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電子書籍
砂戦争 知られざる資源争奪戦
著者 著者:石 弘之
(目次、主なもの)第一章 砂のコモンズの悲劇砂資源の枯渇がはじまった都市化の世紀増える高層ビル都市化の功罪第二章 資源略奪の現場から中国の都市化戸籍制度の緩和上海の驚異的...
砂戦争 知られざる資源争奪戦
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砂戦争 知られざる資源争奪戦 (角川新書)
商品説明
(目次、主なもの)
第一章 砂のコモンズの悲劇
砂資源の枯渇がはじまった
都市化の世紀
増える高層ビル
都市化の功罪
第二章 資源略奪の現場から
中国の都市化
戸籍制度の緩和
上海の驚異的な発展
採掘で自然災害が甚大に
犠牲になる生き物たち
朝鮮半島を狙う中国
アラブ首長国連邦のドバイ
300を超える人工島
膨張するジャカルタ
島が消えていく
活動家暗殺未遂
アジアで進む海岸侵食
沈みゆく国家
海面上昇で国沈む?
誰が砂を奪ったのか
ツバルは拡大している
第三章 砂はどこからきたのか
砂とは何か
白砂・黒砂・赤砂
河川は砂の製造工場
建築に使えない砂漠の砂
長距離移動する砂塵
砂の用途
オイル採掘が引き起こすトラブル
第四章 砂マフィアの暗躍
サルデーニャ島の砂泥棒
都市化の進むインド
砂マフィアの暗躍
ジャーナリストにとってもっとも危険な国
抹殺された人びと
アフリカの砂をめぐる紛争
ナイジェリアの発展
住民を分断する砂採取
シンガポールの発展
世界最大の砂輸入国に
禁輸に踏み切った3カ国
メコンデルタの危機
中国のダム建設
第五章 白砂青松はどうしてできたのか
砂と日本人
土木技術の発達
森林消失が生み出す砂
燃料材が森を奪った
庄内砂丘の飛砂との戦い
森が戻った新屋村
新潟砂丘
松と日本人
砂浜が消えていく
台無しになった砂浜
増える砂需要
川砂が戻ってきた
波消しブロックの蔓延
ダムに堆積する砂
森林飽和と砂浜
第六章 今後の砂問題
水も空気も砂も
世界人口の楽観論
廃建材の再利用
ガラスの浜
新たな骨材の素材
地球をスイカにみたてるなら
オーバーシュート・デー
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紙の本
砂資源は地球レベルで枯渇寸前
2020/12/03 21:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は新聞記者、内外の大学教授、国連や国際機関の職員、外交官を経験、130ヶ国以上で調査・研究、講演・講義などをしてきた稀有な経歴の持ち主である。本書は、主にコンクリートの材料となる砂資源が世界的に枯渇寸前であることを世界各地の状況を例示しながら解説したものである。その内容の一部を紹介すると次のとおりである。◆資源枯渇から砂の輸出を禁止する国が次々に現れ、シンガポールでは石油並みに砂の国家備蓄をしている。◆「砂マフィア」と呼ばれ、違法な砂の採掘や取引を牛耳るヤミ組織が、中国、インド、インドネシア、ナイジェリアなどで暗躍。有力者、役人、警察、軍部などと結託、反対する活動家やジャーナリストの殺害が多発している。◆砂漠の中に超高層ビルが林立するアラブ首長国連邦のドバイでは、コンクリート用の砂はすべて輸入。砂漠の砂は細かすぎ、粒子が均一、丸くて角がなく、コンクリート用には使用できない。◆気候変動による海面上昇で国土が海に沈むといわれている太平洋のツバル。近年、海面上昇について、否定的な実証データが次々に発表されている。海水の浸水による被害は、人口増加に伴い、居住地として不適な海岸ぎりぎりまで住宅地となったこと、さらにコンクリートの需要が増えた結果、海砂の採掘により満潮時に海岸の浸食が進んだことにあるらしい。◆2007年に中国は砂の対日輸出を規制、中国からの輸入に頼っていた日本国内の水道浄水施設で使用する濾過砂の輸入が半減。本書では砂に特定して問題点を提起しているが、著者は、地球が再生できるよりも多くの資源(砂に限らない)を、人間が消費していることに対して大いなる危機感を抱いていることが印象に残った。
ただし、砂の輸入・輸出国のランキングの説明で、オランダ・ベルギーが輸出入いずれも上位5位以内に入っているが、これは単に中継貿易のためにこのような数値となっているのか、他に理由があるのか解説が欲しかった。また、砂の塩分含有量が高いとコンクリートのアルカリ骨材反応を惹起するとの解説があるが、アルカリ骨材反応は反応性の高いシリカ鉱物を含む骨材が原因で発生するものであり、塩分濃度とは関係がない。
電子書籍
大変に勉強になりました。
2021/03/20 20:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:地蔵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
砂がこんなことになっているとは、驚きでした。
紙の本
”砂”を巡る各国の駆け引きに迫るノンフィクション
2023/12/06 07:34
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
「世界中で”砂”の争奪戦が始まっている」と言われてピンとくる方は少ないのではないでしょうか。「砂なんて地面を掘ったらいくらでも手に入るやん」と思いがちですが、本書を読むとそのイメージは一変します。
砂の主な用途はコンクリートの骨材です。ビルなどの建物、高架道路、地下鉄、堤防、何を作るにもコンクリートが必要で、その分”砂”が必要になります。コンクリートに使える砂は粒の大きさや形、化学的性質など非常に制限の多いものであることが本書で述べられています。
中国はもちろんですが、都市化の進むインドネシア、インド、マレーシア、シンガポールなどの東南アジア諸国、ナイジェリア、エジプト、ドバイなどのアフリカ諸国では”砂”が自給できず大量に輸入しています。砂漠に有り余るほど存在する”砂”は前述の理由からコンクリートには使用できず、国内に砂漠を抱えている国でも”砂”は輸入に頼っているのが実情です。高騰する”砂”の取引に、砂マフィアと呼ばれる違法業者が暗躍し、無秩序に川や海から砂を採取した結果、環境破壊、漁業への打撃、氾濫等の自然災害の誘発など様々な問題が起こっており、本書はそれぞれの国ごとの実情を紹介しています。
本書後半は日本における”砂”、なかでも砂浜の衰退について詳しく述べられています。意外だったのは戦後一貫して日本では森林面積はほぼ一定で、森林における樹木の総量は増加しており、その結果として土壌が安定化され、河川を通じて供給される砂の量が減少しているという事実でした。
河川による砂の供給量減少、ダムなどの治水が進んだことによる中流域での砂の堆積、さらに砂需要増大が重なり、日本の砂浜は減少の一途です。衰退する砂浜を護るため、護岸には消波ブロック(テトラポット)などが配置され、日本の海岸線の美しい景観が失われつつあることに警鐘を鳴らしています。
身近な”砂”が重要な資源であり、無秩序な採取が様々な問題を引き起こしていることをわかりやすく解説している印象でした。