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紙の本
北条義時 我、鎌倉にて天運を待つ (潮文庫)
著者 高橋 直樹 (著)
源頼朝の伊豆での旗揚げ時から忠義を尽くし、常におごらず、時に影の如き冷徹さを兼ね備えた武将・北条義時。頼朝の死後、幕府内の権力抗争が繰り返され、やがて三代将軍実朝が暗殺さ...
北条義時 我、鎌倉にて天運を待つ (潮文庫)
北条義時
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商品説明
源頼朝の伊豆での旗揚げ時から忠義を尽くし、常におごらず、時に影の如き冷徹さを兼ね備えた武将・北条義時。頼朝の死後、幕府内の権力抗争が繰り返され、やがて三代将軍実朝が暗殺されると、朝廷は義時追討の宣旨を発し…。【「TRC MARC」の商品解説】
鎌倉幕府第二代執権・北条義時。源頼朝の伊豆での旗揚げ時から忠義を尽くし、頼朝にすべてを学んだ男。常におごらず、源三代の「鎌倉殿」に仕えながら、時に影の如き冷徹さを兼ね備えた武将である。
頼朝死後、繰り返される権力の座を巡る幕府内の抗争。次々と滅んでいく幕府開闢の功労者たち。
そして三代将軍実朝が暗殺され、朝廷が義時追討の宣旨を発した時、「不動」の男がついに動く!
迫る朝廷軍。承久の乱を目前に義時は――はたして義時は「運」だけでのし上がったのか、それとも……【商品解説】
2022 年の大河ドラマ主人公を鎌倉時代小説の旗手が満を持して長編書き下ろし!【本の内容】
著者紹介
高橋 直樹
- 略歴
- 1960 年生まれ。92 年「尼子悲話」で第72回オール讀物新人賞受賞。95 年「異形の寵児」で第114 回直木賞候補。97 年「鎌倉擾乱」で中山義秀文学賞受賞。
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紙の本
陽が当たり始めると、続々と異なる義時像が現れる
2022/03/21 17:40
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりに高橋直樹が描いた文庫本へのダイレクトの書下ろし小説である。NHK大河ドラマで、北条義時が取り上げられて、文芸面でも出版が盛んに行われている。奥村景布子、伊東潤、高橋直樹と名うての時代小説作家を読んでみた。とくに比較する必要もないのだが、大半の小説が『吾妻鏡』を下敷きにしているので、ストーリーに大きな違いはないはずである。
高橋は今までに頼朝などを中心に鎌倉時代の短編を書いてきた。本書もその総括となる一冊であるが、歴史の解説書を読んでいる印象である。というのも近年会話文をそのまま記す様式が増えている。たしかに読みやすく、スピード感はあるのだが、その分中身が薄いことは間違いない。小説ではあるが、たしかな歴史を知りたい向きにはぴったりとマッチしている。
従来の歴史学の積み重ねで、史実と判明している事柄は明らかにして欲しいし、不明な点は小説家の腕の見せ所であろう。その点、高橋の小説は歴史の解説書を読んでいると書いたのだが、オリジナルのアイデアもよく織り込まれており、読んでいても納得しやすい内容、書き方であったと思う。
登場する人物がどのような性格であったのかは、歴史書を読んでもそこまでは書かれていないのが普通であろう。とりわけ鎌倉時代となれば、今から九百年以上も前の話である。また著作物もそれほど多くないので、確かめようもないわけである。
江戸時代でさえ登場人物の人間関係などは解明できない。ましてや鎌倉時代ではそういう人物がいるのか否かさえ定かではない。鎌倉時代の小説が今後面白くなりそうなのは歴史全体というよりは個々の人間ドラマが未開拓だからであろう。もっとこの時代の史実における社会的な意義だけでなく、登場人物の人間的な側面を掘り起こしていくことが求められていよう。