紙の本
長い年月をイスラームとキリスト教が影響しあい、ヨーロッパの「異郷」ともいえる特異な文化が育まれた国、スペイン。くり返す衝突と融和の歴史
2019/02/01 13:25
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投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
スペインはおもしろい。地理的にも歴史的にも文化的にもユニークで魅力が抜きん出てる。いままでのいろんな知識が結びついて自分の中のスペイン像に色がついたように感じる。岩波ジュニア新書の「〈たどる〉ヨーロッパ史シリーズ」最新刊。シリーズ既刊、『パスタでたどるイタリア史』、『お菓子でたどるフランス史』他があります。
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わかりやすい
2023/06/11 13:35
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投稿者:なつめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
スペインの歴史が、わかりやすく解説されていて、よかったです。情熱という言葉がキーワードになっているのが、興味深かったです。
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キーワードを情熱として
2023/01/21 10:37
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
スペインの歴史と国民性を「情熱」をキーワードにして解説。子ども向けといっても、日本から遠いスペイン、充分に勉強になりました。
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スペイン史のコンパクトな参考書
2019/12/01 09:51
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
複雑なスペインの歴史がコンパクトにまとめられた一冊。巻頭に豊富な口絵が収録されている。スペイン文学を読む時、当時の時代背景や社会制度を知らないと理解が及ばないことがままあるので、スペイン史の参考書として手元に置きたい。
時代毎に項目や章が分かれているので読みやすい。特にスペイン黄金時代の明暗が描かれた部分は面白い。一方、第二次世界大戦から現在にかけての解説がやや急ぎ気味なのが残念だった。現代スペインに大きな影を落としたスペイン内戦については、もう少し詳述がほしい。
スペイン史に興味を持つ人にとって、良い手引きになる本書。世界史の副教材としてもいいと思う。
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ついにヮスペインにまで手を広げ・・・
2023/03/17 17:00
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投稿者:719h - この投稿者のレビュー一覧を見る
情熱という切り口のスペイン史って
どんなものだろうか。書名を見てまず、
そう訝ってしまいました。
謂わば「勤勉でたどる日本史」といった書名に
感じるのと似たりよったりの違和感を感じた
わけです。
情熱という主題ヮ、大方の日本人にとってヮ
かの国の印象と結びつきやすく、
その意味で一見分かりやすいようですが、
スペインという国の領域内の民族と文化との
多様性を考慮すると、実のところ普遍性に乏しく、
そもそも無理筋だったように思います。
スペインについてヮ、
この種の誤解が少なくないように思います。
日本社会でヮ、スペイン文化の代名詞であるかの
ように扱われがちなフラメンコや闘牛も、
優れてアンダルシア的な文化でしょう。
なお、リュイヮ、カタルーニャ人ですし、
イエズス会創始者のロヨラヮ、バスク地方出身で、
歴史の教科書に出てくるザビエルヮ、ナバラ生まれ。
地元の人ヮ、彼らが所謂スペイン人だとヮ思って
いないはずです。
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★★★2019年6月レビュー★★★
「情熱」というキーワードでたどるスペイン史。
闘牛やフラメンコに代表されるような「情熱」の原点は何なのか。明確な答えはないものの、やはりヨーロッパの僻地であり、痩せて乾いた大地。そこに集った異文化の人たち。そのような地理的、歴史的背景が大いに関係しているのだろう。
カスティーリャ王国のアルフォンソ10世(在位1252年~1284年)の功績など、知らなかったことを知ることができた。彼は「賢王」と呼ばれ、異文化交流に大きな貢献をした。また、『七分法典』による法整備。それがラテン語ではなく、カスティーリャ後で書かれていることが重要。
現在のスペイン語の広まりに大きな役割を果たした人物と言えるだろう。
15世紀前半の破格の知識人、ラモン・リュイも重要人物。マヨルカ島出身で、異教徒の改宗に力を注いだ。
レコンキスタ~黄金時代~凋落の時代~スペイン内戦に至る歴史がダイジェストで記されており、ざっとスペイン史をたどるには絶好の本だろう。
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岩波のジュニア新書。
タイトルからジュニアと知らず手に取った。
十分にジュニアではない〈笑〉
一部ネタバレ
男性にとって愛する女性は自分の「一部」「所有物」で、女性のささいな言動でもそれが期待と外れると、自分の存在が深部から脅かされたように感ずるのです。
メリメの小説『カルメン』
男性の気まぐれに翻弄されてきたヒロイン。
これは小説だけでないし、スペインだけでもない。
腑に落ちた!衝撃だった。
スペインのジブラルタル海峡が好きでいずれポルトガルとスペインの関係歴史に触れてみたかったが十分歴史紀行できた。
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スペインのイメージはなんだろうか。
サッカーならバルセロナ。
建築ならサクラダファミリアやアルハンブラ宮殿、文化なら闘牛、フラメンコ、絵画ならベラスケス、エル・グレコ、ゴヤ、ピカソといった大家を排出する。
歴史ではピサロやコルテスといったコンキスタドールがラテンアメリカに入り、様々なものを奪い、あるいはイエズス会は世界各地で不況をし、とりわけザビエルは日本への布教活動で有名なことこの上ない。
でも、それが全てだろうか?
高校時代の世界史ではスペイン史として少し学んだが、それでも新しい発見が本書にはあった。
教科書に載っているものだけ、ニュースで取り上げられるものだけが、その国ではない。
初めて知ったのが文学の技法。
奇知主義や文飾主義といった17世紀の超絶技巧で書かれた文学は、なかなか翻訳が難しそうだ。
言葉遊びだらけで本質が分からなくなりそうだが、どうなのだろう?
でも、日本の私たちだって17世紀の文書はかなり手こずる。
きっとスペインでも、古文に近いのでは、と思っているのだが。
私自身の興味として、絵画については興味深い。
プラド美術館などは一度は訪問したいと思いつつ、都内美術館の企画展に足を運ぶのがやっと。
スペイン人は世論調査によると、ヨーロッパの中で赤が好きな国だそうだ。
さっすが情熱の国!
さて、そんな赤が好きなスペイン。
赤色を作る着色料、コチニールが、新大陸から持ち込まれた、とのことだが、私はこの原料を知ってから出来るだけ避けてしまっている。
もちろん食品衛生法上何の問題もないのだろうが、好みの問題として…
パプリカやトマトといった食べ物だって赤の国、それがスペイン!
passion という言葉が示すものこそ、スペイン。
国民性、民衆についても考察を加えた本書は歴史の面白さを体感させてくれる。
本書でシリーズは終わりだそうだが、できれば他の国もお願いしたいと思う。
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その情熱は激しく、どこか哀しく。
岩波ジュニア新書のシリーズ。情熱の国、というフレーズは当たり前のように使われるが、ではスペインを貫く情熱とは何か、と言われるとフラメンコや闘牛くらいしか思いつかない。この本は「情熱」をキーワードにスペインの歴史を概観する。キリスト教・イスラム教・ユダヤ教がまじりあい、影響し合う文化、ヨーロッパにしてもアフリカにしても辺境の地、個性の強い地方が緩くまとまり、名誉を重んじる民衆のエネルギーの濁流。スペインの個性を知るのにいい一冊。
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「岩波ジュニア新書」は少年少女向けとあなどれません。
恥ずかしながらスペインの歴史についてほとんど知りません出したのでとても良い勉強となりました。
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池上俊一 欧州主要5カ国たどる史第5弾。ピレネー山脈の南、地中海性気候で、茶褐色の不毛の大地イベリア半島。ローマ、イスラムに支配された後、敬虔なカトリック教国は無敵艦隊で大航海時代を制すもあまりにも熱心な布教を伴う侵略活動と病原体の持ち込みにより
中南米異教徒1500万人を殺害してしまう。ドン・キホーテと闘牛、カルメンをこよなく愛しピカソ、ダリ、芸術家を輩出し燃える赤が大好きな情熱の国エスパニョーラ。
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刊行日 2019/01/22
「フラメンコや闘牛に表出する情熱的な国民性,異文化が融合する傑出した建築,パプリカやトマトで彩られた真っ赤な食べ物――.他のヨーロッパ諸国とはピレネー山脈にさえぎられ,長い年月をイスラームとキリスト教が影響しあい,特異な文化が育まれたスペイン.衝突と融和の歴史を,情熱的な国民性からひもときます.(カラー口絵8頁)」
はじめに
第1章 ローマ属州から西ゴート支配へ─―先史時代~中世初期
アフリカの一部としてのスペイン/中央台地(メセタ)と乾燥した貧しい大地/イベリア人とケルト人/ローマの一属州として/都市の復興と鉱山開発/言語・宗教の統一/猛烈な気性/西ゴート時代とその遺産/大知識人セビーリャのイシドルス
第2章 国土回復運動の時代─―八世紀~一五世紀
イスラーム時代のスペイン/後ウマイヤ朝時代の文化/レコンキスタ(国土回復運動)の進展/封建(ほうけん)制度の浸透度/タイファ(群小諸王国)の乱立/ムラービト朝からムワッヒド朝へ/トレドでの文化交流/巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラ/スペイン・ロマネスク/中核としてのカスティーリャ/地中海に雄飛するアラゴン連合王国/コルテス(議会)の役割/叙事詩『わがシッドの歌』/宗教騎士団設立/異文化交流の果実/アルハンブラ宮殿造営/賢王(けんおう)アルフォンソ一〇世/破格の知識人ラモン・リュイ/質素な貴族と郷士然たる職人/情熱としての名誉/カトリック両王によるグラナダ解放とレコンキスタの完成/異端審問制(いたんしんもんせい)の開始とユダヤ人追放
第3章 スペイン黄金世紀―─ 一六・一七世紀前後
見知らぬ土地への冒険の魅力/エンコミエンダ制/ラス・カサスの告発/太陽の沈まぬ国の形成/複合君主制の統治体制/経済の消長/イエズス会と海外布教活動/カトリックでのスペイン統一/「血の純潔」規約/鍋なべ釜かまに神を見る神秘家/十字架のヨハネの場合/ロマンセーロとピカレスク小説/国民文学としての『ドン・キホーテ』/古典演劇の開花/奇知主義と文飾主義/コンベルソの文化創造力/スペイン・バロックの装飾性/パーソ像と幻視絵画/民衆宗教の展開/「画家のなかの画家」ベラスケス/完璧な赤色を求めて/赤い食べ物/一七世紀の政治と経済
第4章 ブルボン朝の時代―─ 一八世紀前後
スペイン継承戦争から対フランス宣戦へ/経済復興と貧しい農民/カトリック的啓蒙(けいもう)/闘牛の貴族的起源・民衆的起源/三場面の展開と規則・様式の確立/情熱の愛とドン・フアン伝説/愛される画家ゴヤ/民衆文化の勝利
第5章 社会分裂と領袖(りょうしゅう)政治―─ 一九世紀前後
スペイン独立戦争からカルリスタ戦争へ/多発するクーデター宣言(プロヌンシアミエント)/スペイン帝国の崩壊/魂の音楽としてのフラメンコ/全一的な楽器,ギター/ロマン主義文学/地方の政治・社会を牛耳(ぎゅうじ)る領袖(カシーケ)たち/工業発展のきざし/王政復古と米西戦争/国民意識形成の難しさ
第6章 内戦・自治州・EU―─二〇世紀以降
アルフォンソ一三世の親政と第二共和政/スペイン内戦からフランコ時代へ/ヨーロッパのなかのスペイン/地域ナショナリズムと自治州国家の完成/詩人ロルカ/ピカソ,ミロ,ダリ/建築家ガウディ/現代スペインの情熱はどこに?/本書のまとめ
あとがき
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