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紙の本
完本太宰と井伏 ふたつの戦後 (講談社文芸文庫)
4度の自殺未遂を経て、生きることを選んだ太宰治は、戦後なぜ再び死に赴いたのか。師弟でもあったふたりの文学者の対照的な姿から、今に続く「戦後」の核心を鮮やかに照射する。考察...
完本太宰と井伏 ふたつの戦後 (講談社文芸文庫)
完本 太宰と井伏 ふたつの戦後
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商品説明
4度の自殺未遂を経て、生きることを選んだ太宰治は、戦後なぜ再び死に赴いたのか。師弟でもあったふたりの文学者の対照的な姿から、今に続く「戦後」の核心を鮮やかに照射する。考察を深めた論考を増補した完本。【「TRC MARC」の商品解説】
思考の力で〈世界〉と対峙し、惜しまれつつ逝った批評家、加藤典洋氏。
「愛着深い本」と語った本書は、生前最後の文庫となった。
文庫版あとがきと自筆年譜に、氏の最晩年の胸のうちが綴られる。
「ようやく私は一人の「老人」になることができたと思っている。(中略)「老人」とは世を捨てることではない。「若い人」を助ける「一歩身を引いた」、「自分の分限を知った」社会的人間のことである」
(「著者から読者へ」より)
「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。」(「ヴィヨンの妻」)
四度の自殺未遂を経て、一度は生きることを選んだ太宰治は、戦後なぜ再び死に赴いたのか。
井伏鱒二と太宰治という、師弟でもあった二人の文学者の対照的な姿から、今に続く戦後の核心を鮮やかに照射する表題作に、そこからさらに考察を深めた論考を増補した、本格文芸評論の完本。
與那覇潤
太宰や三島はだれもが認める「極端な人」だが、井伏のように恬淡に徹しきる人もまた別の極端なのだ。凡人たるわたしたちはひっきょう、太宰と井伏のあいだに広がる人間的な、あまりに人間的な原っぱを、ねじれながら生きていくしかないのだ。実質的に太宰論である本書にあえて附された『太宰と井伏』のタイトルを、ぼくはそうしたメッセージとして受けとる。 (解説より)
目次
太宰と井伏 ふたつの戦後
太宰治、底板にふれるーー『太宰と井伏』再説
解説 與那覇潤
年譜
著書目録【商品解説】
目次
- 太宰と井伏 ふたつの戦後
- 太宰治、底板にふれるーー『太宰と井伏』再説
- 単行本あとがき
- 著者から読者へ
- 解説 與那覇潤
- 年譜
- 著書目録
収録作品一覧
太宰と井伏 | 7−167 | |
---|---|---|
太宰治、底板にふれる | 169−202 |
著者紹介
加藤典洋
- 略歴
- 加藤典洋(1948.4.1~)文芸評論家。山形県生まれ。1972年、東京大学文学部卒。国立国会図書館勤務を経て、86年、明治学院大学助教授。90年、同教授。2005年、早稲田大学教授、現在、同大学名誉教授。85年、『アメリカの影』で文芸評論家としてデビュー。97年、『言語表現法講義』で新潮学芸賞受賞。98年『敗戦後論』で伊藤整文学賞受賞。04年、『テクストから遠く離れて』『小説の未来』で桑原武夫学芸賞受賞。主な著書に『日本風景論』『日本という身体』『戦後的思考』『言葉の降る日』『もうすぐやってくる尊皇攘夷思想のために』など。
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紙の本
太宰と三島の自死には共通点があるという発想は新鮮だった
2021/12/18 18:22
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
単行本として出版された「太宰と井伏 ふたつの戦後」に、講演録を追加して文庫化されたものだ。太宰の自殺の原因についてはずっと謎だった。それに一つの答えを与えられた気がする。太宰と三島の自死には共通点があるという発想は新鮮だった。