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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2004.11
- 出版社: 新潮社
- サイズ:20cm/173p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-10-471901-3
紙の本
豆腐道
いまの日本人は食べ物の本来を忘れているのと違いますか−。川端康成が「古都」に織り込み、司馬遼太郎が「日本文化を食っている気がしてくる」と感嘆した京都・嵯峨「森嘉」の豆腐か...
豆腐道
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商品説明
いまの日本人は食べ物の本来を忘れているのと違いますか−。川端康成が「古都」に織り込み、司馬遼太郎が「日本文化を食っている気がしてくる」と感嘆した京都・嵯峨「森嘉」の豆腐から、地域における食のあり方が見えてくる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
森井 源一
- 略歴
- 〈森井〉1948年京都生まれ。嵯峨豆腐「森嘉」5代目。02年京都府優秀技能者(現代の名工)として表彰。
〈一志〉1956年生まれ。ノンフィクションライター。著書に「魂の森を行け」等。
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紙の本
愛されてやまない「豆腐」の秘密とは
2004/11/30 09:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:truckee - この投稿者のレビュー一覧を見る
京都・嵯峨を訪れる人の多くが心待ちにする食べ物。それが湯豆腐である。数々の店で湯豆腐が客にもてなされている。そしてその店々から絶大な信頼を誇る豆腐屋、それが、嵯峨豆腐「森嘉」だという。
「森嘉」は古くからこの地で愛され、現在5代目森井源一氏がその味と伝統を守っている。本書『豆腐道』では、その5代目が、地元はもとより全国から愛される「豆腐」の秘密を語っている。
「森嘉」の豆腐には、実に豆腐の概念を一瞬にして覆すほどの本物の味わいと深みがある。至る所で持て囃され、濃厚で甘みが強く数口食べれば満足する豆腐とは性格を異にする。口にした瞬間に溶けて消え、大豆の甘みと旨みが口の中に広がり、もっともっとと欲するような、そんな豆腐なのである。
『豆腐道』を読むと、ご主人の真っ直ぐな、ただ真摯な態度に敬意すら感じる。豆腐とはかくも深いものか、と自分が恥ずかしくなる。その語り口は、時に厳しさも感じるが、素朴で穏やかだ。驕りや媚など微塵にも感じられない。「豆腐」作りを想像すれば、こだわりは「水・大豆・温度」位と思っていたが、甘かった。ここまでこだわり抜いてこそ、あの豆腐が生まれるのだと納得した。
ご主人はこう語る。「嵯峨の気候風土すべてが味のうち。その土地でその日に作ったものをその日のうちに食べていただく」。物が溢れ、物質的に満たされすぎ、スピードや効率ばかりが物言われる現代日本において、今、この言葉に耳を傾けることが大切なのではないか。
そして、巻末「森嘉の真髄」も見事だ。ライター一志氏によるキレのある表現と描写力が、より一層、ご主人の「職人ぶり」と「人となり」を余すところなく伝えてくれる。
「森嘉の真髄」で『豆腐道』がさらに引き締まった、そんな感じさえした。森嘉の「豆腐」を味わってから『豆腐道』を読むもよし。『豆腐道』を学んでから森嘉の「豆腐」を頂くもよし。何度でも味わいたくなる、そんな珠玉の一冊。