画の方のこのシーンも良かった・・・)
ミュージカル映画と違い最後にマリユスが真実を知るまでが結構長いので
そわそわしながら読み進めてしまいます。早く・・・!早くマリユス・・!ってなります(笑)
今回は時間に追われながら読んだので、いつかもっとゆっくり読み直してみたいですね。
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最後はうまいことまとまって感動
2002/07/09 22:24
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投稿者:白井道也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
第五部「ジャン・ヴァルジャン」。ジャン・ヴァルジャンはあれほど憎んでいたマリユスをバリケードの中から救い出す。ジャヴェールとテナルディエも最後の最後まで登場、晴れてマリユスとコゼットは結ばれるが、ジャン・ヴァルジャンの正体がマリユスに明らかになり……と、第五部はさすがにかなり盛り上がる。そしてようやく“レ・ミゼラブル”というテーマがクリアーになっていき、「いろいろ無駄話があって長い小説だったけど読みがいがあったなぁ」という感想に落ち着いた。
まとめ:ジャン・ヴァルジャン、コゼット、マリユス、テナルディエっていう主要人物のキャラ設定はすごくフラットで、物語は善悪がはっきしりした凄くシンプルなもの。テーマが普遍的なだけに今の人間にも十分面白く感じられるが、当時のパリの風俗を記した部分は資料的価値はあっても冗長に思う。古典ではあっても傑作ではない、というところかな。
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名作中の名作。ユゴーの代表作の一つ。何人かに訳された中の1つで佐藤朔訳版。訳が古いので文体なども古く、いま読むと読みづらい作品です。ユゴーの作品はストーリーを追うだけではなく、当時の物語の背景などわき道が多く更に読みにくい。しかしユゴーワールドに入り込んだら最後、次を次をとどんどん惹かれ最後まで目が話せなくサイドストーリーなども楽しみになってしまう。フランスに興味が出てくる作品です。
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第五部「ジャン・ヴァルジャン」。1832年6月5日、パリの共和主義者は一斉に蜂起し、市街戦を展開する。その中には傷ついたマリユスや、彼を助けるジャンの姿も見られた。やがてコゼットとマリユスは結婚し、ジャンはマリユスに自分の素性を語り、離れて暮らすことになるが、コゼットがいなくなるとジャンは心身ともに衰え、二人が駆け付けたときにはすでに死の床にあった──。
激しく繰り広げられた市街戦によってマリユスの友人が全員戦死したり、テナルディエはどこまでいっても悪人のままでしかなかったり、ジャンの心の葛藤であったり──クライマックスに向けて様々な場面が描かれ、心に痛みを覚えたり、手に汗握る戦闘にこちらもハラハラさせられたり、二人の結婚に思わず笑みがこぼれたりと、自分の中でいろんな感情が交錯した巻だった。
コゼットとマリユスに見守られてのジャンの最期、またそこに至るまでのジャンの決意、マリユスの発見など、感動的な要素もとても多かった。
「憐れな人々」に対するユゴーの無量の愛、現代にも通じる囚人や娼婦に対する人々の偏見や権力による抑圧など、まさに作者の想いが魂となって結実したといえる、名作中の名作といえる作品であろう。
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一大叙事詩だ。人生の全てが詰まっている。いかなる人も、人が裁いてはならないし、否定してもならない。自分の人生を素直に受け入れていくことがどれだけ美しい生き様であるかを、知ることができる。ユゴーの世界観に触れないことは、人生の10年分を損することに等しい、と言っても過言ではないだろう。
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第五部「ジャンバルジャン」。バリケード戦に参加したマリユスはバリケード陥落の直後、ジャンバルジャンによって、パリの下水道へ逃れる。ジャンバルジャンは負傷し気絶したマリユスを背負い、真っ暗な下水道を流砂に飲まれそうになりながら、出口まではこぶ。出口を開けたのは脱獄し下水道に逃れていたテナルディエであった。ジャンバルジャンは下水道を出たところを、バリケードで助けたジャベールに捕らえられる。彼等はマリユスをジルノルマン老人のところへおくった。ジャンバルジャンはジャベールに逮捕されるつもりでいたが、ジャーベールは失踪し自殺する。傷の回復後、マリユスとコゼットは結婚する。ジルノルマンがあっさり認めたのだ。結婚式の翌日、ジャンバルジャンはマリユスに徒刑囚であったことを告白し、分かれて暮らすようになる。マリユスは内心、ジャンバルジャンの罪を恐れていた。しかし、テナルディエがジャンバルジャンが下水道で「死体」を運んでいたと密告しにきたことで、彼に命を救われたこと、マドレーヌ氏こそジャンバルジャンであり、コゼットの持参金が後ろ暗い金でないことを知る。マリユスとコゼットは、いそいでジャンバルジャンの家に行くが、ジャンバルジャンは既に死にかけており、若い二人に看取られながら、死んでいった。心をうつ物語である。アンジョルラスの革命の演説、ガブローシュの最後、ジャベールの葛藤、ジルノルマンの結婚祝いの演説など印象深い場面が多い。「下水」の歴史にも詳しく、中国と比べてパリは人糞の活用を知らないなど、ディテールが細かい。すこし、ナショナリズムや進歩崇拝が行きすぎていると感じるところもあるが、「レミゼラブル」(虐げられた人々・虐げる人々のダブルミーニング)が目の前にいる時代であれば、非難することはできない。現代にも「レミゼラブル」はいるが、過激な革命は、社会の基盤を破壊してしまう。やはり穏健な修正をして行かねばならないだろう。ユゴーは革命の悲惨さにもふれている。革命家に同情しながらも、人類が本当に幸福になるにはどうすればいいかを追求した作家なのである。「愛する、もしくは愛した、それで十分だ」という言葉がその答えの一部であろう。登場人物はアンジョルラスやジャンバルジャン、ジェベール、マリウス、コゼット、ファンチーヌなど、テナルディエみたいな悪漢もふくめ、みな世間で生きるのに妥協がなく、善や悪に対して、過激で不器用、そして純粋だ。名作である。
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レミゼは自分の中での位置づけが難しい。
モンテクリスト伯と同じくらい大好きな本だけど読み終わると当分読みたくないと思う。
好きな本は何度も読み返すタイプだがレミゼは一旦読み終わると次に手に取るまでにかなりの期間があく。
読みた……い気もするけどいや今はいいや……を1年以上かけて10回程繰り返したあとに読みたいが勝ってまた手に取る。そうすると一気に読む。で、また当分見ないこれ、となる。
理由は全部、ジャン・バルジャンがかわいそすぎるから!!!!!
同じ理由で読み終わる頃にはマリユスが大嫌いである。
マリユスに関しては読みたい気持ちが勝ったときでも普通に大嫌いである。もーほんとにもーーーーーーー。
全然話は変わるがこれとモンテクリスト伯を同時に読むとフランス革命がどういうものだったのか、いろんな側面から見れてそこも面白い。
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ミュージカルのレミゼにはまり、本も5冊まとめ買い。
ストーリーに全く関係のない歴史的な難しい部分などがかなりあり、飛ばし読みしたところもある。
でも、色々と考えさせられる本で、これぞ文学!という印象。
最後は号泣した。
もう少し歳をとったらもう一度読み直したい。
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9月7日読了。
第1巻読書開始から2ヶ月あまり。
何度かの挫折の危機をどうにか乗り越え、
頁を閉じることができました。
なんとか「たなぞう」終了に間に合い、
ほっとしています。
内容については、あまりに有名すぎて、
下手な感想が書けず、困ります。
ただ、読む前の先入感と大きく違ったのは、
ジャヴェール警部。
単なる冷血漢のイメージが崩れ、信念の人であったことが、とても印象的でした。
それともうひとつ。
「レミゼラブル=悲惨な人々」の日本語訳
「噫無情(ああむじょう)」の、
なんとすばらしいことか。
読了万歳。
さて、この間にたまった本に取り掛からなくっちゃ。
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読了!かなり読みづらいこともあり、時間がかかりました。
5巻通して、「ああ、無情」という題名の重さを感じさせられる。
ただ、最後には誤解がとけ、コゼット、マリユスに会えた
ことが救い
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やっと最後までたどり着いた。バリケードからジャン・ヴァルジャンがマリユスをつれだすところ、テナルディエと会うところ、ジャヴェールと会うところ、微妙に映画と違う。重症だったマリユスがなんであんな簡単に回復して、あんな元気だったジャン・ヴァルジャンがなんであんなタイミングよく死ぬのかと疑問だったが原作で解決した。というか映画で最後フォンティーヌが出てくるのはやはりあれは司祭のほうが良かったのではないか。
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読み終わりました。
ここまで良いとは思いませんでした…このような作品に出会えて、幸せです。
映画は見ていませんが、やはり原作は良いですね。
誰もが一度は読むべき作品です。
あー、幸せ!本当に幸せ!
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6ヶ月かけてようやく全巻読了。高校生のときに読んで以来約20年ぶり。本筋と明らかに話がそれるペダンティズムはユーザーフレンドリーとはいいがたく、物語に力があるだけに、早く次の筋を知りたいとやきもきして読み飛ばす人も多いことでしょう(もちろん私もそう)。ストーリーを読むだけなら子ども向けに要約された「ああ、無情」でもいいよな、とやや複雑な心境。
「みじなな人々」という原題を考えてみると、ユーゴーが描きたかったのは社会の最底辺にいるジャン・バルジャンとテナルディエなんでしょうね。かたや罪を悔い改め、崇高なる魂の所有者となるジャン・バルジャン、かたや常に他罰的な態度で社会の底辺でのたうちまわるテナルディエ。作者はそんなテナルディエに対しても苛烈な罰を与えない(なんと最後まで生き残る)。ユーゴーは何者も否定しない。そういうことかな。
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読了まで5ヶ月…正直読み終わってホッとした。映画に魅了されてからの単行本スタートだったが人間の本質に迫るビゴーの気力に終始圧倒されてた。刺激の少ない当時爆発的ベストセラーになったのもうなずける。もはやこの本自体が歴史なのだ。え、この部分本当に必要?と思う点も最後に線となり、面となっていってフィナーレを迎えた。聖書以上にフランス人、ヨーロッパ人の気質を形作る物語と言っても過言では無いかもしれない。