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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.2
- 出版社: 早川書房
- レーベル: ハヤカワ・ポケット・ミステリ・ブックス
- サイズ:19cm/238p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-15-001767-5
紙の本
編集者を殺せ (Hayakawa pocket mystery books)
編集者殺しと弁護士事務所所員殺しを繫ぐのは、原稿を没にされた作家の名前だった…。グルメ×ウィット×ミステリ、巨漢の美食探偵ネロ・ウルフ・シリーズ屈指の名作、初の邦訳。【「...
編集者を殺せ (Hayakawa pocket mystery books)
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商品説明
編集者殺しと弁護士事務所所員殺しを繫ぐのは、原稿を没にされた作家の名前だった…。グルメ×ウィット×ミステリ、巨漢の美食探偵ネロ・ウルフ・シリーズ屈指の名作、初の邦訳。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
レックス・スタウト
- 略歴
- 〈スタウト〉1886〜1975年。インディアナ州生まれ。小説家。「ファーザー・ハント」でCWA賞外国作品賞受賞。作品に「料理長が多すぎる」など。
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紙の本
同じデブなら、わたしはカーの作品に出てくるフェル博士のほうが好きだ。なんといってもユーモラスだもの。少なくとも、この話にあるのは詐欺師まがいの探偵と助手の姿でしかない
2005/06/11 22:40
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズ、評価はアーチーを好きか嫌いかで決まると思うのだけれど、どうだろう。むろん、解説の杉江松恋のようにアーチーの態度にユーモアを感じ若々しさ、清々しいと思う人もいるけれど、私のように軽率や無責任、人を見下した尊大さをみる人間には、なんとも苦々しいものとなる。
たとえば、この小説でアーチーは吃音癖のあるロウクリッフの物まねを本人の目の前で行い、相手を愚弄する場面がある。多分、私はこれを今ほど障害者に対する配慮が騒がれていない20年前に読んだとしても不快に感じたはずだ。ここにあるのは反権力などではさらさらなく、単なる弱いものイジメだ。
それによくある現場に勝手に入り込み、証拠品を持ち去るというやつ。これはガードナーのペリイ・メイスンにもよく見るけれど、正義のためなら何をやってもいい、というアメリカ人を見るようで、すんなりとは肯けない。
解説で、杉江はアーチーとウルフの関係を父子のように論じているようだけれど、私にはヤクザの親分と子分くらいにしか思えなくて、二人の態度に、人間に対する蔑視しか感じない。相手が豊かであれば、平気で高い料金を吹っかけ、経費は使い放題、他人のものでも自分のものかのように振舞うその態度は、やはりお堅い私には好きになれないのだ。
まして、請求できるお金での飲食、取材を利用して女性との会食を経費で落とす、これがアメリカの探偵だとしたら、日本の探偵などは神様仏様ではないか。ウルフの恫喝というのも、まさにヤクザだ。こんな人間が街中をうろついたら、それだけで迷惑だけれど、ありがたいことにこの男、外に出るのが大嫌いと来ている。ただし、尊大というイメージは抜きがたい。
それにしても、アーチーという男の、仕事のついでに女性に勝手な妄想をいだき、人妻だろうが他人の恋人だろうが、そこそこ若くて綺麗であれば声をかけ、キスの一つでもしようという薄汚い根性を「人好きのする性格」という杉江は、それこそ自分の願望をこの語り手にたくしてはいないだろうか。ま、もてたいというのは、性別年齢を越えた夢ではあるのだろうけれど、いくら1951年の作品とはいえ、女性に対する見方の底の浅さには辟易する。
でだ、この本のキャッチと案内を本から引っ張れば
「巨漢の美食家探偵シリーズ、屈指の名作
探偵ネロ・ウルフを事故死した娘は実は殺されたのではないかと考える父親が訪ねてきた。娘は出版社に勤める編集者で、亡くなった晩は原稿の採用を断ったアーチャーなる作家と会う約束をしていたという。ウルフはこのアーチャーという名前に聞き覚えがあった。先日、弁護士事務所で起きた殺人事件にも同じ名が登場したのだ。ウルフに命じられて二つの事件を調べるアーチーの目前でさらなる殺人が!アーチーは一計を案じ、関係者の女性たちにウルフ秘蔵の蘭とディナーを贈るが・・・・・・美食家探偵が苦虫を噛み潰しつつ、狡知な殺人鬼と対決する」
となる。なぜ「屈指の名作」が、今まで訳出されなかったのか、と思う人は早川書房と杉江に訊ねてほしい。ただし、今までの私の文章を読めば分るだろうけれど、私は杉江がいう「登場人物たちのしっかりした造形」にこそケチはつけるものの、推理の部分に難癖をつけてはいない。
そう、ミステリとしてはよく出来ているのだ。伏線、それも小技が効いているし、大技もある。凄い、とは言わないけれど、ふーん、そうだったのね、以上には思わせる。屈指、はともかくいい作品であることは文句のつけようがない。むしろ、登場人物がもっと普通の感覚をもっていたら、杉江とは逆に、私は思う。
しかしなあ、巨漢の美食家とあるけれど、この小説を読む限り、その描写は零で、杉江がわざわざ解説で書かなければ、単なるチビデブの蘭狂いとしか思えない。やはり、キャッチはその作品から持って来て欲しい。最近、ちょっとハヤカワさん、ヘン・・・