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怖かった。こんな未来だとしたら、って考えるとすごく怖かった。
新型インフルエンザの蔓延により10代から20代女性の85%が喪われた日本では満18歳から満30歳までのすべての日本人男子に、性転換を義務付け出産を奨励する【徴産制】を施行。
反対したり逃げたりするものがいる中、受け入れる人も多く、5人の視点から描かれた物語なのだが、深いんですよね。設定は壮大だけど、男女についてのあれこれや、現状問題、差別とか。怖いくらいに。
だけど、生きる意味っていうのがわたしには見つけられなかった、かな。。
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2093年。感染症により妊娠可能な若年層の女性の大半が死亡した日本で、国家の存亡をかけ、18歳から30歳までの男子全員に最大2年、性転換と妊娠活動を義務づける徴兵制ならぬ「徴産制」が施行される。
なかなか興味ある設定(感想は後日に書き足します)
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「スミダインフルエンザ」という若い女性しか発症しない病気が爆発的に拡大した未来の日本では、出産年齢にある女性の多くが死亡してしまいます。事態を憂いた日本政府は性転換技術を活用して男性を女性へと性転換させ、出生率を向上させることを決定、国民投票を通じて18歳から31歳の未婚の男子を女性へと転換させる「徴産制」を成立・施行させます。
この作品では、徴産制によって「産役」につくことを命じられた5人の元男性(性転換により女性(産役女と呼ばれる)になった)それぞれのエピソードが収められています。
基本的には1話完結型で、他のエピソードと関連して一つの大きな物語が展開している、という作品ではありません。
作品ではそれぞれの短編の登場人物の心理描写が綿密で、説得力のある文章が多かったです。
なぜ「産役」に就く決心をしたのか(招集だけでなく「志願」した主人公もいました)という点も納得がいきましたし、「ひとつの制度には”見えない闇”が存在している」ということも他人事ではなく理解することができたと思います。
「男性らしさ」「女性らしさ」だけでなく、それぞれの性を選択することが一般的になったときの社会の受け止め方としてどのような立場が「理想」なのか、という点も読者一人ひとりに考えるきっかけを与えてくれると思います。
小説作品としては十分に楽しむことができましたが、具体的な性体験や出産の描写はなく、一抹の「物足りなさ」も感じる読後感ではありました。
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18歳以上31歳未満の男性が強制的に可逆式で性転換され、子どもを産む話。女性に対する憧れから、女性になれる話ってのも良いなと思って読んでみたが、実際に女性となった場合の軋轢や差別などなど、今のLGBTの受容を問うている社会にとって、結構現実的な話なのかな、とも思った。
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よく考えようシリーズ。「徴兵制」ならぬ「徴産制」。伝染病により、出産適齢期の女性のみが著しく減少した近未来の日本で、適齢期の男性に性転換手術を義務化し出産を促進しようとする法律が可決・施行される。法律により女性になった5人の元男性の物語のなかに、単なる近未来サイエンスフィクションとして笑い飛ばせない現代の闇が表現されていて考えさせられる。国のために性転換することになったのは適齢期の若者だが、法律を可決したのは圧倒的に人数が多い中年以上の人々で、世代間闘争が見え隠れする。性転換の義務は2年間でこれが終了すると男性に戻ることが認められているが、その間に当然起こる大きな変化に対し、その後の保障はない。該当者に対する職場における差別。拉致され「慰安夫」にされて男性から性暴力を受ける。「女性」になった該当者に対する教育期間に、国家の意思を刷り込まれる、など。男性時代に冷凍保存した精子と、女性化した後に手に入れた卵子と子宮で受精した子の父母は?今ある価値観や常識が揺らぐ一冊。
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設定は荒唐無稽なようだか、新型インフルエンザの発生は、有り得ないことではない。
様々なパターンの徴産制当事者たちについて語りながら、慰安婦問題やトランスジェンダー、DV、食料自給問題、核のゴミのことなど、目を背けてはいけない現代の問題までが語られていて、スゴイ。
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面白い設定だけど、将来的にありえそうな内容。男性が女性になる事によっての政治的、経済的な部分を書いてあるのは男性には読みやすいのかな。出産の大変さとか書かれてたらいいのにな。。と思った
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とても面白かったです。田中兆子さんは初めて読みました。図書館の棚にあって、タイトルと表紙の文で選びました。
2087年から、女性のみ発症する「スミダインフルエンザ」が猛威をふるい、2090年に終息しましたが10~20代の女性の85%が死亡。その後、通称「徴産制」という、満18歳以上31歳未満の男子全てに、最大24ヶ月間「女」になる義務が課された世界のお話です。
「徴産制」ですが、女性になることは義務ですが、出産そのもの、と育児は義務ではありません。産役を終えても女性のままでいてもいい。
なんてこった…嫌いな言葉の「女性は産む機械」を描くとこうなるのか、というお話たちでしたが、産役男たちの生活、今の女性の生きづらさを思わされてうううとなって読みました。
どのお話もそれぞれ心にきたのですが、ハルトのお話が一番好きでした。ラストの会話が刺さる。
「女としての価値」を「楽しく生きてれば、そんなもんどうでもいいってこと!」と笑い飛ばすジョージが良いです。
キミユキの娘のユリも良い子だし、保育所のペニャ先生の言葉も良かったです。キミユキのお話は、父…と始めは引きましたが、父は予想外の展開になりました。
タケルのお話が一番辛かったです。慰安婦問題。「(憎んだり怨んだりする)そういう私を見て、あんた、生きる希望が湧いてくるかい?」という言葉はショックでした。老婆、残りました。
イズミのお話のラストは薄ら寒かったです。徴産制の真の目的はこれだったのか。
全く知らなかった作品でしたがとても面白かったです。性別問わず、生産性!と言ってる人も読んだらいい…と思いました。
この世界は極端ですが、男と女を自由に選べる世界は良いです。
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人口減少に歯止めをかけるため施行された徴産制。男性が一時的な性転換で女性になる、というとんでもない設定だけれど、ぶっとんだ設定のわりには上手いこと描かれていたと思う。さらっと描いてはいるけれど重い問題、性差別、女性としての問題、目を背けたくなるような辛い表現まで、ジェンダーな問題が多く語られていた。まぁでも実際にこんな世の中になったら(若い女性が圧倒的にいない)徴産男だろうが、ブサイクだろうが女なら何だっていいや、みたいな男性がたくさん現れるんじゃないのかな?って思うので、そう考えるとわりと表面的な善と悪が語られただけの物語感が否めないかな。
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時は2092年、18歳から30歳までの日本国籍を有する全ての男性に課せられた「徴産制」。
それは最大2年間「女性」への性転換が義務付けられるもの(産役)だった。
新型インフルエンザの蔓延により10代から20代の女性の85%が亡くなった日本は、深刻な人口問題に直面していたのだ。
「徴産制」の目的はあくまで「子づくり」。
子育てが嫌なら国が養育施設で育ててくれ、産役が終了した者はお望みとあらば再び男性に戻れる、という。
国からの報奨金目当て、跡継ぎ欲しさ、出世のため、好奇心等々産役を課せられた産役男達の「徴産制」に対する目的・考え方も人それぞれ。
一度きりの人生で男性にも女性にもなれるとは。
読む前はもうちょっとコミカルな物語かと思ったけれど、産役男を通して日本における男尊女卑をこれでもか、というくらいに意識させられ凹んでしまった。
実際の日本もいずれ、こんな風に簡単に性転換できる日が本当にくるのかもしれない。
なかなかパンチの効いた設定にドキリとした。
新型コロナが大流行の今、新型インフルエンザに右往左往する未来の日本人達の姿はとても他人事とは思えない。
しかも首相がソガさんなんて…ま、まさか?!
「人間は中身が大事っていうけど、外見って中身の一番外側って意味らしいよ」
「人間は、オトコのコとオンナのコの二つに分かれてるんじゃなくて、ひとりの人間のなかにオトコのコとオンナのコの両方がいるんです。そのどっちが多いかは人によっても違うし、どっちを多くしたいかは自分で決めればいい」
「最終的に人を立ち直らせてくれるのは、人でしかありえない」
男性も女性も同じ「人」。
大事なことも教わりつつ、遠い未来…いやひょっとしたらそんなに遠くないかもしれない…と未来の日本を憂いつつ本を閉じた。
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男性が女性になって、社会を見たり、自分を顧みたりすることで、各章の主人公は、人間としてより深くなれたのだと感じました。
「人間は、オトコのコとオンナのコの二つに分かれるんじゃなくて、ひとりの人間のなかにオトコのコとオンナのコの両方がいるんです。そのどっちが多いかは人によって違うし、どっちを多くしたいかは自分で決めればいい」というセリフがあります。確かにそうかもしれないと思いました。
物事、何でもきっぱり2つに分かれるわけではないのだし、男女という線引きはさほど重要ではないのかもしれないと感じました。
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格差の進展や食料自給率の低下、人口減少に少子高齢化。
そのような問題が山積みの中で起こったパンデミックによる若年女性の激減、いよいよ追い詰められた2092年の日本政府は、徴産制により種々の問題解決を図る。
徴産制が施行されてからの、若者を中心とした人々の生きざまには、ディストピア感溢れる世にあっても前を向こうとする逞しさを感じた。
性転換技術はともかく、確かに今のまま行けば未来の日本はこうなるかもしれない...と思いながら読んだ1冊だった。
「どうして……憎んだり怨んだりしないんですか」
「そういう私を見て、あんた、生きる希望が湧いてくるかい?」
という下りに、著者の思いが集約されているように感じた。
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疫病により、10代~20代の女性の8割以上が失われた日本。
満18歳から満30歳までのすべての日本人男子に、性転換を義務付け出産を奨励する【徴産制】が施行された!
女性となった男たちのそれぞれ。
女としての幸せを掴もうとするもの。
娼婦に堕ちてしまうもの。
新しい家族の形を作っていくもの。
トンデモ設定ながら、ジェンダー問題を考えさせられる1冊
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男性が女性に性転換して子供を産むことが義務付けられる時代というトンデモ設定の話。設定に興味を持って読んだが、正直期待はずれだった。
感染症によって女性が極端に少なくなったことで逆に女らしさが尊重される世界になっているが、それは結局性別に縛られていると思う。気軽に性転換できる社会が描かれているが、性転換は不可逆(性転換後に元の性別に戻すことが基本的には困難)なのではないかなあ、と違和感があった。ここに突っ込み始めるとそもそも論が崩れるけど…。実際にそんな社会になったら精神的に不安定になる人が多くて自殺者とかも増えそう。
性転換して女性になったけど不妊、という登場人物もいて、色んな角度からこの社会を描いているのは良かった。
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新聞かなにかで情報を見て読んでみました。だいぶ先の未来が舞台となっているけれど、パンデミック、少子化、ジェンダー、移民。今の社会が抱えている課題が渋滞している中でのトンデモ設定。あまり笑えないなぁと思いつつ読みました。徐々に社会が変化していく姿が書かれているのもおもしろかったです。
2022/2/7読了