電子書籍
必読。
2018/01/29 10:18
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:AR - この投稿者のレビュー一覧を見る
「脳がこわれた」よりも生々しく、そしてわかりやすい。著者自ら障害を得て辿り着いた見識に圧倒されます。夫妻それぞれの対比になっているところもわかりやすい。自分の廻りでも似たような挙動をする人がいるので、あれがこの本に出てくる高次障害かと思うと妙に納得。知らない世界を書いて下さりありがとう。
紙の本
「不自由を障害にするのは環境」はその通り
2019/03/16 20:59
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
発達障害はそのままでも、周囲(特に大切な人)の関わり方や住まいといった環境が変われば、本人の行きづらさが軽減され、本来の長所が発揮されやすくなる。こう書いてしまうと当たり前のことですが、決して簡単なことではありません。発達障害を理解したい人にはもちろん、大切な人と上手くかかわれず悩んでいる人にも読んでもらいたいです。
ユーモラスな筆致に時に笑いながら読み進めましたが、特に最終章はいろいろと考えさせられました。環境、あるいは社会の構造が、どれだけ私たちの視座を規定し、ある人の特性を障害としてしまうのか。本来支援されるべき人を加害的な立場に追いやるのか。著者の踏み込んだ考察に賛否両論はあるでしょうが、少なくともそれは「私たちがもう少し生きやすくなるにはどうしたらいいのか」という問いかけを、著者なりの答えとともに読者に投げかけているように読めました。
紙の本
夫婦善哉。
2021/05/07 17:09
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ルポライターの著者と妻の半生。
まったく普通でない出会いをして、まったく普通でない経過で共に暮らし始め、まったく普通でない結婚生活に至ったご夫婦。
奥様は発達障害があり、旦那様はその性分からシャカリキに稼ぎ、こだわった家事をする。
夫婦双方が重病を患い、著者は一見なんでもないような事柄でも、脳の機能に障害があると、遂行できなくると身をもって理解する。
夫婦の道程が描かれる。
電子書籍
リアル
2020/07/28 21:02
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投稿者:ハム - この投稿者のレビュー一覧を見る
すごく現実を突きつけられて、愛だとか家族だとか理解しあってとかいう言葉が甘いものなんだな。でも、救いがあってよかった。
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Twitterで紹介されていたウェブのコラムを見て、その内容が詳しく書籍化されていることを知り、購入。
発達障害の妻を持つ著者が高次脳機能障害を負い、回復段階を経て妻の感覚を理解、お互いの関係を修復していくまで――という流れが、ライトな語り口で大変読みやすく書かれている。
発達障害に限らず、体感できない他者の感覚を多少なりとも知りたいと思っていたので、著者の経歴から、その架け橋になってくれるかと思って読んでみた。
実際の内容ではそういったことよりも、人と人とが関わり合う中で大事になることに重点が置かれている。
発達障害の方にとってはより大切な要素なのだろうが、定型発達の人同士であっても大切にした方がいいなと思うことがとても多かった。
なお、「お妻様」の実家の話も頻繁に出てくるので、親との関係に問題を抱えている人が覚悟なしに読むと、ちょっと辛くなる話題もあるかも知れない。
(私がそうでした)
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筆者が取材対象を社会的困窮者としていることもあって、ルポをよく読んでいた。そんな折、見覚えのある記者名で出版された『脳が壊れた』を見つけ、そんなまさかと驚いて早速読み、奥様のくだりを読んでさらに驚き、またまた筆者の記事を楽しみにするようになっていた私。ほどなくまた本書が出されたことを知って手にしてみた。
自慢じゃないが、私はすぐに読んだ本の中身を忘れてしまう。なので自信がないのだけれど、ひょっとして三分の一くらいは『脳が壊れた』から引っ張ってきてるんじゃ?読んだことのある文章が結構あり、既読の本だったっけと戸惑ってしまった。どこかにコラムを書いていたのをまとめたということらしいので、元のコラムが同じってことなのか???ちゃんと確かめてないのでわかりませんが。
そのようなこともあって、今回のテーマである奥様に関する成育歴やご実家については初めてだったが、それ以外ではどうもすでに知っている中身ばかりであり、期待していたほどの満足感はなかった。
がしかし。発達障害そのものは、環境を整えるだけでかなりの部分をカバーでき、人並みに社会生活を営むことができる障害である、というか「障害」にしてしまうのは環境にその原因がある、と明記してくれているのは嬉しかった。
そうなのですよ、皆さん。
そして実は、発達障害を持つ人はとても魅力的な人が多いのです(とは筆者は書いてないけど私はそう思っているし、筆者もそう感じていると思う)。「障害」とは、受け入れる側、人とか社会とかにあるのであって、決してその当人の責に帰するものではない、ということを私もみんなにわかってほしい。だから、身近に障害のある人とかいないな~、関係ないな~と思う人にこそ読んでほしい。
そして筆者と奥様の、深い愛に脱帽してください。
蛇足。
私は「定型発達」と覚えていたのだが、本書では「定形」となっている。誤植かなと思ったけれども、繰り返し使われているのでそうでもないらしい。ほんとはどっちが正解?
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最近、読んで、ついつい朝起きられないという点が触発されてしまっている本。
大人の発達障害の妻を持ちつつ、自身も脳梗塞により高次脳機能障害になった鈴木大介氏の新刊。
いわゆる大人の発達障害について主に書かれた本なのだが、それを描く著者が発達障害の疑似体験を高次脳機能障害によってすることにより、お妻様が過去繰り返してきた奇行とその裏側にあった苦しみをようやく身をもって理解でき、しかも、鈴木氏はどんどん障害が回復していってるもんだから、対処法を編み出してお妻様との関係がどんどん回復していくという「いやいやどんな魔法だよ」っつー話。
個人的には「あ、普通の人って、この苦しみは感じないのか…」と、色々と学んだし、お妻様に共感する所もいっぱいあった。もちろん、働けている時点でお妻様よりずっと軽度の発達障害なのだと分かるが(お妻様の出版社バイト時代の記述があるが、さすがにお妻様レベルではなかった。最低限私は、会社員は出来ていた。…と思う。)
鈴木氏は発達障害の家族、友人向けを意識して書かれているようだが、個人的には、①職場の管理職と②ボーダーライン上も含め、当事者が読むべき本ではないかと思った。
①は、結構マジに人材育成のヒントになる部分が多いと思う。発達障害の香りがしなくても、若者を育てる、教育するのは骨が折れるだろう。なんで常識が通じないのか?なんでやれと言ったことができないのか?思い悩むことはないだろうか?私はある。
詳しくは本を読んでほしいが、「○○やっておいて」とざっくりつたえるのではなく、タスクを一つひとつ分解して、一度に1つ頼む。できたら順番にお願いをしていくというやり方。「子供じゃないんだから」と思われるかもしれないが、全体像が見えていない人間に「○○やっておいて」といっても難しいだろう。定形発達の人間であれば、もちろんそこまでクソ丁寧に教えてやらんでもいいかもしれないが、物を教えるということは、
1)全体像を伝える
2)全体像に至るまでの工程を1つずつ伝える
3)工程の仕組みを伝える(なぜその順番である必要があるのか?)
4)1つずつ達成させる
ということが必要なのだと、教育者自身が自覚していれば、あとは、新人によって教授する段階を調節すればいいだけだろう。
②の当事者だが、これは、鈴木氏自身が定型発達者でありながら、後天的に発達障害を体験した上である程度の定型発達者に戻っているからだ。定型発達者と、発達障害者では、お互いの相互理解はたぶん永遠に無理だろう。と、この本を読んでよくわかった。
著書の中で、レジでいくら出していいかわからなくなって、まるで店員さんや周りのお客さんが自分を急かしているような気になって、パニックになってどうして良いかわからなくなってしまった。という記述があった。
私は、レジでお金をいくら出せばいいか、という経験をしたかどうかは忘れてしまったが、確かに、レジで、何かしらでまごついたときに、この世の終わりくらいテンパった記憶は確かにある。
覚えているのは、どうしても欲しいゲームの商品名がどうしても覚えられなくて、店員さんにそのゲームソフトの予約をしたいのに、どうしても商品名が言えなくて、言えなくて…すごいテンパった記憶がある。
マイナーなギャルゲーだったこともあり、もう恥ずかしくて、20年くらい前のことだが、あの時のことを思い出すと今でも喉の奥が乾く勢いの憔悴感を覚える。
だから、世の中の多くの人は、レジでもたつくと誰しもパニックになると思っていた。が、どうも著書を読んでいると、人はそう簡単にパニックにならないらしい。私は今まで、店員さんや周りの人がパニックにならないように、目を合わせないように気を遣ったり、「ぜんぜーん、私あなたのこと全く待ってませーん、興味もありませーん」という空気を全開で出すように心がけていたのに…え、何、無駄な優しさだったんじゃねえの?と。(で、だいたいそういうのって伝わらなくて冷たいやつって思われて終わるんだけどね。ええ。ええ)
そう、定型発達の人は、発達障害系の人が思う葛藤なんて全然感じていないのだ。本を読んで「それも定形の人は感じないのか…」とガッツリ発達障害当事者気分で読んでしまった。
自分と、自分以外の人はこんなにも違うのだと、知れるいい機会となるので、ぜひ当事者の人も読んだほうがいいだろう。ということで、おすすめっす。
☆を4にしたのは、タイトルが発達障害の人に届きにくい気がしたから。愛しいとかどうでも良くね?と。まあ、そういうエッセイなんだろうけど、当事者に届く方が大切な気がするし、文体も面白おかしく読めるから、このタイトルじゃあ、ちょっと刺さりにくいんじゃないかなーということで。
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脳が壊れた著者と、その妻である大人の発達障害の彼女。
簡単に言おう。誰彼かまわず読んで欲しい本だ。
ライターの著者が発達障害を持つお妻様と出会い、ともに暮らすものの、障害のある彼女のペースに合わせることは出来ず、家事のほとんどをやりつつ、仕事を詰めに詰め、脳梗塞で障害が残る=脳が壊れるまで無理を続けることとなる。そして脳が壊れた著者は、初めて「やらないんじゃない、出来ないのだ」と気づく。そこで妻が言う「やっと私の気持ちが分かったか」と。
そうして脳が壊れた著者と、お妻様でどうやって暮らしていくのかを試行錯誤しつつ、そして「一緒に生活するのが楽しい」とお妻様に言われるようになる。
どうしようも無い奇跡の上に成り立った幸せ。
私は「どうして出来ないの?」と言ったことがある。やれば出来ると思っていたから。また「なんで出来ないの? 馬鹿なの?」と言われたこともある。言われたときは(馬鹿って言って出来るようになれば楽だけど、言っても良くならないのに馬鹿だな)と思っていた。
今まで、私はどれだけ人の成長する機会を奪ってきたのだろう。また、どれだけ奪われたのだろう。
自分の不寛容さ拙速さについて、ほんとうに耳が痛い。けれども読んで良かったと思う。
けれど、人はいつでも成長できる。そして生きることが出来ると力づけられる。すごい。
この著者の本は「脳が壊れた」から読んでいるのだけれども、こちらの方が圧倒的に情緒に満ちあふれていて文章がみずみずしい。脳が回復したのだろうか。いや、むしろ成長しているのではないか。すごい。
再読しよう。
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脳梗塞で高次機能障害を体験した「脳が壊れた」の著者が、これまたある意味脳の壊れている大人の発達障害の奥さんとの18年間を描いた一冊。不自由を障害にするのは環境である、という著者の結論だとか、発達障害に関する諸々とか、特段新しいことが述べられているわけではありません。が、研究者とか記者が他人事として述べるのではなく、当事者が自分自身とその家族にについて記録しているのでリアリティがあります。しかし、奥さんが発達障害だとしても、著者の鈴木さんも相当な変人のようだし、程度の差こそあれ、常人とは思えない。どっちもどっち。ここまで特異な状況でなくても、著者が夫婦での家庭生活を改善して行く様は、他人同士が共同生活を始めるという意味で大なり小なりどの夫婦にも参考になると思います。っていうか、家庭を続けている夫婦は多分みんな何らかの工夫をしているはずだろう。
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一時間かけて書いた渾身レビューが消えてしまい、超ブルー。気を取り直して...。
この本はルポライターの鈴木大介さんが書いた愛しき‘お妻様’に向けての今までの懺悔とラブレターの書ですね。
お妻様の発達障害だからかもしれないからこその優しさやユニークさ、そして発達障害の影に隠れていたオトコマエさにメロメロです。
書いてあることは壮絶なのに鈴木さんの軽妙な筆致と、いい意味で感傷的な文章で読みやすい。
自分や周りに発達障害があっても無くても、どなたにも読んでほしい本です。こういう本がベストセラーにならないかな~。
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破れ鍋に綴じ蓋。
でも相手のことを意識して理解して、工夫をしないと夫婦はずれていくのかもしれない。
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ぶっとんでるお妻様に振り回される夫の話・・・かと思いきや、どうしてなかなか、この夫さんも別の方向でぶっ飛んでいる人だった。
起床時間も食事の時間も合わないお妻様のために1日6食作り・・・のくだりで「ん?なんで?」と思ったが、このご主人、電子レンジこそお妻様に懇願されてしぶしぶ買ったものの、炊飯器なし、掃除機なし、エアコンなしをポリシーで貫いている人だった。
文中で夫さんも振り返っていたけれど、無理しすぎて脳梗塞で倒れたのはお妻様が働かない・片付けないからだけではなく、夫さんもバランスを取ること、楽すること、楽になることを選ばずに、自分のやり方に固執した結果なんだとわかる。
定型発達の妻だったとしても辛そうな環境。そんな夫の言葉の暴力は、お妻様にとって相当厳しかったのではないか。でも、この2人の組み合わせだから18年間一緒にいられたのだろうとも思う。
夫さんが自らの体験で脳の捉え方の変化やお妻様の行動とのリンク付けをしてくれたこの本は、自分が見えて感じていることは本当にごく個人的なものであって、誰しも同じように感じないしできないということを改めて認識させてくれる価値のある本だと思う。
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発達障害の息子がいるので、たくさん本を読んできたし、いろいろ勉強もしてきた。
が、この本一冊の内容の濃さは、これまでの知識量をはるかにしのぐ。
「高次機能障害」を体験したことを、こんなふうに解釈し、このようにまとめた著者は素晴らしい!の一言。
あとがきに書かれている内容、特に日本の社会のありようについて、鈴木氏にはこれからもどんどん発信していってほしい。
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第三次産業が就労の多くを占めるようになった結果、発達障害当事者が周りからはじき出されやすくなった、という話には納得がいきました。日常的に周りの空気を読むことが求められているから、読めない人にとって(読めても)行きづらい世の中だと思います。
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前半、お妻様の強烈な個性に慄きながら読み進めました。
正直な所、鈴木大介さんはよくこのような方と結婚したのだと思ったものですが、読み進めるうちに、「お妻様」が愛おしくなってきました。
脳梗塞で倒れ、高次脳機能障害を背負った著者が、自分の高次脳機能障害の症状と妻の発達障害を重ね合わせて考えるようになり、妻の状態や気持ちを理解できるようになり、また妻が的確にサポートすることによって、二人の関係が大きく変わっていく様に、感涙。
とはいえ、実際のところ、発達障害の人の状態や心境をきちんと理解するのは難しいな、とも感じました。