電子書籍
クマゼミから温暖化を考える
著者 沼田英治
大阪に生息するセミの7割がクマゼミと言われ,同時に分布域も東へ北へと拡大している.クマゼミ増加の原因は,温暖化にともない冬の寒さが緩和されたせいなのか? はたまた乾燥が進...
クマゼミから温暖化を考える
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クマゼミから温暖化を考える (岩波ジュニア新書)
商品説明
大阪に生息するセミの7割がクマゼミと言われ,同時に分布域も東へ北へと拡大している.クマゼミ増加の原因は,温暖化にともない冬の寒さが緩和されたせいなのか? はたまた乾燥が進んだことが原因なのか? 地道な調査・実験から温暖化との関係を明らかにする.科学的真理を探究する過程の奥深さと楽しさも味わえる一冊.
目次
- はじめに
- 第1章 近年にみるセミの変化
- 第2章 クマゼミが引き起こした問題とは
- 第3章 今,起こっている温暖化とは
- 第4章 温暖化をめぐって
- 第5章 温暖化と昆虫の変化
- 第6章 セミの研究を始めた経緯
- 第7章 冬の寒さとクマゼミの増加の関係
- 第8章 夏の乾燥とクマゼミの増加の関係
- 第9章 土の硬さの影響
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紙の本
身近なところから
2021/01/22 13:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:想井兼人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
30~40年前、夏なるとアブラゼミがうるさかった。
もちろん、ミンミンゼミやツクツクボウシも賑やかだった。
最近はどうだ?
クマゼミの勢力が異様に強い。
昔、クマゼミは貴重な存在だったと思う。
クマゼミの勢力拡大を温暖化の影響と捉える1冊。
ジュニア文庫というところがうれしい。
いろいろと考えさせられます。
紙の本
「クマゼミが増えた。温暖化のせいだ」を科学的に検証できるか。
2016/08/14 20:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今年もセミの鳴く夏が来ました。子どもの頃蝉取りをしていた人たちには「昔に比べてクマゼミが増えた」と感じる人は私の周りにも多いです。「クマゼミが増えたのは温暖化のせいだ」との意見も聞こえますが、本当なのでしょうか。
「都市伝説」ではないけれど、まことしやかに言われていることでも根拠ははっきりしないものも多い。それを科学的に表すにはどうしたらよいのでしょう。特に昔の「あのころは少なかった」という「記憶」であって「記録」にはないものはどのようにしたら扱えるのでしょうか。
本書には「クマゼミが増えたのは温暖化のためか」を著者が大阪の大学で大学院生と研究・調査したやり方や結果が書かれています。科学的に証明するにはどういう手続きを踏む必要があるのか。さまざまな可能性を考えて検討していくことの大事さが隅々から伝わってきて、ジュニア新書らしい文章で丁寧に説明されていてとてもわかりやすかったです。
「温暖化」が問題になる理由についての説明の章もあります。科学者の間でも意見が分かれること、経済・社会的な利害も関係していることが問題の現れ方を複雑にしていることがわかりました。実験・考察の科学的な扱いの内容からは少し離れてしまうのですが、こういうことも考える必要性を教えてくれる部分でした。
巷で「・・だ」と言われていることの根拠は、簡単には断定できないことを断定してしまっていることもある。「科学的な考え方」をわかりやすく教えてくれながらいろいろなことを考えさせる本でもありました。
紙の本
クマゼミと温暖化
2016/07/08 21:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
温暖な西日本から南日本に分布していたクマゼミが、最近、北に分布を広げているのは、温暖化と関係があるのか否かを考察した本です。
第1章はセミの分布変化、第2章はクマゼミが引き起こす問題、第3章・第4章は温暖化全般、第5章は温暖化による昆虫の分布の変化、第6章~第11章で表題のクマゼミと温暖化との関係を考察しています。
6年間にわたる様々な仮説と実証実験の結果、漸く温暖化との関係を明らかにすることができました。やや地味ですが、結論にたどり着くまでの過程を追うことで、科学の醍醐味と考えるヒントを示している本でした。