紙の本
NHKラジオ深夜便で、この著者氏のインタビューを聞いて読みたくなった。
2020/04/23 02:32
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投稿者:オカメ八目 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ラジオ深夜便のインタビューにも「ホームレスから作家に」とあるように
想像外の、まるで絶叫マシーンにでも乗ってるかのような人生を送られてきた著者に、何か「惹かれた」ので読む気になった。 本書は、ほぼ「自伝的」小説。ーーーーそのような著者の本ゆえに、決して軽くはない。
ほぼ、社会の「底辺」の一部を抉り出して描いている。 よって、「オイラには、そんなのカンケイない!」と言う向きには、全くお勧め出来ない。 なぜなら、読めば、大体「暗く」なるからだ。 だから、体力と気力がある人で、社会の底辺と言う「もう一つ別の世界」に少し興味のあると言う人には勧める。 その時、この著者の「弱者や、少数派への、何とも言い難き、眼差し」が味わえる一冊。
電子書籍
夢か現か
2020/02/11 14:40
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:suzu coffee - この投稿者のレビュー一覧を見る
重い。夢と現実の狭間で自分の居場所が危うくなる気分。でも現実寄りなんだろうなぁ、と納得させる。
紙の本
読んでいて気持ちが悪くなってくる
2019/05/14 11:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にゃっつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ほぼ同時代を生きたであろう作家の私小説。
読み進むほどに気持ちが悪くなってくる。
落ち込むとか、暗くなるとかではなく、吐きそうになるのである。
このような感想を得たのは、前に『苦役列車』という私小説を読んで以来。
なんでこんな本を買ったのか、という暗い反省が自分を責めながらも、先を読み進めてしまい、読後、強烈に吐いた。
なんという身勝手。
なんという卑怯。
なんという自堕落。
そもそも人生のスタートを誤ったのが原因とはいえ、この主人公の精神構造を疑う。
なぜ何もかも人のせいにするのか。
腐った息を吐きながら生きても、娘だけは救えたはずである。
本当に読むに値しない作品である。
しれっとゲーム喫茶を転々として生きておられるとのこと。
今からでも遅くないので、生き直すことである。
ただ、この作品にこれほど嫌悪するのは、自分の生き様にまったく重なるからなのであろうと反省もしている。
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20190704予約
ご本人の話のようだが、救いようのない人ばかり出てくる。辛い話ばかりが続くので、元気でない人は、読まないほうがいいかも。
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すさまじい。絶句。しかしこれまぎれもなく2019年、日本を描いた小説だ。懺悔なのか、自傷なのか、小説なのか、最後の1ページは、すべてを語るかのようで、これ以上語ることを拒否せんばかりの重みだけを告げるようだ。
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平成最後の大型新人は62歳、無職、住所不定。
就職して消費者金融の支店長になり燃え尽き症候群、
娘が精神障害で自殺未遂を繰り返す、
起業のち破綻、
除染作業員として福島へ、
そして最後に所持金一万円で東京に逃れて住所不定となる。
著者の人生と一致する、語り手大西の設定である。
どこまでが小説で、どこまでが私小説なのか、その境界が見えない。
それゆえにリアル。
ボダ子とはボーダー、境界性人格障害ゆえにつけられた娘のあだ名という設定だ。
ボーダーの娘ボダ子は三回目の結婚相手との間に生まれた。
その後離婚し、四回目の結婚をするも、ワークホリックの大西は家庭とは距離を置き、ただ娘を愛していた。
そのネグレクトと、母親のヒステリーの末にボダ子は境界性人格障害を発症しリストカットを繰り返すようになる。
大西は消費者金融で支店長を務めるも、燃え尽き症候群で退社後起業し成功していたが、家庭に爆弾を抱えていた。
やがて会社は行き詰まり、大西は福島の復興事業に食い込もうとする。
金、金、金、カネさえあれば。
家族に対する顔と、仕事での顔とを使い分けるも、大西の思い描いた一獲千金の絵は破綻に向かう。
震災、原発事故、そして事故後の処理。
膨んだ復興支援金がもたらす歪みを抉り出す。
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バブルのあぶく銭を掴み、順風満帆に過ごしてきたはずだった大西浩平。4度の結婚、家庭を顧みず仕事に明け暮れる日々に充実を感じていた。
人生の歯車が狂いだしたのは、3度目の女房との間に出来た娘が中学生になって間もなくのことだった。愛する娘は「境界性人格障害(ボーダー)」と診断された。
東日本大震災を契機に、ビジネスは破綻。復興ビジネスを目論み東北へ飛ぶ浩平。再起を賭し新事業を展開しようと試みるも、彼を待ち受けていたのは運命の悪意だった。
「らんちう」でロックオンした「63歳、住所不定の新人」が描く自らの実体験に基づく作品は、胸糞が悪くなるような人間達の姿をとことん描きながら、目を逸らすことができないほどのエネルギーに満ちている。
金に群がる人間たち・・・裏金としてかすめ取られる公共事業費、悪質な義援金ビジネス、ボランティアの美名のもとに行われる悪辣な所業。これでもかと暴かれる現実に打ちのめされる。
そして、浩平の自分勝手な都合で打ち捨てられる娘「ボダ子」。浩平はとことん糞のような男で、問題に直面すると言い訳ばかり、とりあえず逃げることしか考えない。
だれでも自分の人生を描けば、1作は小説を書けると言われるが、この小説がどこまで現実を描いているのか、考えるだけでも恐ろしい。
娘を見捨て、糞のような父親は作家になった。けれど、幼少期から父のネグレクト、母のヒステリーにさらされた「ボダ子」が今、どんな人生を送っているのかと想像すると胸が苦しくて仕方がない。
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タイトルの「ボダ子」は境界性パーソナリティ障害の「ボーダーライン」から。同障害と診断された娘のあだ名である。
が、本作はボダ子を中心に話が進むのではなく、彼女の父親を中心に話が進む。
とにかく、すべてのエピソードが悪い方向にしか進むまないので、読んでいると自分がダークサイドに引き込まれる感じがして、胸糞悪い。
なのに著者の文章がうまいせいで、グイグイと読み進んでしまい、ますますダークサイドへ。そして読了後も胸糞悪さは消えず、読んだことをちょっぴり後悔。そういう意味では、本作はホラー小説であると感じた。
でも、こういう小説も必要なんだろうな~。
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タイトルと帯に書かれた「私は、あの町で娘を見殺しにした。」に惹かれ購入。
これが筆者の実体験だと言うから驚き!確かに、ものすごくキョーレツな半生でいらっしゃいます。
仕事には真面目で努力家、女癖が少々悪いところもあるが、そのぶん情に厚い。だが、お金に対する執着が凄い。それは野心を通り越して、生活の全てをお金さえあれば解決出来ると信じる拝金主義に見えた。だからこその破綻、失墜…。
でも、だからといって決して悪人ではない主人公に、最後の頁まで目が離せないのもこの本の魅力。ボダ子と主人公の今が幸せでありますように。
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どこまでが実話かはわからないし心情なんて藪の中.だから小説といってもいいのだろうが,タイトルはボダ子でも主人公はあくまでその父親たる浩平.自分のことしか考えない山師で詐欺師,女性を物のように扱い虐待し反省もないその場しのぎの口先男,本当に最低の嫌な奴,どんどん落ちるところまで落ちていくのかと思えば「なんとかなる!」のお題目どうり作家になるなんてびっくりです.また,震災ビジネス,震災ボランティアの裏側が描かれていてそれもかなり強烈でした.
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書き出しはこうだ。〈娘はボダ子と呼ばれた。ボーダーだからボダ子〉。
ボーダーとは、境界性人格障害のこと。
父親の大西浩平は、家庭内で問題が起これば仕事に逃げる、根っからのネグレスト気質。あぶく景気も末期。浩平の事業は破綻した。そして、東日本大震災が発災。
娘を連れた浩平は東北で土木作業員へと転身する。
金と欲。
淡々と綴られる日々に共感はできない。
でも、読むことを止められない。
浩平のダメっぷりの中に
娘を思う父親の感情が少しでも見えると
この親子は何処へ行き着くのか気になり
仕方がなかった。
一体、私は何を確かめたかったのだろう。
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住所不定作家というセンセーショナルな売り方は、インパクトはあるけれど諸刃の剣かなと思う位力のある書き手と感じました。アウトローな本を書く人が本当にアウトローである必要性は無いと思います。
自叙伝的な本と言われていますが、もしそうだとしたら相当最低な男ですが本の面白さは本物です。
自己愛から誰の事も愛情を感じられない主人公に感情移入するのは難しく、次第に転落してく姿もこりゃ仕方が無いかなと思う位のクズっぷり。娘だけは愛情を感じているものの、身勝手な理屈山盛りでどんどんボタンが掛違っていく。それなのに先が気になって仕方が無いというのは文章的な腕力が強いのでしょう。
どことなく花村萬月の作品を彷彿とさせますが、あれほど理不尽な暴力の嵐は無いので転落転落の暗黒転落小説という趣きです。
性的描写はかなり出てくる上に回数も多いのですが、ねちっこさが無いので僕には読みやすかったです。牛丼かっ込むかのような投げやりな書き方です。もっと生々しい描写を好む人には物足りないかもしれません。
文末の余韻が良いです。最後がいい小説は美しい。
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8月-2。3.5点。
境界性人格障害=ボーダー。仲間から「ボダ子」とあだ名を付けられる。
作者の自伝的小説らしい。ひとことで言うと「強烈」。
結婚離婚を繰り返す主人公、離婚しているが娘が心を病む。
奮闘する主人公、だんだん転落していく。
この作家の小説は、皆強烈。次作も期待。
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怒涛の展開に、あっという間に読み終えてしまいました。やっぱり赤松さんは人間を描くのがうまいです。人間以外の描写を省くことで、様々な思いの強さが伝わります。読み進めるうちに主人公と一体化して、我が事のようにハラハラしたりキリキリしたりしました。
いちばん胸を締め付けたのは、終章の言葉。
「何か拠り所がほしい。そう思って小説を書き始めた。ただ流されるだけの日々に、杭を打ちたかった。縋る杭を。」
人間はそれぞれ縋る杭を欲して生きています。間違った杭を打ってしまう人もいるけれど。
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【Twitterでの赤松さんとのやりとりから】
(赤松氏)出版後のインタビューで「ここに書かれたことは100%真実です」と答えた。ただしそれは心情的な問題で、私が宮城での土木作業員後、福島で除染作業員をしたことは色々な媒体でお話ししています。であれば本作が100%事実に基づくものではないとご理解頂けるはず。即ち真実と事実は違うということです。
(私)夫の二番目の父が生前兵庫県で土建業の社長をしていたり、夫は一級建築士やコンサルで様々な事業に携わっていたり、私自身の色々な経験から私の事実を補完して読みました。だから、この作品のようなことがあり得るだろうなと感じたのです。読むまではそんな事を考えた事もなかったので。
(赤松氏)そのあたりは事実です。ただあれを書いたのがバレるといろいろ障りがあります。本作に限らず、他の作品も。だから儚い防衛策として、インタビューの時にはサングラスをかけています。いろんな界隈で、バレているみたいですけど。
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「どえらい本」
ラストに圧倒され思わず出た言葉。
著者の私小説らしく
リアリティがあるのもうなずける。
凄い経験をされてるのねぇ。
東北の震災の知られざる裏側
ボランティアの実情
とにかくグロテスクな登場人物たち。
ヘビーな内容を面白く読ませる文章力。
是非、他の作品も読みたい。