紙の本
「火花」以上
2016/02/04 14:15
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「談志が死んだ」は、立川談志家元が、高座でしばしば振っていた枕。回文でもある。これがタイトルになるほど、エピソードの多い噺家でもあったわけだが、本書は、弟子から見た家元の暴君ぶり、カリスマ性が、私小説風につづられている。あちこちで語られ、また残された談志語録とは一味違い、素顔もよくわかる。むろん、あくまでも小説上の談志として。又吉某の「火花」より秀逸。
紙の本
笑点の語呂合わせ。
2017/05/14 18:54
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
元ネタがそれだったんかい、と突っ込んでしまったが、それも談四楼さんに踊らされてるんだろうな……。
タイトルは談志師匠自身が作ったという回文なのも名は体を端的に表していていい。
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談志追悼本二冊纏めての読んだところだ。
まずは弟子の談四楼の「談志が死んだ」。ここのところお手軽本の出版でお茶を濁していたが、久しぶりに読み応えのある談志追悼本になっている。名著「師匠」以来の談志本とも言える。
しかも弟子であるにも関わらず綺麗事だけでは無く老いに苦しみ病気にまた苦しむ「等身大」の師匠を描いている。談志の晩年、闘病生活中の「狂い」とその理不尽な要求に遭遇する体験などはまさに弟子で無ければ書けないであろう。例えばある日突然に談志から電話を受け、弟弟子である談春の「赤めだか」出版時に書いた書評が何故か談志の逆鱗に触れ、理由は判らないままに詫びをを入れさせられたりという逸話だ。若い修行中の弟子に対してではない、立派な立川流の高弟であり真打である談四楼が相手なのだ。
談四楼の旧知の医者の言葉として語られているが、若い頃出来た事が老いと共に身体が付いていかずそのギャップに苛立つ一方で、「名人」と奉られ誰も批判する人間も居ないことに苦しみ周囲に当りちらす。また若い頃から常習している睡眠薬の影響、そして抗癌剤治療の影響による心の病がそれに追い打ちを掛け、更に過激になる。そんな談志の孤独感と近親者の苦労がなんとも物哀しいではないか。
談志の死後すぐに不肖の弟子で立川流から破門になっている快楽亭ブラックが追悼本を出しているものの、歯に衣着せぬブラックでさえも談志との良き思い出を描くことで批判精神は封じ手にしていたのでだが、高弟である談四楼が談志の苦しみを描いた本書を上梓する意義は大きいし称賛に値する。
一方で、演芸評論家にして作家、そして立川流顧問の地位にある吉川潮の「談志歳時記」は徹頭徹尾、談志の良い面に光を当てそして病に倒れて弱っていく談志への個人的な思いをこれでもかと綴っている対照的なものだ。ある意味では「追悼本」としては王道をいくべき内容とも言える。
吉川の芸人小説、例えば「江戸前の男―春風亭柳朝一代記」などは非常に好きであったが、何時しか立川流顧問になり談志への個人的崇拝が目につくようになってからは、ちょっとばかり鼻白む気分でいたので本書を買うのも少しばかり躊躇っていた。上述、談四楼本を読んだ後でもあるので対比の為に買ってみたのだがやはりその評価に間違いは無かった。
確かに、かつて四天王と呼ばれた落語家で落語家として評価できるのは志ん朝と談志だけという面もあり、志ん朝亡き後は談志の独り舞台であったわけだが、それを割り引いても立川流顧問に就任して以降の談志にべったりと寄り添う姿は談志同様にまた哀しいものがある。
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心をさらすことは相当こわい。正直であればあるほど隠したり嘘をついたりしてしまいがちだよね。談四楼さんはその垣根をよっこらしょと越えてこの本を書いた。あの、悔しさのかたまりの文章を書いた著者ならではの視線。
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「立川談志自伝 狂気にありて」と併行して読む。
私小説として 読むのも 良し
立川流の顛末記として 読むのも 良し
改めて
談四楼さん は 本書く派
なんだ と 改めて思う
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面白くて一気に読んでしまった。
先日、この本に何回も出てくる「美弥」でお酒をご馳走になった。わたしが座った席に、大好きな立川流の噺家さんが何度も通っていたなんて!
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どこまでが事実でどこからがフィクションかはわからないところが憎らしい私小説。談四楼が弟弟子の談春による『赤めだか』を褒める書評を書いたら、なぜか談志に激怒され、右往左往する。談志亡き後の一門での話し合いの場面もあり、立川流の今後をいろいろと想像させる。
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いきなり談志の死から始まる。落語立川流家元・立川談志の死に
ついては家族と、最期まで談志の世話をしたひとりの弟子以外には
他言されなかった。
著者をはじめとした一門の弟子たちに訃報が届いたのは密葬が
済んでからだった。
本書は師匠である談志の死を軸に、著者の思いが過去と現在を
行き来して自身と談志との関係、一門のこと、落語界のあれこれを
綴りながら、最後には師匠への「愛」へ終結して行く。
談志が落語協会と袂を分かったことは知っていたが、詳しい経緯
までは知らなかった。そうか、自分の弟子が真打昇進試験に落
とされたことに憤激したのか。
本職の落語以外でも漫談などもこなし、「天才」と呼ばれた落語界の
風雲児も病には勝てなかった。
喉頭がんは、噺家の命である声を談志から奪った。病は、体だけを
蝕んだのではなかった。心までも狂わせた。
弟弟子の著作の書評を書いた著者に、談志は突然破門を言い渡し、
一門解散を告げる。まぁ、後に撤回されるのだが。
常軌を逸した師匠の言動に振り回される著者の姿にはらはらする
一方、病んで老いた談志に哀しみを覚えた。
「オレが死んだら悪口だけで三時間はもつはずだ。笑って送って
みせろ」
談志の言葉通り、残された弟子たちは集まるごとに師匠のエピソード
で盛り上がる。まるで汲めども尽きぬ泉のように。
本職の作家では書けぬ、師匠・談志を描いて愛情あふれた1冊である。
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立川談志にも、落語にもそれほど興味がないのだが、以前読んだ立川談春の『赤めだか』がとても面白かったので、手に取ってみた。
落語協会からの脱退、立川流創設のきっかけともなった著者が、談志の死を通して、談志の様々な顔を描いたエッセイもしくは私小説ともいえる一冊だ。
『赤めだか』の根底には師弟愛が深く流れていた訳だが、本書にももちろん師弟愛はある。それと同時に談志の「老い」というものにも視線を向けていることが印象に残る。
誰しも尊敬する師匠の「老い」からは目を背けたいものだろう。しかし、それをあえて取り上げたものは、著者が言うように師弟愛というよりは親子の愛情というべきものなのかもしれない。
本書には著者が書いた『赤めだか』の書評を読んで、談志が激昂したエピソードが収められているのだが、還暦間近の著者がなぜ怒られたのかも分からず、がくがく震えながら、慌てて談志に謝罪しにいくシーンには思わず、苦笑してしまった。
いくら歳を重ねようが、親は親なのである。
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死んで尚,弟子を食わせる談志~立川流立ち上げのきっかけとなった談四楼も二日後に死を知り,あれやこれやを思い出す~全然知らないなあ
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分類上は私小説ということのようだ。
だが次から次へと実在の人物名や実際の事の顛末が語られ、はたして脚色部分はあるのだろうかと疑いたくなるほど。
実をいうと、全く落語には疎い私。
いつだったか、どこかで本書の書評を読み、談志師匠が亡くなり世間が大騒ぎになったこともあって、頭のどこかに残っていたのだろう。図書館で目につき、借りてみた。
とても残念だったのは、自分がまるっきり落語界を知らないということ。
ごくごく一部の著名な人物がちょっとわかるくらいで、誰それといったら何々という落語とか、一門がどうのとか、誰と誰が師弟関係とか、仲が悪いとか、以前ひと悶着あったとか、何一つ知らない。
そのあたり多少なりとも知識があったら、おそらくとてつもなく面白い本だったのではないか。
著者の語り口は、まるで落語を聞いているような錯覚に陥るほどテンポがよく、濃密で、師匠と弟子の関係は、血のつながりをも超えた親子に見えた。
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立川流の創立経緯から談志が死ぬ前後の話までを、談四楼が立川流の辛口で語っている。談志の生き様がよくわかり、活躍している頃にもう少し接する機会があったら面白かったなと思った。
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談志死亡時の動きやその後「落語立川流」継続の話が縦糸なのだが、立川流を辞め早世したほぼ同期の小談志への思い、周囲での経験も踏まえて晩年の談志を左右した病老死、或いはその芸人にとっての関わり、といったものが横糸になっていると感じた。良い本。
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談志の弟子による談志晩年のエピソードの数々。
ここにある談志は決して人格者ではない。どころか、人格破綻者のような面も多々ある。それでもこんなにも魅力的にうつるのは、著者も私も談志にぞっこんだからだろうか
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立川談四楼が語る立川談志のというより立川流の話で落語を知らなくとも面白く読める。
談志の全盛の頃はあんまり知らなくて、MXテレビでやっていた野末陳平とやっていた番組はよく見ていました。
これからの立川流も気になりますが、この本は立川流のアーカイブとして読んでおくべきでしょう。