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紙の本
「カルト」を問い直す 信教の自由というリスク (中公新書ラクレ)
著者 櫻井 義秀 (著)
現代人はテロ・同居問題・勧誘など、「カルト」の誘惑やリスクと隣り合わせであり、テロに遭遇する危険性もゼロではない。オウムや統一教会などを事例に、「カルト」問題の現代的状況...
「カルト」を問い直す 信教の自由というリスク (中公新書ラクレ)
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商品説明
現代人はテロ・同居問題・勧誘など、「カルト」の誘惑やリスクと隣り合わせであり、テロに遭遇する危険性もゼロではない。オウムや統一教会などを事例に、「カルト」問題の現代的状況、リスクへの対応策を考察する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
櫻井 義秀
- 略歴
- 〈櫻井義秀〉1961年山形県生まれ。北海道大学大学院文学研究科教授。著書に「東北タイの開発と文化再編」がある。
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紙の本
この本のいいのは,筆者に「正義がない」ことである
2006/07/26 11:07
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
よくあるカルト論の二潮流,「カルトは反社会集団です,自由をハキ違えてはいけません」と「カルトのヒトにも人権や信教の自由はあり,それらは尊重されるべきです」のどちらにも与せずにその両方の論拠を分析し,大学といういわば「カルトの草狩り場」においていかに学生を守るか,または守ることは可能なのか,もしくは守ることが必要なのか,あるいは守るに値するのか(とまでは言ってない)を考察した,読み応えのある宗教社会論である。
この本のいいのは,筆者に「正義がない」ことである。ちと乱暴か。間違ってたらごめんなさいだが,このヒトはオレと同じように「正義なんて世にも恣意的なモンを支点に論を振り回しても当たったヒトが怒るだけだ」と思っている……んだと思うのよ。象徴的なのがオウム信者の人権を擁護するヒトと反対運動のヒトによる以下の会話。「それでは逆にお聞きしますが,あなた方の家の隣にオウムが来たとしたらどうしますか? 受け入れますか?」「受け入れますよ。隣に住むことができます」「じゃあ彼らをみなさんのところへ連れてってくださいよ! 彼らにも人権はあるっていうけど,こっちにだって人権があるし,実際に生活圏が脅かされているんだ。とっとと連れてってくれ!」。
……もちろん誰も連れてってはくれない(笑)。ここは民主主義国家の拠り所である人権論が現実の前に破綻をきたしている場所なわけなんだけど,その破綻を弥縫するべく期待される司法はオウム(こっちは鳥のオウムね)のように「信者にも人権はあるから自治体は住民票の受け入れを拒否できない」と繰り返すだけなのだ。どちらかに与して「どうするべきだ」と言わず,この現状をこの視点から鳥瞰してみせただけでも手柄である。この本が,今現在カルトの問題に悩む人々の処方箋として機能することはないだろうが,もしかしたら解決に向かう「急がば回れ」の一歩かも知れないと思わせる。