紙の本
一気読み!
2016/09/24 08:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
次から次から襲いかかる壮絶な戦いに汗握って読み続ける。
陸軍に追われる少年を助ける美しき諜報員の百合。
百合の謎に包まれた過去にも引き込まれる。
どうしてこんなに強い美女が作られた?
冷徹な陸軍の攻撃も戦闘マシーンの百合には通用しない。
陸軍の津山も恐ろしい。
津山に少年の家族が殺される場面などは震えながら読んだ。
さすがに後半は戦いの連続に慣れてしまったが十分楽しめるハードボイルド小説。
新人賞受賞後の待望の第一作とあるが、期待したい作家です。
紙の本
少年も大人になる
2023/07/21 20:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
生きるか死ぬかのギリギリなところをすり抜けて、
ゆっくり休息する間もないまま
気を緩めることなく走り続けた逃避行。
追われて逃げて、襲われて反撃して。
めくるめくアクションをこれでもか、
というくらいの密度で読みましたが、
実は2週間くらいのことなんですよね。
それは、少年も大人になるはずだ…
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物語は関東大震災の最中に始まり、その一年後に勢いよく転がりだす。
転がりだした物語は止まることなく最終章まで導かれる。これが6日間の出来事か・・・。
帝国陸軍が関与した裏資金に関連し、少年が追われる。事情を知らない主人公小曽根百合が巻き込まれるが、反射行動のように少年を守り、S&W M1917リボルバーで敵を倒していく。相手が帝国陸軍なので、倒しても倒しても、追手が途切れることが無い。終わりが見えない戦いを繰り返しながらも、着地点を探り出す手も打っている。読み手も休めないアクションの連続だった。
最終章までたどり着いても気を緩めることはできない。それはリボルバーリリーの運命だから。
主人公小曽根百合は、僕の頭の中では満島ひかりさんだった。彼女以外にリボルバーリリーを演じれる女優さんいない。
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舞台は関東大震災後の東京、玉の井で娼家を営む元女性諜報員が、一人の少年を救うために命がけの闘いを繰り広げる。
特別機関で訓練を受け無敵の殺人マシンとなった美人、というと映画『レオン』を思い出す。カラーはまったく異なるけれど。主人公は、帝国陸軍とヤクザに追われ、幾度となく絶体絶命のピンチを切り抜けていく。
特別にあつらえたワンピースとパンプスというこだわりの装いで繰り広げられるバトルシーンに、最初のうちは手に汗握る思いでのめり込んだ。が、何ページおきかに繰り返される闘いには、やや辟易とさせられる。
クライマックスの壮絶な闘いは凄まじく、ハリウッドのアクション映画のように、これでもかというくらい続く。筆力で一気に読ませるものの、読み終えてみればストーリーの屋台骨がバトルだったとも言えるような作品だった。
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ヒロインと少年の逃避行物語。
言ってしまえばそれだけで「グロリア」や「ガントレット」「深夜プラス1」のようなシンプルな物語。
しかし、大きく違うのが時代背景。あえて関東大震災直後、そして日本が大正・昭和へとダイナミックに変わろうとしている時代、仇花のように咲いた狂乱した庶民のパワフルで猥雑な生活文化が背景となる。
急激に江戸から東京へ、と同時に震災復興を経て都会へと変わりつつある街の姿がリアルに描きこまれ、軍が大陸へと進出、大戦へ舵を切りつつある時代ゆえに、軍の謀略や、その産物であるエリート殺し屋のヒロインもあながちあり得ない設定とは言えず、ここらを虚実交えて描く筆者の力量は凄い。綿密な取材の跡もうかがえて、よくぞここまで描きこんだという感じがする。
しかし、物語としては逃避行の方向性が中盤までその場しのぎの感があるし、ピンチ・脱出の繰り返しもくどすぎて話がだれてしまったのが残念。もっと話を絞り込んだ方が疾走感が出て面白かったのでは。
キャラも陰影はあるが、実は似たような設定が多く間引いてもよかったかもしれない。
堂々たる大作だけに残念。
しかし、これを映画化するとB級になるんだろうなぁ。
柴咲コウか綾瀬はるか、かな?
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小曽根百合。実業家水野寛蔵の下、幣原機関で訓練を受け、十六歳で実地任務に投入。東アジアを中心に3年間で五十七人の殺害に関与し、各国から「最も排除すべき日本人」と呼ばれた美しき諜報員。二十歳を迎えた彼女は突然活動を止め、消息を絶った……。
それから七年。大地震に見舞われた東京から田舎へと引っ越してきた慎太と喬太の兄弟は、余所者として辛い生活を送る。逃げるように田舎に送られ、ほとんど姿を見せなかった父親がある日突然帰ってきて二人に再び逃げるように告げる。そしてその晩父と母、姉と女中たちは何者かに嬲り殺された。二人だけになってしまった兄弟は知人から百合を紹介され、頼るために逃げることを決意するが……。
おそろしく重厚なハードボイルドエンターテイメント。第二次大戦の前の時代の話。政治や金融、戦争など複雑な話が絡んでいるので正直よくわかっていないところもあるけれど、あがいて逃げて戦う百合と慎太の姿だけで十分楽しめた。ライトなとこでは図書館戦争もそうだけど、政治や軍事の世界ではたった一歩境界を越えるだけで状況が一変するんだなっていうのが非常に興味深い。
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このミス2017で6位
時は大正末期。子供の頃から美人間諜としての訓練を受けてきた小曾根百合ことリボルバーリリー。その名の通り拳銃の使い手で、周辺国から最も排除したい日本人との評価を得ている。父親が帝国陸軍の秘匿資金を手中にした為、他の家族全員を惨殺された少年細見慎太。慎太は父親から受け継いだ資金を守りつつ、百合と逃避行を始める。追手は陸軍精鋭部隊1000人と、陸軍の要請をうけた大勢のやくざ。百合と慎太は無事に海軍山本五十六大佐率いる部隊のもとへ逃げ込むことが出来るのか。
百合はターミネーターを彷彿とさせるくらい、撃って撃ちまくり、敵と格闘し超人的に敵を排除していく。ラスト良い終わりかと思いきや、百合は最後までハードボイルドを貫くのであった。
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単純な筋のように見えて、各登場人物の過去をすべて折り込みつつ、主人公たちの逃避行を一瞬もダレることなく、緊迫感をもって一気に読ませる筆力はただ者ではない。
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久し振りに読書の醍醐味を満喫した。
女性と子供を主人公にしながらも、有りがちな方向には流されずハードボイルドを貫いた志の高さに乾杯!時代背景も巧みにストーリーに生かされていて意外な登場人物も楽しい。まさに一気読みの傑作でした。
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2016このミス国内第6位に選ばれた作品。その前から、ネットでの評価が高く、気になっていたが、年が明けて、やっと読む機会が。簡単に言えば「スパイもの」との評判だったので、海外作品の模倣みたいなものを想像していたが、関東大震災から始まる物語に最初から唖然。スパイが「間諜」と呼ばれ、まだ戦争大国だった時代の話だった。女スパイとして、生きてきた百合と、政府が狙う多額の隠し資産のキーマンとなる慎太の闘いが延々と描かれる。とにかく重量感が半端ない!いろんな描写が非常に細かく、まるで自分がその場にいるようで、息をするのも忘れるくらい。敵は敵で本当にむかつくやつが多いし、味方は味方で本当に素敵な人が多く、人物描写もとても上手い。個人的には百合より、奈加さんに惚れ惚れしてしまった。
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先日読んだ「ショットガンロード」に続いてガンアクション小説。
好きなジャンルの小説です。
日本国内で銃を撃ちまくるのだから荒唐無稽な設定がキモなんですが、本作は時代背景を大正時代として銃を所持することが合法的な無国籍ワールドを描きます。
まぁ、撃つわ撃つわ。マカロニウェスタンかジュリアーノジェンマか、と言うほど撃ちまくります。
陸軍の違法収益の秘密を握る少年と元殺し屋のお姉ちゃんとの決死の逃避行。
危機また危機。ことごとく退けていく凄腕のお姉ちゃん。
敵の敵は味方という事で海軍の敷地内に逃げ込めば『勝ち』、そこまでの道程の遠いこと。
読み終わってから、たった6日間の逃避行と気付いて吃驚。のめりこみます、一気読みです。
哀しい余韻を残すガンアクション小説が多い中、ハッピーエンドなのもマル。後味良しの痛快冒険活劇でした。
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実に面白かった。普段は読まない、所謂スパイ小説、サスペンス小説。大正から昭和にかけての日本が世界対戦に向かっていく時代の雰囲気を、実在の人物を登場させながら描いていることが、ふと気がつくと実際にあったことのような、ノンフィクションのような錯覚に囚われながら読み進んでいました。
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どんどん展開するストーリーに翻弄され、どんどん読み進みます。
2人が陸軍を相手に戦い、秘密を抱えたまま逃げ伸びることができるか。
二重三重の罠と、工作員の姿も見え隠れし、とにかく目が離せません。
楽しめました。
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内容(「BOOK」データベースより)
小曽根百合。かつて「最も排除べき日本人」と呼ばれた美しき諜報員。消えた陸軍資金の鍵を握る少年・細見慎太との出会いが、彼女を戦場へと還らせる―。関東大震災後の東京を生き抜く先に、安息の地は待っているのか。VS.帝国陸軍1000人、たった二人の六日間戦争。小説現代長編新人賞から4年待望の受賞第一作!ノンストップ・アクション巨編!!
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帝都を舞台にヒロインが撃ちまくる大活劇。
冷静に考えると荒唐無稽なんだけれど、それを感じさせない勢いに身を任せた。
ミスを二か所見つけた。去年有名になった校閲は何をしていたのだろう。