紙の本
心に迫るすてきな短編集
2016/03/25 11:31
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投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る
『下駄屋おけい』『凧、凧、揚がれ』がいい。おけいの話はハッピーエンドで申し分なし。惚れ合った人と一緒になれて本当によかった。大店のお嬢様から、町の小さな下駄屋のおかみさんに落ち着いたおけい。好きな人と一緒なら店の大小お金の有無、関係ないよね。自分の足に吸い付くような履き心地の下駄、いいな。そんな履物にも出合ってみたい。『凧〜』は少しだけ悲しい。幼くして命を落としたおゆいの遺志は見事風に乗ることができた。その情景、めをつむると瞼の裏に浮かんで来る。宇江佐さんの筆致は私を江戸の河原へいとも簡単に連れて行く。
紙の本
幸せな結末とは
2004/11/05 18:23
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投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸・深川を舞台に繰り広げられる六つの切ない恋物語。
裏表紙のこの文章に惹かれて手に取った。
現代と比べて、昔のひとは想いを簡単に口にはしない。
その分真剣味が増すというか、いじらしく切ないように映る。
何もかもが自由になる世の中ではないから、限られた中で自分の気持ちとしっかり向き合おうとする。
全ての物語が幸せな結末を迎えたわけではなかったが、どれも後味がすっきりしていた。
中でも『がたくり橋は渡らない』『凧、凧、揚がれ』は目の奥がじんとした。
想いの形はいろいろだ。成就することが全てではない。
悲しみを乗り越えてこそ、またひとつ新しい自分と出会うのだろう。
紙の本
深川恋物語
2023/07/19 08:44
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投稿者:yukko - この投稿者のレビュー一覧を見る
三番目の「凧、凧、揚がれ」
ハッピーエンドではないけれど切なくて一番印象深く感じました
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江戸時代ものが読みたくて買ってみました。
時代背景と、それに沿った心理描写はとても素敵でした。江戸時代の人々の生き方がよく表れているなあ、と。
江戸時代ものの王道といった感じです。江戸へ行きたければぜひ。
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同じ短編集である『余寒の雪』がイマイチだったので
あまり期待はしていなかったのだが
これは一話目から胸が締め付けられるような感動。
二話目三話目とさらにいい。
読み終えて見れば涙。
そして満足感。
一話一話はそれほど長くないのに、
一話だけでまるまる一冊読んだような充実感。
これよ、これっ
こういうのを待っていたのよ
何がどうだから良かったっていう説明はできないのだけど
あたしの場合本を読んでいる時
頭の中で本の内容が映像となって出てくる。
それにうまくはまった作品。
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短編集。
「下駄屋おけい」は、切ないけれどしあわせな身分違いの恋でした。
全体的に切ない話が多いかな。「がたくり橋は渡らない」のつくす女ぶりには、涙が出ます。
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深川を舞台にした恋物語。ハッピーエンドあり、哀しい結末あり、だがどれも優しい読後感が残る逸品。
宇江佐さんの本は本当に読後感が爽快。
再読だったけれど、どれも新鮮な気持ちで読みきった。
「下駄屋おけい」と「狐挙」が特によかった。
ほんと、うまいなぁ〜。はずれがないなぁ〜と思う。
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2009.10.17 start → 2009.10.19 fin.
きっかけ:講演会
切なかったけど、どれもいい話。
江戸の話なのになぜこんなにも響くのだろうか。
人を好きになって結ばれるのってどうしてこんなに難しいのだろうか。でも、人ってやっぱりいいよな。
気持ちが荒んだ時とか落ち込んだ時に読み返したい一冊。
私の恋愛バイブルになりそう。
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江戸時代であっても、男と女の関係なんてものは皆同じ。
時代小説なのに古めかしさを感じさせず、今の男女と同じような感覚の登場人物に共感します。
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どれも心にしみいるお話。「さびしい水音」はどちらの気持ちもわかるだけに切ない話でした。でも、佐吉は熱しやすく冷めやすい性格なので、すぐに忘れて普段の生活に戻るんだろうなあ。余計に切なかったです。この方の本、おもしろいのですが、他の方の時代小説に比べると甘い印象なので、ときどき、ストーリーが弱いとたたかれてしまうんだろうなあ。私はそれはそれでよしだと思うんですが。
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江戸、深川が舞台の短編が6つ。出てくる娘さんがリアルで目に浮かんでくるようです。それからいろんな職人さんが出てきてとても面白い。下駄職人、花火職人、凧職人、大工、板前。江戸のゆとりや庶民の生活を身近に感じた。登場人物の人柄、しぐさ、思いやりにじんとする。「下駄屋おけい」「凧、凧、揚がれ」「狐拳」が特に良かった。いつの世も人のやさしさがあればこそ生きていけるのだと思う。どうしても泣けてきてしまう。
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江戸深川を舞台にした短編集。吉川英治文学新人賞作品だそうな。江戸下町の風情が、相変わらずなんとも心地よい。んで、この本で気づいたのですが、宇江佐センセは江戸下町のヒトビトの職業の書き(描き?)分けがジツに巧みで素晴らしい!と思うのです。はい。職人さんからお店(おたな)勤めからお武家さんから浪人(←職業か?)などなど、とても詳しくイキイキと書いておられます。いや、スゴイ!
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若々しい、爽やかな、胸が熱くある、切ない、悲しい、ホッとする恋物語。どちらかと言えば生き方の下手な人たちの話が多いけど、世渡り上手の人たちよりもずっと温かで好きだな。
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L
下駄屋おけい…木綿の反物屋の娘と家出の下駄屋巳之吉
がらくた橋は渡らない…花火屋の職人信次が出会った夫婦の話
凧、凧、揚がれ…
さびしい水音…
仙台堀…
狐拳…
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人情の町、江戸深川を舞台に綴られる6編の物語。
冒頭の「下駄屋おけい」が明るくさわやかな若い恋物語だったので後の5編もそんな感じかな、と思いきや、渋い渋い。
特に「さびしい水音」は哀愁たっぷりの印象深い作品だった。働き者でお互いに相手への気遣いも忘れない穏やかな夫婦だったお新と佐吉。ところがあることがきっかけで深い溝が出来、やがて別れが…。
6編それぞれに異なった味わいがあり、誰が読んでも琴線に触れる1編があるのでは、と思った。
阿刀田高氏の解説も一読の価値あり。