うりゃ。さんのレビュー一覧
投稿者:うりゃ。
C★NOVELS Mini -イレヴンスの春 スカーレット・ウィザード番外篇2
2015/07/19 14:32
ダイアン大好き!
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
後継存在としての立場も、判断も、ダイアンじゃないとできない決断だなぁ……。
前編しか新書版には載ってなかったので、ついつい手を出しました。

家畜化という進化 人間はいかに動物を変えたか
2019/12/10 15:17
一番家畜化されたものとは?
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
冒頭に出てくる旧ソ連時代から続けられている、ペリャーエフのキツネの繁殖実験は以前何かの番組で犬の家畜化における人為的選択圧のモデルとして取り上げられていたように思う。
まさか、温和で、人間が身近にいる状態に対するストレス耐性が高いという性質と毛の色の変化が複雑に絡み合っているとは思わなかったが。
家畜の内容が多岐にわたり、進化の過程と世界中に種が拡散していった過程に合わせ、人間が家畜としてそれぞれの動物をどう取り入れていったのかにも触れているため、単純な遺伝学的内容でないため、非常に読み応えがある。
その内容はキツネやイヌネコ、ブタやウシだけでなく、トナカイ、ラクダ、ウマ、齧歯類どころか人間にも及ぶ。
家畜化の特徴として文中に上げられているミソジニー、白色化、性的成熟の早期化。これらの一部は、人間の生活様式の変化による発達加速化現象との共通性を感じさせてならない。
内容が非常に深いので、一読だけでは掴みきれない。手元に置いて何度でも読み返したい本。

スカーレット・ウィザード 6
2018/03/25 09:32
終わり。そして始まり。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
5までの区切りを受けて、次へつながる展開。
新書版との加筆修正箇所の違いを探しながら読むのがこの文庫化の楽しみの一つでもあったが、あまり差異は感じられず。
しかし5の描写があったおかげで、ラナートたちに厚みが出ていたように思う。
暁の天使たち以降の文庫化も希望します。

落語 噺家・400年の歴史・落語のことば・名作のあらすじ 基礎知識から古典まで
2016/10/16 18:21
読みやすくじつにいい。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
2016年の7月に発行されただけあって、巻末の年表に熊本地震まで掲載されている。(もちろん、春團治さんの逝去も掲載されているわけですが)
速記から始まった落語のメディア化という内容から、基礎用語、名作落語のあらすじなど初心者向けのものまでよく練り込まれている。
名だたる名人の高座姿がたくさん掲載されているのもよい。

大きな森の小さな家
2023/12/30 09:07
知らないはずの郷愁。
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開拓時代のアメリカを題材としたドラマを「ソープ・オペラ」というそうだが、そう考えるとこの作品のドラマ化は「ソープ・オペラ」のはしりだったのだろう。
ン十年も昔、NHKで繰り返し放映されていた、そのローラの写真が帯に使ってあることでも目を引く。

とんび
2022/05/16 19:13
親は海になれ。
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重松清氏は「流星ワゴン」から入り、「エイジ」を経て、なぜか「黒猫ノア」に飛んで、久しぶりに戻ってきたのが今作という読み方をしている。
なんというか、映像化されるにふさわしい、完成度の高い作品だと思う。
そして、「親は海になれ」。
名言だと思う。

死ぬんじゃねーぞ!! いじめられている君はゼッタイ悪くない
2020/05/01 16:56
スクールカーストという言葉を知らなくても。
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学校という空間の中で、マイノリティであることはけっこうつらい。
そんな昔を思い出す内容。
学校なんてものは、外に出てしまえば、ただの箱でしかない。
そう言っても、今を苦しんでいる子には届かない。
だからこその「死ぬんじゃねーぞ」という叫び。

民衆史の遺産 第2巻 鬼
2017/10/31 18:00
ようやく読み終わった……。
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既読だったが、馬場あき子氏の「鬼の研究」が全文採られているのがよい。
若尾五雄氏の「鬼伝説の研究」は高田崇史氏のQEDシリーズを読んでいる人なら読むべしと思う。
難物だったのが大和岩雄氏の「鬼と天皇」、近藤喜博氏の「山の鬼・水のモノ」。
なにが難物かって、いろんな示唆が含まれてるんで面白すぎて読むのがはかどらないこと。
折口信夫氏の「鬼の話」は他氏の文章でも言及がされている。
このシリーズ、もっと手軽で読めるようになるともっと嬉しい。

悪魔の手紙
2017/02/28 20:39
ひたすらおもしろい。
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ナルニア国物語の作者であるルイスが、あの世界観を聖書のメタファーとして構築しているのは割と知られている事実だが、それゆえに悪魔側の事情を書いていたとはちょっと意表を突かれた。
老悪魔が愛する甥に向けて人間を堕とすためのテクニックを享受する書簡、という体裁だが、内容は実に人間の内面に対する洞察に溢れたものである。恋愛についての部分などは、もう最高におもしろい!
にやにやしながら読み返したくなる一冊。
たぶん、この内容は古びない。
それだけに、誤植が非常に気に障る。

ダライ・ラマと転生 チベットの「生まれ変わり」の謎を解く
2016/11/20 10:43
チベット近代史と表裏一体。
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転生僧がダライ・ラマ師以外にも存在することも知らずに読み始めたが、初心者にも読みやすい内容だった。
宗教としてのチベット仏教のあり方だけでなく、チベットと中国やインドとの近代史、政教分離を目指したダライ・ラマ師の理念、インターネットを含めた情報社会のあり方が俗世として僧院に入り込み変質する危険性、失われる転生僧の系譜など、地域社会論としても読み応えがある。

火星の人
2015/12/27 19:17
アイイイイイイイイイイイ!
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タイトルは本を読まないと意味がわからないが、わかったら腹筋ちぎれることうけあい。
作者がNASAおたくというだけあって、火星の環境だけでなくNASAのプロジェクトや機材の描写がじつにリアルでうまい。
そして面白い。
ユーモアに満ち満ちたやりとりもいいけれど、「絵になる画像が欲しいから火星でヘルメットを外せ」という、火星環境をはなっから無視したテレビ業界人の無茶ぶりへの冷静なツッコミも読みどころです。
2025/02/19 19:01
不細工なヴァンツァー。
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デルフィニア戦記から数えると(数えなくても)かなりな大長編に育ちつつあるこのシリーズは、それでも新刊が出るたびに予想もしなかったようなシーンが山と出てくるのにいつも驚かされます。
タイトルのブツは、是非とも挿絵化してほしかった…………!
2025/01/02 10:03
上手いなあ。
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異形頭さんはその異形頭ゆえに、表情がほとんど変わらない。
なのにその言動や内面がうまく描かれてるせいで、とっても感情豊かでニンゲンちゃんをめちゃくちゃ好きなのがよく伝わってくる。(むしろちょっとカワイイ)
【期間限定 無料お試し版 閲覧期限2025年2月2日】エメラルドに食べられたい(1)【電子限定特典ペーパー付き】
2024/12/24 20:39
カマキリ亜人と人間が恋をすると……。
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亜人という表現は、作品内に出てきた言葉。
個人的には別の種族で交雑も不能な存在を異種族、異文化を持ち、それゆえに理解しがたい点も多いのが亜人というイメージ。
この作品のカマキリ亜人はどうやら人間と交雑可能ではあるけれど、異文化どころか愛した相手がおいしそうに見えてしまう。
恋愛の成就=おいしくいただきます!に悩むカマキリ亜人の女性、エメラルド。
エメラルドに恋をして、おいしくいただかれたいDEATH!という人間の男性、シルバー。
この二人の種族を越えた愛の行方は……?
という内容。
亜人との恋愛、亜人同士との恋愛的な作品はいろいろあるけれど、ハッピーエンドに持ち込むのにふわっと描写でごまかし、人間の持つ普遍的な幸せの形に落とし込むものが多いので、ここまで愛はさだめ、さだめは死な内容は珍しい。
そして逃げずにぶつかった作者はもっと素晴らしい。