紙の本
悲しい少女のグロテスクな行方
2010/11/08 13:50
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かつき - この投稿者のレビュー一覧を見る
貧しい村の娘たちは多額の契約金で
紡績工場に働きに出ます。
『女工哀史』を彷彿とさせる物語設定で
彼女たちの行く末が不幸になるばかりか
グロテスクな展開になるのも予想がついてしまいます。
しかし、物語の力は決して緩みません。
ポイントポイントの分かれ道がうまい。
少女同士の葛藤や人間関係の上下、性格描写、
そして若旦那の登場に、お初の「あれるぎー」。
読み物として純粋におもしろい。
そして、それは、不幸や悲しみを覗き見る好奇心に由来しているのです。
「ですます体」を貫いた文章力も
日本の土着性と明治への郷愁にも似た親近感を抱かせます。
物語に絡め捕れた気分でした。
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日本ホラー小説大賞といえば「ぼっけえ、きょうてえ」を真っ先に思い浮かべるんだけど、そのイメージでこの和製ホラーを読むと多分大勢の人は失望するかも。自分もそのひとり。ちょっと残念な読後感。
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ホラー大賞受賞作。女工哀史もの。日本特有のじめーっとした雰囲気と、どよーんとした不快感を感じる作品。とはいえ読み心地が不快なのではありません。かなり引き込まれます。
この製糸工場の秘密は、なんとなく見当がつきました。終盤は完全に予想通りの展開。だけどそれでも面白さが減少した気はまるでしませんでした。とにかく雰囲気が抜群。ネタが分かっていても、恐ろしい物語です。
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ホラー小説大賞の最優秀賞でしたっけ????
この賞の受賞作は割と毎回読んでるので今回もチェック!
話の展開は思いっきり読めるものの、
読めるからこその恐怖。
「こうなるんだろうな~」って思いながら読み進めて
実際そうなるんだけど、予想できても気持ち悪いもんは
気持ち悪いし、怖いもんは怖いね!
変に下ネタっぽいくだりが織り交ぜてあるのが微妙でした。
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題名や話の流れから、予想がつく内容ではありましたが、ぐいぐいと読ませてもらいました。
しかし、「女工哀史」がこのようなパロディ(苦笑)になってしまうのは、残念な気もします。
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製糸工場に奉公に出た少女の恐怖と悲劇。屈辱的な身体検査、少女たちの園、むせかえる繭煮のにおい、そして蠢く蚕たち…。残酷にして妖艶、健気にして淫靡な、禁断の青春群像劇。
2010年日本ホラー小説大賞作。「読者をむせび泣かす途轍もなく怖いお伽噺」という謳い文句だったが、やや期待外れ。早々にオチが予測でき、大きな盛り上がりもなかった。その割に一気に読ませる力はあったけれど、最大の問題点は「ホラー小説大賞なのに怖くなかった」こと。
(C)
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繭煮でむせ返る製糸工場。故郷に残した家族のため、恥辱に耐えながら、健気に奮闘する少女たち。今宵、無垢な少女たちの園がじわりじわりと犯される…。第17回日本ホラー小説大賞“大賞”受賞作(「BOOK」データベースより)
作者はオーストラリア在住とのこと。
あのカラッとした広大な大地に住まう人が、このじめっとした雰囲気のホラー小説を書いたという事自体がまず驚きですね。
ストーリーは割と定番かな。でもそのオーソドックスな話を軸にして、いかに面白くするかがホラー小説家の腕の見せ所だとも思うのですよ。
この作品はその点問題なかったです。
女の子たちの方言もイメージぴったりでよかったな。
「あゝ野麦峠」をモチーフにしている、というのも親近感(しゅなんさんの個人的事情ww)。
ただ登場人物たちの名前にセンスがない。
小学生男児が喜びそうな名前ばっかりですね。
こんなところに変に頭回さなくてもよかったのにな。
まぁそれ以外は及第点でしょう。
ただ恒川さんの「夜市」以降、ホラー大賞は読むに堪えないようなものばかりだったのですよね。
なのでそれに比べたらという事でやや点が甘いかも。
一応2作目が出たら読んでみようと思いました。
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第17回日本ホラー小説大賞の大賞受賞作品。
前年の「化身」もそうですが所謂スプラッタ系
の要素は皆無だし、時代設定も場所も独特の
世界を作っていて作者の世界観に惹き込まれます。
単純に言うと製紙工場に身売りをされた少女達の
辛く哀しい物語だし、相当最初の方から、この作品が
どこへ向かっていくのか、そして少女達を待つ
運命を予測出来るという作品なのに、そのドキドキ感は
一向に醒める事なくページを捲ってしまいます。
人が持つ「怖いもの見たさ」を煽るようにストーリーは
焦らしながら進みます。ゾワゾワっと這うような
怖さは堪らないです。
ただ...ね...随所に見せる...だだズベりする
ギャグセンスは作品に混ぜない方が
いいような気はしますw。
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読了、77点。
**
明治から昭和初期頃に掛けての、紡績産業が盛んな時期、
貧しい農村で暮らす少女たちは義務教育を終えた12歳になるとすぐ親元を離れ「瓜生製糸会社」に勤めることとなる。
3年間という勤務を勤め上げて村に帰って来れるのは5人に1人程度という厳しい現場であるというが、村に帰ってきた「模範工女」には大きな富が与えられる。
お初も学校卒業と共に、村の少女3人と共に製糸会社へ、そこでは驚きの身体検査から日に三度の入浴以外は特にすべきこともない異様とも言える贅沢な生活、そうして養蚕製糸の現場でお初が目にしたものは…
**
第17回日本ホラー小説大賞、大賞受賞作品。
非常に面白くすらすら読めました。
昭和初期あたりを想定して描かれていてその頃の雰囲気を感じさせてくれる描写はあるのに、決して文章そのものが読み難い訳じゃないのは良かったです。
同大賞の短編賞になった『少女禁区』(http://booklog.jp/asin/4043943881)の巻末の選評を読んでいた為にある程度事前情報があり、その中でこの小説に関してすぐにオチが見えた、という選評を覚えていましたが、その為にホラーとしての怖さが失われる事もありませんでした。
むしろ本当にそう来るのか、と身構えっ放しでかなりドキドキしながら読めました。
そんな訳でホラーの芯になる部分はかなり早くから想像は付くんですが、その落し所は結構珍しいというか何と言うか、
オーソドックスだし斬新でもないんだけど最近はそっちじゃないパターンの方が多かったかな~という印象が強かっただけに、またこの落とし方で良かったと今は感じています。
個人的には短編賞の「少女禁区」の方が作品の世界観と文体は好みだけどやっぱり甲乙付け難いかな。
次回作にも期待です。
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日本ホラー小説大賞受賞作。
製糸工場に奉公に出される貧しい少女たち。そこで待つものは・・・
ある程度読むと展開は予想がつくんだけど、それでもなかなか面白かったです。
ジメッとした感触がね。なんとも。
文章の感じがちょっと好みじゃなかったけど、でも難しいこと考えずにサッと読めるホラーですね。
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『読者をむせび泣かす途轍もなく怖いお伽噺』という煽り文に惹かれて買ったものの、実際に読んでみれば怖さは全く感じられず。
え……? と思いつつも読み進めていけば、なんとも言い難い内容……。途中で投げ出したくなるとまではならず、かといって面白いか面白くないかと問われれば答えられない。全部読んだ上で、答えに詰まる本だった。
読んでみて良かったか、買ってみて良かったか。……うーん、どうだろう?
文体のですます調が私に合わなかったというのもあるけれど、どうも全体的に恐ろしさというものが欠けているような気がする。
結局、面白くなかったのかもしれない。やっぱり大賞というブランドと、どこか怪しげな雰囲気の表紙に惹かれて買ってしまったのはいけなかったのかも。
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和製ホラー。製糸工場に奉公にいった少女が体験する妖艶で恐怖のお話。第17回日本ホラー小説大賞大賞受賞作品
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まずまず面白かったです。
女工哀史、あぁ野麦峠を彷彿とさせる舞台設定。読み進めるうちに展開が見えてくるんですがそれが逆にゾクゾクとした恐怖感を誘います。
ややもすると単調に感じる「ですます調」の語り口も物語にマッチしてると思います。
エログロもほどほどで婦繰(ふぐり)夜狩鳥(よがりどり)おぼこ袖などのネーミングにユーモアセンスも感じられます。
ラストは残酷なんですが嫌な感じは残らずどことなく懐かしさを感じる物語でした。
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オチはかなり早い段階で読めるが、むしろそのことが、「これからどのようにそのオチに向かって話が進んでいくんだろう」という興味をそそることに繋がっていると思う。世界観も魅力的。
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後味が悪く、気味が悪いといったらありゃしない!というような内容ですが、私は好きです……こういうじめじめホラー。
そしてどうでもいいことに若旦那の意味不明雄叫びの台詞が頭に残って仕方ない……なんでやねん。