紙の本
日本独特の考え方への果敢な挑戦
2019/07/22 16:55
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
我が国独特の考え方、「空気」について著者が果敢に異論を提唱した、斬新で痛快な著書です。ぜひとも、多感な小中高生に読んでほしい1冊です。学校とは違うものの見方を会得できます。それはやがて、大人になってから役に立つでしょう。
やはり、日本はもっと海外を見ないといけないですね。私も勉強になりました。
紙の本
孤独という状態を近しく感じる世代が読んでも染み入る内容
2019/06/11 18:53
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
周りの視線を気にして自分を抑える毎日…。そんなのはもうイヤだっ!というアナタに、本書はおすすめです。鴻上さんの厳しくとも優しい文体が大好きなのだが、本書はジュニア新書ということもあり殊更に優しさに満ちている。大人も読むべき。子どもは大人を驚くほどよく見ているから。子どもたちの「生き苦しさ」の本質に迫った本です。
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同じ著者の『「空気」と「世間」』(講談社現代新書)の内容を中高生向けにわかりやすく書いた本。でも短時間で本質をつかむなら、大人でもまずはこちらを読んでもいい。
周りの目を気にして流されてしまう息(生き)苦しさは個人の弱さではなくわたしたちがどっぷりつかっている同調圧力の強い日本の文化(国柄)に理由がある、「置かれた場所で咲きなさい」「しょうがない」のような現実を甘受する受身から脱しよう、思考停止しないで考えよう、「世間」や「空気」とたたおかおうという話をていねいに伝える本。即効薬のようになにかをぱっと解決はしてくれないけれど、この本を読んだかどうかでたしかにだいぶ楽になるはず。特に最後の「スマホの時代に」の章だけでも、これから本格スマホデビューする中学生に読んでほしい。
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ジュニア新書として異例の大ヒット!と帯に書いてあったが、その言に違わず、目から鱗の面白い本だった。
読み始めてすぐに、理不尽な部活の先輩・後輩関係の話にちらりと触れられていたので、これはまさに子どもが悩んでいることだわね…と思い、「読んでみる?」と渡したところ、「読みやすい!面白い!まさにその通り!」てな感じで、先に読まれてしまった。
日本は村社会、というようなことは以前から見聞きしていたが、この本では日本に生きる我々をとりまく人間関係を「社会」と「世間」というカテゴリーに分けて、わかりやすく説明してくれている。
外国では「世間」という考え方は存在せず、存在するのは「社会」という考え方のみ。
そして「世間」について、なぜこの概念が我々の中に色濃く残っているのか、中学生にも分かるように説明してくれている。
読了後、この本の前に読んだ「温室デイズ」で描かれていたいじめの構造がよりくっきりと浮かび上がった。
「社会」と「世間」、両者の違いは何なのか?
中高生だけでなく、大人にもぜひ読んでほしい。
それを知ることで、少し生き辛さから解放されるような気がする。2020.8.8
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KYという言葉がはやっていたときも「こんな言葉は嫌いだなあ」「こんな目で人を見るのは嫌だなあ」と思っていた。今じゃ,自分のまわりではあまりKYとは聞かなくなったなと思っていたけど,それはKYという概念がなくなったのではなく,逆に日本人に完ぺきに定着してしまったからのような気がしている。現代の日本は,KYな人には,やはり生きにくい社会だと思う。
だから,とりあえず,「その場の空気は読んでもいい」「読めるようになった方がいい」ということには同意しても良い。がしかし,空気を読んだからと言って,その空気に自分を併せる必要は無いのではないか…と思う。まわりに併せることだけを求める集団は,本当に生きにくいだろう。こういう社会は,日本人が大好きな空間のようにも思うけれども,それ以上に,息苦しく思っている人も相当数いそうだ。
本書の引用…「自己紹介をして下さい」という場面の時の<あるある>。
最初の人が,「自分の名前,年齢,出身地」だけを言い,そのまま,次の人もその次の人も,同じことを言うと,いつのまにか,全員が「自分の名前,年齢,出身地」だけを言うようになります。/「ああ,日本的な現象だな」と僕は思います。「世間」が日常化した「空気」に支配されて,「自分の名前,年齢,出身地」だけを言うことが,半ば命令のようになっていくのです。/海外でワークショップをやり,自己紹介をすると,こんなことは絶対に起こりません。 (78ペ)
これ,よくありますね。「みんな同じスピーチだな」と思いながらも「あ,その程度でいいのだ」と安心もします。逆に,一番最初にあたった人は,けっこうな緊張感の中で第一声を出すはずです。「みんなと同じ答え方をしなくちゃ」とその場の空気を読んでいることになります。だから,だんだんと他のことを話しづらくなりますよね。
こんな場で,このような空気を感じたとして,でも,その空気は本当にその場の〈参加者の思い〉なのでしょうか?
そういう時に「なんだか,言うことが『名前,年齢,出身地』だけになったけど,そういうルールですか?」と思い切って口にするのです。/間違いなく,みんなは首を振るでしょう。そしたら,「じゃあ,僕は好きな映画の話をしますね」と続けるのです。/そうすることで,「空気」は簡単に変わります。 (128ペ)
このように「こういうワンパターンの自己紹介を続けたい」という意志は参加者にはないことが分かります。その場の大多数は「決まったことを言う必要は無い」と思っているのです。しかし,「空気」がそうさせないんですね。だからこそ,「空気」を感じながらも,実は大多数が思っていることをあえて口にすることで,みんながもっと気楽に自分らしく生きることが出来るようになる気がします。
自由に生きるためのコツも書いてくれています。
強い「世間」に対抗して,同じくらい強い「世間」を探すのではなく,弱い「世間」に所属するのです。それも,ひとつではなく,いくつかの「世間」に所属できれば素敵です。(170ペ)
複数の集団に所属し��いること。それが,自分を守るためにも大切だと著者はいいます。最後に,こんなことも言っています。わたしの大切にしている考え方と重なります。
自分の人生を決めるのは,自分であって,「他の人が評価するかどうか」ではないからです。(184ぺ)
そのとおり。そう思うことが出来れば,世間も空気もよく分かった上で無視すればいいんですがね。
とても読みやすく,元気の出る本です。オススメ。
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鴻上さんの言うところの「世間」は山岸敏男さんの「安心社会」、鴻上さんの「社会」は山岸さんの「信頼社会」とほぼ同じ概念を指していると考えて良いと思います。そして、「世間」においては親切で仲間を助け、また好むと好まざるとに関わらず「つきあい」を大切にする日本人が、「社会」(世間の外)においては非常な「個人主義」となる理由も解き明かされています。
そして、そこまでは鴻上さんはこの本では論点にはしていませんが、昨今の日本の社会の問題の多くが、かつての「世間」が崩壊しているのに、日本人に染み付いた行動様式は「社会」に適応するようにうまく変われていないことに発していると思う次第です。
若者向けの書籍ですが、良書と思います。さすがは鴻上さんです。
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「空気を読む」って言葉は、いつ頃から使われ出したのか、「KY」という言葉が世に出たのも随分前だと思うが、もはや日常的に使われる言葉となっている。
この言葉への着目は、空気を創るほうの立場である劇作家の著者ならではであるかもしれない。
日常語となるほど、この言葉は現在社会に浸透していて、今の人たちは、多かれ少なかれこのことに「生きづらさ」を感じているというのが前提の本である。
この現象は、歴史的な背景などにも影響された、日本独特の現象であることを著者は明かしていく。
「ジュニア新書」として発刊されているように、特に若い世代に向けて、「仕組みを知って、もっとラクに生きて行こう!」と温かいまなざしで、わかりやすく、丁寧に語りかけている。
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日本人は基本的に世間に生きています。
自分に関係のある人たちをとても大切にします
今、世間は中途半端に壊れた状態で残っています
私たちは、同じ時間を生きることが大切だと考えているので、同じ時間を生きれば生きるほど、仲間だと思う傾向があります
世間の5つのルール1歳上がえらい
2同じ時間を生きることが大切
3贈り物が大切
4仲間はずれを作る
5ミステリアス
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生きにくさの原因を世間と社会の対比で示し、世間を構成するものを挙げて、その攻略法を具体的に書く。その上であなたはどうしますかと、問いを投げ掛けている本です。これによってしんどさから逃れる道を見つけるのは、きっと若者だけの話ではないでしょう。
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演出家鴻上尚史氏が、この息苦しさからラクになるための方法を、自分と関係のある「世間」と関係のない「社会」、そして生み出される「空気」を比較しながら提案している。世間には5つのルール:「年上がえらい」「同じ時間を生きることが大切」「贈り物が大切」「仲間外れを作る」「ミステリアス」がある。最後に、複数の「世間」を持ちながら、他人に流されず自分を大切にと応援してくれる。対象は中高生向けであるが、大人でも参考になる。中高生時代に読んでいたら、何か考え方が変わっていたかもしれない。
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思春期に読めば少し心が楽になった気がする。
仲間外れを作って集団の結束を強めるいかにも日本的なやり方、
そんな社会を一人一人の行動で変えて行きたい。
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「世間」と「社会」について、分かりやすく説明がされています。日本は世間に生きており、外国は社会に生きているという説明は、なるほどなと納得出来ました。
日本独特の「空気」から生まれる同調圧力が息苦しい原因と分かれば、それなりに対処が出来ると思います。
学生さんや、若者に語る感じで書かれているのがマイナスです。普通に書いてほしいです。
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これはとんでもない本です。
岩波ジュニア新書なので、中学生くらい向けのため、1.5時間ん程度で読めます。
文章も平易です。
が、中身が大切なことばかり書いてあります。
40年以上生きてきて、この本で膝を打った箇所が何か所もありました。
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世間・社会は私たちの隠れ蓑であると同時に、私たちを放っておいてくれない。特に現代社会はSNSの普及により、常に社会と結びつき、自分自身と向き合う時間が希有那モノになりつつある。空気は読むモノではなく吸って吐くもの。縛られずにいたいモノだ。
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空気を読む、一時期盛んに言われた事ですが今でも変わらず言葉に出さない「空気」というものに我々の社会は支配されております。
空気を読めなかった人は、つまはじきにされたり、いじめに遭ったりします。これは簡単に対応出来る人にはピンとこない内容かも知れませんが、私のようなあちこちぶつかって上手く行かなかった幼少少年青年期を送った者にはよく分かります。
この「空気」というものは日本的な「世間」というものの見えない圧力のもので、他の国ではこれは宗教が担っている領域だと書かれています。
日本人が頼みごとを断るのが下手なのは、自分につながりがある「世間」からの反応を心配する余りの精神の動きだから。他の国だと神様からの頼みは断れないけれど、それ以外は等しく社会の構成員なので断る事も受ける事も自由という考えかたのようです。
昔で言う「村八分」の状況になる可能性が有る強力な「世間」であれば従った方が得策だけれど、それ以外はきっぱり断った所で大した被害はないので、自分にとってどういうつながりなのかよく考えた方がよい。
なるほど、確かに断ってもなんともない関係性でも頼まれるとなんとなく断りにくいというのは沢山沢山あります。特に断るのが苦手な僕は嫌になるほど体験しています。
この本の素晴らしい所は、何も全部に対抗しろと言っているわけでは無くて、どれが一番楽かを見極めてマシな方を選びなさいと言っている所。また、強力な世間(会社、学校、親戚縁者)だけではなく、小さな弱い世間(サークル等)に属す事によって一つ一つの世間からの影響力を弱めて、ここから弾かれたらどうしようかというプレッシャーから出来るだけ自由になりなさいと言っている所です。
特に中高の時にこの本読んだら気持ち楽になっただろうなと思います。実際その頃有っても手に取らなかったでしょうけど。