紙の本
「証明できないことを証明する」という数学界の難問に挑んた二人の数学者の思考を追った書です!
2020/02/01 09:39
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、様々な分野の高度な知識をやさしく解説してくれると好評の「ブルーバックス」シリーズの一冊で、同巻は「不完全性定理」について解説された科学書です。「不完全性定理」と聞いても、多くの方が「それって何?」と思われることでしょう。実は、この「不完全性定理」とは、俗に「智の限界」や「科学の終焉」などと言われることがあるように、「証明が不可能であることを証明する」方法なのです。実は、これは数学者にとっては非常に難しい問題でした。しかし、それを証明した偉大な数学者が出現したのです。ゲーデルとチューリングです。同書は、この二人が説いた「不完全性定理」の内容を正確に理解するとともにその証明のための驚くべをアイディアをできるだけやさしく、分かり易く証明した一冊です!
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サイエンス作家である著者が科学の3ワカランの1つ「不完全定理」について、かなり優しく、興味が持てるよう解説した1冊。「なんかよくわからないなぁ」というモヤモヤしたものが、すぐに解消するものではないが、どんなものか?という点について、その印象をなんとなく掴めるような気がします。なんでもそうだけれど、ちょっとだけでも「ワカル」と面白くなるものです。導入本としていいように思います。
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不完全性定理に関する本は(挫折したものも含めて)これが何冊目なのかわかりませんが、その中でも最も易しく書かれている本の一つです。なにより、筆者は不完全性定理の本を読んで挫折したことがある人がいるということをちゃんと理解した上で書いているので、引っかかりやすいポイントを意識した記述になっています。
ところで、本書ではゲーデルの不完全性定理の解説は「あらすじ」のみです。しかし、これが本書の最も大きな特徴なのですが、それに続く章でゲーデルの証明のコンピューター版であるチューリングの話をする、つまり別の角度から見てみようという話になります。こっちのほうが、現代人にはわかりやすいのではないか、というのが著者の意図のようです。
とりあえず一読しましたが、実はチューリングの「あらすじ」を読んでわかったつもりではあるのですが、それとゲーデルを結びつけるところがまだ腑に落ちていません。もう一回じっくり読んでみないといかんですね。著者によれば、数学と哲学の本はスローリーに読まなければならないらしいので。
竹内薫さんの本は初めてでしたが、軽妙なトーンで文章を書かれる方なのですね。そういうのも、読みやすい要因のひとつなのかもしれません。
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ゲーデルとチューリングの「なしたこと」を簡潔に説明しようと試みているものの,具体的な理解を本書から得るのは難しい.
数学における「不完全性」をやさしく説明しようと試みた本と感じる.
・カントールの無限集合,対角線論法,連続体仮説
・無限集合の大きさの違い,順序数と濃度
・ゲーデルは,命題をゲーデル数に置き換えて,証明ができない命題があることを証明した
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カントールの対角線論法→ゲーデルの不完全性定理→チューリングの停止問題、の順に話が進む。不完全性定理を一般向けに説明した話を読む度に感じる、言いようのない違和感を本書でも感じてしまうのだけど、集合論など、今後、しっかり勉強してみたい分野など新しい関心を呼び起こしてくれたという意味では良い本。
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ゲーデルの不完全性定理と、チューリングの停止問題について、証明のディテールに立ち入ることなく、本質的な意味と歴史的な意義を分かりやすく伝えている。ゲーデル数の構成法について概略を述べつつ、「ゲーデルの証明は難解だ」と言い切ってくれるところが頼もしい。様相論理における□(必然性)と◇(可能性)のオペレータを、□(証明可能)と◇(整合的である)のように読み替えることで、第二不完全性定理を10行程度で証明できるとする1994年のブロースの結果は、今まで知らなかったけど、とても興味深い。
あと、ゲーデルを語る上で欠かせない、1930年代の「論理主義」「形式主義」「直観主義」のイデオロギー闘争をあえて無視し、「ラッセルの希望を打ち砕いた」という表現にとどめたことは、著者のサイエンスライターとしての力量を際立たせていると思う。「ヒルベルトとの確執」という不毛な地雷原に焦点が当たることのないよう、ヒルベルトに言及する際は腫れ物に触れるがごとく慎重に徹しているところが、何とも愉快である。純粋数学者は、今でもヒルベルトの「形式主義」のシンパが大多数だし、ゲーデルの価値観を嫌う人も多いからね。(何を隠そう、私も「形式主義」のシンパなのだが…)
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比喩を利用して困難な理論を説明するという試みだそうだが、実はそのようにはなってない。
他の本で躓きやすい概念や、すっと頭に入ってこない用語を比喩で表現してるに過ぎない。
この本だけで、理論を理解するのは無理で、他の本の副読本として有用なのだと思う。「ゲーデルの世界」の副読本として利用するのが良いかも。
初心者向けなのにselfcontainedではないので、★は2つかな。
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モヤモヤ感ばかりの入門書とチンプンカンプンの専門書を繋ごうとした意欲は買う。
それでもやはり、準備段階が終わった後の本論になるとかなりわかりづらい。各人物の歴史などは省いて、もっと解説に正面切っても良かったかと思う。
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ゲーデルの不完全性定理、チューリングの不停止問題を、歴史的背景や考え方・内容についてわかりやすく説明する書。
「不完全性定理について、中級の一歩手前まで導くこと」とされているけども、正直なところ、中身は理解できなかった・・・。
不完全性定理が、「証明できない命題があることを証明」しているということなんだけども、やはり中身(なぜそうなのか?)を理解するには(僕には)難しかった。
・・・だれか教えて(笑)。
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【内容(「BOOK」データベースより)】
「智の限界」「科学の終焉」などと言われることがある「不完全性定理」。しかし、それは智の限界や終焉などではなく、「正しくても常に証明できるとは限らない」ということを、卓抜したアイディアでゲーデルが証明した定理です。同じことを、イギリスの数学者チューリングは、彼が築いたコンピュータの数学的基礎の中で示しました。ゲーデルとチューリングの証明の詳細は抽象的でたいへん高度ですが、定理の内容は、それほど神秘的なことを言っているわけではありません。そこで本書では、「不完全性定理」の内容を正確に理解するとともに、証明のための驚くべき二人のアイディアを、できるだけやさしく紹介します。
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【目次】
プロローグ「心優しきプログラマーさんの悩み」
第0章 心の準備
第1章 無限に挑んだドン・キホーテ、ゲオルク・カントール
第2章 ラッセル卿の希望を打ち砕いたクルト・ゲーデル
第3章 チューリングの辞書に「停まる」という文字はない
第4章 Ω数、様相論理、エトセトラ
エピローグ 「とあるサイエンス作家のゲーデル遍歴」
付録1 ベリーのパラドックスと不完全性定理
付録2 「竹内流ゲーデル教室」(ええと、ようするに読書案内です)
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コンピュータのプログラムがとまるかとまらないかを判定できるかという例から始めて、わかりやすく不完全性定理の説明がされている。わかりやすくかいたところで結局難しいので、本気で読む気がある人じゃないとやっぱり理解できないだろう。
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チューリング機械と関連があるとは思わなかった。
不完全性定理を理解するためのつなぎのための本。
興味を持った人は巻末の読書案内の本へ
「ゲーデルは何を証明したか―数学から超数学へ」(E・ナーゲル、J・ニューマン著、林一訳、白揚社)
「ゲーデルの謎を解く」(林晋著、岩波科学ライブラリー)
「はじめての現代数学」(瀬山士郎著、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
「史上最大の発明 アルゴリズム 現代社会を作り上げた根本原理」(ディビィッド・バーリンスキ著、林大訳、ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
「ゲーデルの世界 完全性定理と不完全性定理」(黄瀬健、横田一正著、海鳴社)
「チューリングを読む コンピュータサイエンスの金字塔を楽しもう」(チャールズ・ぺゾルド著、日経BP社)
「計算可能性・計算の複雑さ入門」(渡辺治著、近代科学社)
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読書録「不完全性定理とはなにか」3
著者 竹内薫
出版 講談社
p56より引用
“余談になるが、数学にしろ物理学にしろ、
革命的な理論が「わからない」と感じたとき
は、ふつうの教科書ではなく「歴史」を書い
た本を読むと、目から鱗が落ちることがあ
る。”
目次から抜粋引用
“無限に挑んだドン・キホーテ、ゲオルグ・カントール
ラッセル卿の希望を打ち砕いたクルト・ゲーデル
チューリングの辞書に「停まる」という文字はない
Ω数、様相論理、エトセトラ”
サイエンス作家である著者による、不完全
性定理についての解説書、
無限についてから宇宙についてまで、多分
わかりやすく書かれているのだと思います。
上記の引用は、対角線論法についてかかれ
た項での一節。
歴史から見ると、その理論が生まれてきた背
景を俯瞰的に見ることが出来るとのことです。
物事に取り組んで、困難にぶつかったときは、
視線や方法を変えてみるのがよいのかもしれ
ませんね。
正直なはなし、通して読んでもよくわかり
ませんでした。どんなに頑張っても、はっき
りした答えがでない事があると言うくらいで
いいのでしょうか?
より理解を深めるための、読書案内が巻末
にあるので、本気で取り組んでみようと思う
方には良い一冊でしょう。
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結局難しくって証明を理解できなかったんだけど、少なくとも不完全性定理ってのがどんなものなのか、どんな学者が唱えたのか、それと数学や論理学の話について面白く書いてて導入の本としてはとても良かったと思う。
これきっかけに数学とかもう一回勉強し直したくなった。
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栄養学が現在のように確立されるまでには、先人たちの苦闘があった。「病原菌なき難病」征服とビタミンの発見。そこにはスリルとドラマがある。
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無理でした。志望学部のために、無理やり理系に進んだ自分だから、数学に対する親和性が低いことは疑うべくも無い。そんな奴でも、竹内薫の説明力にかかれば、とんでも難しい理論も理解出来ちゃうかも⁉︎みたいな期待を抱いた自分が甘かったです。結構早い段階で挫折しちゃいました。というか、いきなりここに飛びつくんじゃなく、もっと根幹の部分から復習していかないとダメですね、当たり前だけど。積読にはしといたけど、リトライする機会、訪れないんじゃないかな、みたいな。