電子書籍
意欲的な挑戦作!
2020/10/24 23:14
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投稿者:なのはな - この投稿者のレビュー一覧を見る
辻真先さんのデビュー作品で、新本格ブームのはるか以前にメタミステリに挑戦した意欲作です。ファンにはお馴染みのスーパーやポテトが出てくるので、掛け合いが面白いです。ただし、書かれた時代が古い(50年近く前)ので、使われているギャグのセンスには大半の読者はついていけないと思いますが、それもまたご愛嬌。本格ミステリとしても鉄道トリックや密室トリックなどが取り上げられていて、基本的なトリックですが、しっかりしたものになっています。そして「読者が犯人」というアイディアですが、この時代にこのアイディアでミステリを書いたことに敬意を評したいです。
紙の本
究極の意外な犯人
2015/03/23 23:21
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投稿者:アントネスト - この投稿者のレビュー一覧を見る
文武両道(ただし学校の勉強に役立たない知識に限る)の女子中学生スーパーこと可能キリコと、ぼさっとしてジャガイモみたいな外見だが、見た目を裏切る深い洞察力を持つポテトこと牧薩次のコンビが活躍するシリーズ第一作。
何といっても、この作品のすごいのは冒頭に掲げられた「○○が犯人」という趣向でしょう。ミステリの歴史は意外な犯人を掘り当てる歴史でした。動物、子ども、被害者、死んだはずの人物、警察官、探偵etc、あらゆる人物が犯人になってきましたが、もはや誰を犯人に設定しても新味はないと思われますが、さにあらず。この作品はものすごい人物を犯人にしてしまいます。
「誰を犯人にしたんだ?」と興味を持った方はぜひプロローグを読んでみてください。今度は「どうやったら○○を犯人にできるんだ?」と続きが読みたくなるはずです。
紙の本
犯人は○○
2005/11/29 09:09
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投稿者:ピエロ - この投稿者のレビュー一覧を見る
迷犬ルパンのシリーズなど数多くのミステリ作品を発表してきた作者の、記念すべき長編デビュー作。なのだそう。もともと、今でいう「ヤングアダルト」を対象に書かれたミステリだそうで、主人公の探偵役は中学二年生の男女二人組み。クセのない文章でスラスラ〜ッと読めてしまいます。
が、ヤングアダルト対象と侮るなかれ、作者は本作で犯人=○○と、とんでもないことを成し遂げています。この○○、別にハッキリ書いちゃってもいいんです。ネタバレにならないんです。文庫の表紙をめくると、内容案内にちゃんと書かれているので。が、ここでは一応伏せておきます。おもしろ味がなくなると思う方は、この内容案内を読まずに本編へ進んでください。ですが、カンのちょっと鈍い人は作者のねらいに気づかずに読み進めてしまうおそれがあるので、ここはやっぱり内容案内を読んで、作者がどうやって犯人を○○にするのか、ワクワクドキドキしながら読み進めるのが正しい(?)読み方かもしれません。この仕掛けを、よくやったと感心するか、だまされたと思うかは好みの問題ですが。
本書で活躍するポテトとスーパーの二人の中学生、ほかにも何作かで探偵役を務め、それらもいろいろと凝った仕掛けがあるミステリなのだそう。楽しみですね。
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1972年刊行の作者のデビュー作。
「スーパー&ポテト」シリーズの第1作でもある。
子供向の作品とはいへ、「犯人は讀者」といふメタな設定には驚かされる。
昔の子供はレベルが高かつたのだらう。
實は私の同時代ものなんだけど・・・
2004年7月23日讀了
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1972年の復刻版。懐かしい〜。これを読むまでは辻真先=脚本家のイメージが強かったのですが……。今読んでも面白いです。叙述トリックの決定版。スーパー&ポテトのコンビが今でも好きです。
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探偵、探偵の助手、依頼人、とミステリの犯人役は読者の裏をついてきました。これは更に裏をつくものであります。復刻に納得。最後も謎まみれ・・・
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この推理小説の犯人は読者(あなた)なんです。
辻真先が放つデビュー長編。
……少し詭弁めいたところもありますが、読者が!!なんて発想を形にしてしまう氏の周到さには恐れ入ります。
微笑ましいスーパーとジャガイモのコンビ(あ、兄貴がいたか)と、辻真先誕生秘話、お楽しみくださいw
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ミステリとしてはシンプルなネタが多く、読みやすい印象だけれど。作中作などの凝った構成もされている作品。なるほど、「読者が犯人」の意味はこういうことですか。
実はこのシリーズを読むのはこれが初めてだけれど。あのジャガイモくんがやがては「完全恋愛」を書くのだなあ、と思うと感慨が深いです(笑)。
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帯の北村薫先生と法月綸太郎先生の文句に惹かれたのと、
大御所辻真先先生作品を一度読んでみたくて読んでみました。
70年代序盤に書かれたものなので、随所に時代を感じる単語が並びます。
カタカナとかカタカナとかカタカナとか(笑)。
確かに「読者=犯人」というトリックは面白かったですが、
自分的にミステリとしては大ッ嫌いなので、星1つです。
近年の若むけミステリでは一番知名度高いかもな「名探偵コナン」
でエピとしてありましたが、
被害者以外に死ななくていい人間が死ぬ、および探偵(役)
がやすやすと死なせてしまうミステリは大嫌いなのです。
(コナンでは「犯人を追い込んでみすみす死なせる奴は殺人者とかわんねぇよ」
的セリフがあります。)
本作は短編連作にして大筋が1本になるお話ですが、
まさか全ての話にこの大嫌いな要素があるとは…
これさえなければ星は4つになったと思うのですが、
この最悪要素で星ー3つです。
しかも作中で作家の卵=先生自身を示唆が描いたものとなっているので尚更…
実際、今は倫理的にも嫌う傾向が強いのか、
昔は「太陽にほえろ」で刑事が殉職しまくりとかありましたが、
今はサスペンスでも被害者以外が死ぬものは少ないですね。
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中学校に入ったころ、町の図書館で片っ端から読みまくったのが西村京太郎と山村美紗だった。その話のパターンにだいぶ飽きてきたころ、書架の隅の方でめぐり合ったのが、当時ソノラマ文庫から出ていたこの本だった。
「犯人は読者」なんて、どうやって実現するつもりだろう、と『眉につばをつけ』ながら読んでいってびっくりした。ホントに読者が犯人になっていたのだから...
ミステリの面白さに魅せられたのは、この本がきっかけだった。
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父に薦められて。紹介されたのは私がまさに中学生のころで、読みかけのまま何年も放置してしまっていたが、今読み返しても面白い。
40年近く前に発表された作品なので、描写や人物の口調に古さは感じられるが、それが気にならない若年層にはぜひおすすめしたい。
トリックや捜査に少々粗さはあるものの(指紋や血痕にほとんど言及されず、調べればすぐわかる列車の仕組みなど、主人公たちが出張らずともさっさと警察が解決してしまえそう……というのはミステリー小説には野暮か)、犯人は読者、という奇抜な発想を、物語のなかにしっかり織り込んでいる。
そして何より構成がおもしろい。主人公として紹介されている表紙イラストの二人、キリコと薩次が活躍する事件――を、執筆している人間の物語が、表紙の二人が出てくる「作中作」の間に章立てで挟まれている。そしてその執筆者の物語こそが、「読者が犯人」である切ない事件、語り継がれることのないであろう物語。
キリコと薩次の物語は二人の中学生らしさが押し出され、軽快なテンポで読める。美少女とジャガイモ、まったく正反対なコンビである二人の関係が楽しくも甘酸っぱくてとても好き。
シリーズで出ているようなので、続刊も読みたいと思った。
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読んだのは、朝日ソノラマ版で小学生だったかしらん。 阿呆な少年だった(今は阿呆な中年)ワタクシは、読後「もしかして、実際にあった話?」と思ったり。 全日空の雫石事故をモチーフにしたと思われる航空機事故で両親を亡くした少年が書いたミステリ短編連作という体裁を取っている。 青春の哀悼が胸に迫る作者畢竟の作品と未だに信じている。
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「読者が犯人」で有名な作品です。最初から犯人を明らかにする突飛な展開で期すが、最後はきちんと収束させています。「仕掛け」自体はそんなに面白いとは思いませんでしたが、著者のチャレンジに敬意を表したいです。
トリックに関しては、残念ながら現在では色褪せてしまった感がありますが、これぞ王道というネタばかりなので、推理小説好きの読者なら一読の価値はあると思います。
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冒頭で読者が犯人と宣言されるんです!時代を感じさせすぎるガチャガチャさある、ハチャハチャ半歩前という感じ。
作者初期作品で、のちにこのシリーズの登場人物が作者扱いの本が何冊が出るのでそれ読む前にこのシリーズを読んどこうかなと思って。
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新作が出るそうなので再読。
青春三部作と言われる作品で、初読は朝日ソノラマ版。
スーパーとポテト懐かしい。
1972年に書かれた作品ということで、もう40年以上経ってるんですね。
結構古い作品も読む方なので、作中の古い風俗は読んでいて面白かったです。
カタカナ語とかね(笑)
「犯人は読者だ!」と堂々と書かれている作品で、当時は随分ぶっ飛んでるなーと思った記憶があるのですが、今読んでも構成が凝っていて、懐かしく面白かったです。