紙の本
計算高いのか?
2002/01/14 00:21
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投稿者:椿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
島田雅彦の『無責任さ』のおかげで、スピード感のある、でもどこかやりきれない想いを残す短編集となっています。読者を馬鹿にしているのではないか? とまで思わせる技巧的な文章と稚拙な文章の絡み合いに殺されて、何度でも(悔しいけれど)読まされてしまいしまいます。
紙の本
読後感の悪さが独特です
2001/07/01 07:01
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投稿者:呑如来 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「読者を不快にさせることも小説家の仕事」と心得る島田雅彦の書く4つの短篇はちょっとブラックな味わい。
「観光客」は文章の強度が素晴らしく、主人公に倣って新宿の浮浪者に弟子入りしたくなってしまいます。性行為に対する醒めた見方は『僕は模造人間』から変わることがなく爆笑。この浮浪者=遊牧民というモチーフは後に『夢使い』で花開くことになるのですが、唐突な終結は短篇ならではの味わいで意味気持ちいいかも。
「聖アカヒト伝」は天皇制への強烈な皮肉になっており、文章のあくも強いため、読んでいる最中も読後も胃がむかつくような居心地の悪さをおぼえます。
養老孟司氏へのリスペクトとして書かれた「ある解剖学者の話」は、家族それぞれの視点から(ペットの猿からも)“先生”について語られていて、時空間がねじれているような奇妙な味わいが。
表題作の「ドンナ・アンナ」は、オペラ歌手とそのファンであるハッピィ・プリンスの恋物語。オペラからの引用が多いですが、知らない人でも楽しめます。
個人的には「観光客」が一番好きで、いつ読み返しても失踪してみたくなる楽しさがあります。安部公房の小説と同じく“旅先で読むのにおすすめの一冊”といったところでしょうか。
■Diary
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やっぱり島田雅彦は激しくSEXの話ばかり。でも結構いいと思う。やらしくないし、何故か哲学しすぎだし。ドンナ・アンナは島田さんも言う通り“愛”の物語。凄い終わり方も良いし、よい恋愛小説。他のもなかなか。
解剖学者のはインパクト弱だけど。
ドンナ・アンナ 良!!
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この人面白いんだけど、実験しすぎな気がする。まあまずは長編読めよって自分に言いたいけど。でも、思うにたぶん島田雅彦は自分の物語(ベース)がないんだと思う。そしてそういう作家は実験と作為で物語を作るしかない。僕は書かずにいられない何かが読みたいと思う。この差について考えるきっかけにはなった(たとえば阿部和重も書かなきゃいけない自分の物語がないように思う)。
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短編集。「聖アカヒト伝」がとっても、グルグルする。「ドンナ・アンナ」は、こんなに女の(性、とかそういう)事を理解している人がいるのか、と驚嘆。さすが 島田雅彦。
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実験的な小説でストーリーは正直何がしたいのかよくわからなかったけれど、たまにドキッとする文章があるのが面白い。
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短編集だが、「僕は模造人間」の素晴らしさを引き継いでいる。やはり島田氏は芥川賞の選考委員をするだけあって、秀逸だと思う。でも芥川賞取れなくて残念でした。6回て。
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表紙がかわいい。ジャケ買い、だよね。
小説も、なかなかかわいいね。
この人に芥川賞をあげなかったのは、失敗だよ。
村上春樹にあげなかったのは正しかった、としても。
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以前著者のことをテレビで観て芥川賞を受賞していないが、芥川賞の選考委員という著者の経歴を知って、著者の作品を読んでみたいと思って読んだ小説。掲載されていた短編の中で色んな人の話から解剖学者のことを描いている「ある解剖学者の話」が1番好き。「聖アカヒト伝」は怖い話だと思った。表題作の「ドンナ・アンナ」は大人な話だと思った。釈然としないオチの話が多かったが、読むと自分には無い視点が得られるような小説だと思った。また機会があったら、著者の別の著作を読みたいと思った。
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二十年以上振りの再読。島田雅彦が好きだったことは覚えているが物語の内容は見事に覚えていなかった。きっと倒錯してるというか、いままでの文学の常識を覆すというようなところに惹かれたんだろう。しかもそれを真面目にやってるから可能性を感じたんだと思う。
「聖アカヒト伝」と「ドンナ・アンナ」が面白かった。アカヒトの傍若無人な言動は、程度の差こそあるとしても現実にあり得るじゃないだろうか。一国を牛耳るとなると世間の目が厳しいけど、学校や会社ではよくあることなんじゃないだろうか。
アンナのとってハッピィ・プリンスは幻想の恋人なのかな?そうだとしたらアンナの心はずっとどこかにいるはずのハッピィ・プリンスを探すことになるんだろう。でもとびっきりの男の子が目の前に現れたらケロッと忘れちゃうかもね。
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初めましての作家さん。
「観光客」「聖アカヒト伝」「ある解剖学者の話」
「ドンナ・アンナ」(表題作)
4編の短編集です。
「ある解剖学者の話」と「ある解剖学者の話」が
面白かったと思うのですが、結末が意味不・・・
その世界観が難解過ぎました。
好きな人には申し訳ないのですが、ダメでした
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作者が自由に筆を走らせた4篇の短編集。ユーモアや発想が当時の作家としての充実を感じさせ、面白かった。
一見大衆文学の軽さだが、作品の主題は意外な程輪郭がしっかりあり純文の雰囲気を兼ねた両義性が魅力の作家かもしれない。
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ドンナ・アンナは良かった。主人公が女性だからか、胡散臭い下ネタに走らず、過激にならず。少なくとも蒸発した男と(島田雅彦にありがちの)夢の中や幻の中で暮らし始めたりしないだけまともな気がする。オペラ歌手の声を愛する男と、彼の何でもなく誰にでもなるその身体を愛する女。過去の倒錯的な女を生身の女が消せるのか。娼婦にも伯爵夫人にもなるオペラ歌手。後書きの「マニエリスティックな愛の物語」なんて、初めて聞いた単語。
「あたしの青い鴉は何処か遠くへ行ってしまった。あなたは今何処にいるの?誰のものなの?あなたの幻と空しい生活をするのはいや。」
そのほかは、しょうもない話ばかり。
観光客、めちゃくちゃだけど後味は悪くない。
聖アカヒト伝、四方に喧嘩を売ってる。狂った権力者と気狂いの男の話。
ある解剖学者の話、しょうもない男、謎のエンド