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紙の本
獣の樹 (講談社ノベルス)
著者 舞城 王太郎 (著)
ある日ある朝、西暁町で、十四歳くらいの僕が馬から生まれる。記憶も名前もない。でも名前なんかいらない、と僕は思う。自分が誰だってどうでもいい…のに、正彦が僕を弟にする。それ...
獣の樹 (講談社ノベルス)
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商品説明
ある日ある朝、西暁町で、十四歳くらいの僕が馬から生まれる。記憶も名前もない。でも名前なんかいらない、と僕は思う。自分が誰だってどうでもいい…のに、正彦が僕を弟にする。それからヒトとしての生活にようやく馴れてきたところに蛇に乗る少女楡が現れ、僕を殺人現場に誘う。冒険が始まる。失踪した父親。地下密室。獣の大革命。そして恋。混乱と騒動の中、僕は暗い森を駆ける駆ける駆け抜けていく。舞城王太郎が講談社ノベルスに舞い戻り投下する、新しい小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
ある朝、14歳くらいの少年が馬から生まれ、正彦の弟になった。ヒトとしての生活に馴れてきたころ、蛇に乗る少女が現れ、少年を殺人現場に誘う。失踪した父親、地下密室、獣の革命、そして恋…。少年の冒険が始まる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
舞城 王太郎
- 略歴
- 〈舞城王太郎〉1973年福井県生まれ。「煙か土か食い物」でメフィスト賞を受賞し、デビュー。「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞を受賞。他の著書に「好き好き大好き超愛してる。」など。
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え、これってもしかして『SPEEDBOY!』のスピン アウト小説? いえ、スピン オフ小説です、ってほんとかいな。でも、馬が人間の男の子を産む、なんてそれだけでも凄いなあ、流石、舞城センセイ!
2011/02/22 19:52
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
好きなカバーです。講談社ノベルス史上、最高の出来ではないでしょうか。何も、環境ブームにあやかるわけじゃないですが、色合いも実にいい。このまま版画にしても、アニメに使ってもいい、そう思わせます。カバーデザイン=斉藤昭(Veia)、本文イラスト=舞城王太郎、フォントディレクション=紺野慎一(凸版印刷)、ブックデザイン=熊谷博人・釜津典之、プロが力をあわせれば、こんなに素晴らしい本が生まれる、そういう一冊です。
早速、カバー折り返しの言葉を見てみましょう。
*
凄まじい文圧!
研ぎ澄まされた感性!
疾走する展開!
めくるめく陶酔!
構築と破壊、
拡散と収斂、
死と再生を繰り返す
舞城ワールドの新たな渦
*
カバー後の内容紹介は
*
ある日ある朝、西暁町で、十四歳くらいの僕が馬から生まれる。
記憶も名前もない。でも名前なんかいらない、と僕は思う。
自分が誰だってどうでもいい……のに、正彦が僕を弟にする。
それからヒトとしての生活にようやく馴れてきたところに
蛇に乗る少女楡が現れ、僕を殺人現場に誘う。冒険が始まる。
失踪した父親。地下密室。獣の大革命。そして恋。
混乱と騒動の中、僕は暗い森を駆ける駆ける駆け抜けていく。
舞城王太郎が講談社ノベルスに舞い戻り投下する、新しい小説。
*
となっています。十四歳くらいの少年が馬から生まれる、っていうその光景を思い浮かべただけで、いやはやこんなこと思いつく舞城王太郎って凄い、なんて思ってしまいます。しかも馬面でもなんでもなくて、ただ背中に鬣をもつ以外は普通の少年ですから。十四歳くらい、って曖昧なのは、当然ながら少年に記憶がないこともありますが、母親の馬? が何も語ろうとしないことにもよります。ま、馬が「この子は、こう見えてもまだ赤ちゃんなの」なんていわれたって、体大きいし、歩いてるし、やっぱ違うでしょ、ということになります。
とりあえず彼の年齢は推定のわけで、誰が何見て十四歳としたかは今になってみると疑問ですが、その少年が馬から生まれる(なんだか桃から生まれた桃太郎みたいでいやなんですが)ところを見ていたのが中学三年の川原正彦だったことは確かで、まさに桃から生まれた桃太郎的発想で、西暁町で生まれた少年に無責任にも西暁太郎と名づけることまでしてしまいます。こうして少年は太郎になります。ここらは深く考えずに読むのが一番。
そういう行動から見ても明るい性格の持ち主である正彦は、両親に太郎を弟として家に引き取ることを提案します。子が子なら親も親なわけで鷹揚な父親である川原秋宏は息子の提案をあっさり受け入れ、何事も夫の言葉に従う母親の江利子も右にならいます。ただ一人それに反対するのが、祖母の志摩代ですが、多数決の原理に押し切られ、太郎は正彦の弟として川原成雄を名乗るようになります。
成雄は、学校に行くことになりますが、体が大きくても生まれたばかりで読み書きも足し算もできない成雄は小学に通い始めます。そこで瞬く間に字を覚え、飛び級ですぐ中学生となるのですが、兄の正彦とは一学年下の二年に編入となります。そして湯引野児童園に暮らす孤児で、蛇を自由に操る不思議な少女・清野楡に出会った成雄は、彼女に一目ぼれし、少年は殺人事件に巻き込まれます。
いやはや、です。最初はファンタジー風な展開が、一気にミステリ、そしてSFへと変貌する様は見事というか暴走というか。おまけに高校に進学した正彦には市橋千代という高校でも有名な美少女が恋人になるし、楡は自分の恋人だといいはる湯引野児童園の園児のサワタカこと岸田爽高や、名無しの馬だったが、ケアリッチ乗馬会に引き取られ、今はテルミと呼ばれるようになった、太郎の生みの親の馬まで登場し・・・
でもです、こんなとてつもない展開をしながら、物語はきちんと収まるところに収まるんです。これは見事かな、と。今になって思います、系譜的には『SPEEDBOY!』の流れを汲むのかな、そういえば『SPEEDBOY!』の主人公の成雄にも鬣あったし、え、なに? いま気付いたんですけど、名前同じじゃないですか。しかも鬣までついていて、同じ系譜どころか同一人物? とまあ、唐突に新たな発見で終わりました。やっぱ王太郎は面白いわ・・・
最後は目次のコピー
1 西暁太郎
2 ナルオトヒコ
3 人食いジャッカル君
4 馬太郎
5 梨木友徳
6 ?
7 ??
8 ???
9 ????
10 名探偵
11 硬派な種馬
12 ジンロウクン
13 パウリ