紙の本
最も好きな本のひとつ
2022/06/23 03:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yam - この投稿者のレビュー一覧を見る
後半は朝まで夢中になって読み終わりました。
舞台設定が好みで、主人公と虚弱な青年のロマンスもグッときました。
ドラマ版が製作されるそうなのでそちらも楽しみです。
紙の本
伝統と現代的な要素。
2022/04/27 23:39
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゲイリーゲイリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
荒廃した屋敷に暮らす陰気なドイル家は何か秘密を抱えている模様。
そんな屋敷に嫁いでしまった従姉のカタリーナの容態を確認すべく、主人公・ノエミは不穏な雰囲気が満ち満ちた場所へと足を運ぶことに。
変わり果てたカタリーナ、何かを企んでいるドイル家、そして夜な夜な見る悪夢。
そう、つまり本作はダフネ・デュ・モーリア作品等の伝統的なゴシックホラーの継承者なのだ。
ゴシックホラーの王道として正統派として位置付けられる本作。
しかしその一方で、伝統をただただ踏襲するだけに甘んじることなく現代的な要素を掛け合わせることにも成功している。
それが最も顕著なのが、ノエミのキャラクターだろう。
ドイル家はノエミに対し、肌の色や性別に対する差別的発言、偏見を次々とぶつける。
しかしノエミはそれに対し怯むことなく、果敢に立ち向かう。
旧時代的な思想や家父長制度を絶対だと盲信しているドイル家と、彼らの戯言などには縛られず己が正しいと思うことを信じ行動するノエミ。
まるでフランシス・ハーディング作品に登場する主人公のような逞しさを持つ彼女は、まさに希望の象徴だ。
そんな彼女を服従させようと企むドイル家の真相がじわじわと明らかになっていく展開からは目が離せない。
カタリーナの身に一体何が起きたのか、そしてノエミが見る悪夢とは、といった謎も物語を力強く牽引する。
伝統を継承しつつも、現代的なテイストを混ぜ合わせることに成功した本作は、ゴシックホラーを嗜んできた方にもゴシックホラーを読んだことがない方にも受け入れられるに違いない。
投稿元:
レビューを見る
タイトルと装画に惹かれ、内容も見ずに購入。こういう選書はワクワク出来るので非常に楽しい。(大外れを引く時もあるが、それもまた一興。)
舞台は、1950年のメキシコ。主人公のノエミ・タボアダは、メキシコシティに住まう美しい女子大生。裕福な家庭で育った彼女は、"女性"としての自分に強い自信を持っており、魅力的な話術と仕草で男性を魅了し、彼女自身もその駆け引きを楽しみとしていた。
ある日、イギリス人男性であるヴァージル・ドイルと結婚し、田舎町の屋敷に嫁いだ従姉のカタリーナから、一通の手紙が届く。そこには「夫が毒を呑ませようとする。邪悪な何かが自分を捕えて離さない。」といった不穏な一文とともに、ノエミに助けを求める内容が書かれていた。元々カタリーナの結婚に反対していたノエミの父は、すぐにもカタリーナの様子を見てくるようノエミに話す。大学の講義等の予定が入っていたノエミは父の頼みを渋るが、両親に難色を示されていたメキシコ国立自治大学への進学を認めることを条件に出され、カタリーナのもとへ行くことを決めたのだった―――。
「不穏な空気に包まれた屋敷に囚われた従姉を救い出すため、"旧時代の化物"と対決する新進気鋭の美女を描くゴシック・ホラー。」
混血を示す浅黒い肌、男性に追従しない(むしろ手玉に取る)、学問することを望む―――"新時代の女性"として描かれるノエミ。その彼女が対峙するは、白人至上主義(血統主義)と家父長制を貴ぶ、"旧時代"のドイル家。"息"も"謎"も詰まるドイル家の屋敷からカタリーナを救い出すため、アウェーゲームで奮闘するノエミの前に、文字どおりの"化物"が立ちはだかる―――。
「不気味にして優美なゴシック・ホラー」―――まさに帯コメントのとおりの作品。(「ブロンテ姉妹、ダフネ・デュ・モーリア、シャーリィ・ジャクスンらの愛読者は必読だ」―――これも間違いない。)
投稿元:
レビューを見る
まず一言、面白かった!
大学へ進みたいと願うノエミの元へ、寂びれた屋敷に住むイギリス人と結婚した従姉のカテリーナから『夫に毒を盛られている。そして住んでいる屋敷の亡霊に苛まれている』という手紙が届く。父にカテリーナを連れて帰ったら、大学の進学を認めてもいいと言われたノエミはカテリーナの元へ。
そこはかつて銀鉱があり、財もあった家柄のなのだが、今ではもうその面影はなく、屋敷はボロボロ、湿気とカビの巣窟だった。
早速、カテリーナを連れて帰ろうとするノエミだったが、彼女と会うことはできず、彼女の結婚した相手も父親も使用人も陰鬱な人物ばかり。
そして、初めてその屋敷に泊まった晩にノミエは金色に輝く不思議な女性を目にするのだった。
『レベッカ』をイメージしていたのですが、全く違った物語で、特に主人公のノミエが魅力的です。
謎を解き明かそうとする勇敢な心や挫けないところは好きですね。
謎についてはネタバレいくないということで読んでいただきたいですが、そこへたどり着くまでの彼女の奮闘を楽しんでいただきたいと思います。
久しぶりだわ、この暑さの本を一気読みとは、本当に面白かった(*^^*)
投稿元:
レビューを見る
この手の話に登場する屋敷は最後に跡形もなく炎上するのがお約束なのか。まあ、残ってるとまた何かしら起きるかもしれないからね。
胞子を吸い込んで思考まで支配される。一族の誰かが逃げたり傷ついたりすれば全員に伝わる。菌を通じて老いた体から新しい身体に乗り換える。
衝撃の菌類ホラーだった。
投稿元:
レビューを見る
メキシカン・ゴシック?!
メキシコ×ゴシックホラー…めちゃめちゃ面白そうじゃないですか!と雰囲気あふれる装丁の本書を手に取りわくわくしながら読んだら、やっぱり面白かった!!一気読み。
舞台は1950年のメキシコ…年代設定もよき…
良家の子女、ノエミ・タボアダのもとに、イギリス人の男と結婚し、さびれた町のさらに山奥にある古めかしい屋敷に嫁いだ従姉妹のカタリーナから手紙が届く。
そこには「夫に毒を盛られ、亡霊に苛まれている」と助けを求める異様な内容が描かれていた…(一部本書あらすじを引用させていただきました)。
カタリーナの様子を確認するためノエミの訪れた屋敷の描写は、メキシコにあってメキシコの雰囲気は全くなく、イギリスを切り離してそのまま持ってきたかのよう。
そして屋敷では、大きな音を立ててはいけない、タバコを吸ってはいけない、勝手に外に出てはいけない、食事中喋ってはならない…三人いる使用人たちもまるで自我がないように不気味な様子でノエミと会話をしようとしない。
屋敷の住人たち・ドイル一家も奇妙で怪しげだ。
カタリーナの様子を見たうえで、彼女をサナトリウムに移した方がいいのでは…と考えながらも、ノエミはこの奇妙な屋敷で様々な怪奇現象に遭遇する。
動く壁のシミ、悪夢、金色の女性のような影、「目を開けて」という声…
屋敷の麓のさびれた町で、ノエミが得た情報は………
目まぐるしく反転する夢なのか現実なのかわからない描写、一体誰の何の発言や行動を信用すればいいのか?
ノエミとともに読んでいるこちらも翻弄されながら、物語はどんどん核心へと進んでいく。
ラスト100ページはほんともう面白すぎて一気に読んでしまった。
単身屋敷に乗り込み、歓迎されていない空気や奇妙な現象に翻弄されながらもノエミは強く、踏みとどまる。
気丈なノエミの立ち振る舞いや明るさ、芯の強さに、読んでいくうちにどんどん彼女のことが好きになっていった。
訳者あとがきによると(こちらも本書の解説をとてもわかりやすくしてくれていて読み応え抜群。読了後ぜひ読んでほしい。作品舞台当時の社会情勢や思想なども解説してくれているので。)どうやら本書は作者にとって六作目の長編小説らしい。短編を含めると現在入手可能なものだけでも9作ほど出版されているらしいが、現在邦訳されているのはこの一冊だけ。
ええっ、ぜひ他の作品も翻訳して出版してくださいませ…!頼むっ……
しかも本作はHuluでテレビドラマになる予定とのこと。それも気になる。
投稿元:
レビューを見る
田舎に嫁いだ従姉妹から、異様な手紙を受け取ったノエミ。真実を突き止めるため、従姉妹の嫁いだ屋敷を訪れる。
屋敷には、一体何が棲んでいるのか。
何、の正体明かしからの盛り上がりが凄くて後半あっという間に読み終えた。
私の好きな構成してる物語。
投稿元:
レビューを見る
呪われたイギリス人の古い屋敷が舞台で住人の名前がドイルなのでバスカヴィル家の犬が連想されます。途中まではドイル家の謎がどんどん深まっていくミステリー小説なのですが、謎がとけていくと徐々にきのこに取り憑かれたアウトサイダーVSノエミのホラーアクション小説になっていきます。その緩急の差もあるのですがさいごの脱出劇は最高におもしろく、最後まで読むと爽快感さえ感じさせてくれます。
作者が化学を学んでいたのもあると思うのですが、薬品に関することも妙に説得力があります。あと、ゾンビにきのこが生えている描写もそんなにグロテスクに感じられません。
フランシスがもっと活躍すると思っていたのですがいまいちでした。そこは白人に対するするメキシコ人、男に対する女性というテーマもあったとおもうのでしかたないのかもしれません。メキシコシティで頑張ってもらいたいです。
投稿元:
レビューを見る
ラヴクラフト好きにはたまらない!
カビだらけの洋館、墓所、幻覚見せるきのこの山…(-_-;)
ゴシック・ホラーの世界観を楽しめる作品でした(〃´-`〃)
何やら沢山の賞を取っているこの作品。
ずっと気になっていて、読みたいリストの先頭に載せてました♡(*´˘`*)
時代は1950年。
主人公のノエミは超金持ちの遊びまくってる大学生のお嬢様。
仲の良かった従姉妹のカタリーナから支離滅裂な手紙が届き、父からカタリーナの様子を見てくるよう命令される。
カタリーナの嫁いだ先『ハイ・プレイス』は霧がかった墓地のそばにある、ヴィクトリア朝期の建築様式にこだわった屋敷。
その屋敷に住む人々は皆どこか様子がおかしい……
ラヴクラフトを連想させる世界観。
代々続く家系。寝たきりの主人。
悪臭と甘すぎるワイン。
霧がかかり不思議な声が聞こえる墓所。
カタリーナの奇怪な言動と、館で起こる数々の現象。幻覚や違和感。
カタリーナの夫、ヴァージルは不思議な力でノエミにせまる。
エログロまではいかないにしても、想像次第では結構グロデスクです。
私の頭の中では肉感と弾力がリアルで湿気とカビと湿った空気、あらゆるぬるぬるしている何かと悪臭で…とグロ妄想が炸裂してました(-∀-`; )
最近読んだ『血の配達屋さん』のような雰囲気に近いかも。
いや、あそこまでグロではないですが、クトゥルフ神話っぽさが近い。
美しいドレスを着た美女2人が何やら奇妙でグロテスクな何かに囚われ、精神を蝕まれ…
逃げ出したくても逃げられない。
血族の呪いがどうしてもハイ・プレイスへ惹き寄せる…。
ゴシック・ホラーの世界へ浸りたい方におすすめします(*˘ー˘*).。.:*♡
投稿元:
レビューを見る
正直、プロットやキャラクター、ロマンスさえも、作り込みが浅いなぁ...と、Goodreadsという世界最大級の読者レビューサイトでも、多くの人が"退屈なストーリー"とコメントされていました。
にもかかわらず、この小説が幾つかの文学賞を受賞していたり、好意的なコメントも数多く寄せられているのは、そのアンチ・ゴシック的な試みを評価されてのことかな、とも思いました。
つまり、ゴシックといえばヴィクトリア朝、そして、その時代的な背景から仕方がないとはいえ、白人至上主義的な風潮が暗黙のうちに認められていたりしますが、こういう傾向に対して、植民地支配を受けた側のメキシコの元気一杯、破天荒、傍若無人で自意識過剰な女子大生が、ちょっと待った!と全編に渡ってケンカを売る、という覚悟に対する評価です。
正直退屈なストーリーはさておき、優生学、人種差別、性差別、植民地支配、親が求める世間体、などなどに怒れる女子大生ノエミが、とことん楯突くのが見ものです。他人のお屋敷に押しかけ、部屋では煙草はご遠慮くださいと懇願されても、ガン無視してスパスパやり出すという、一事が万事こんな調子で、静かなゴシック屋敷を縦横無尽に暴れまくるノエミの活躍が愉しいホラー活劇でした。
投稿元:
レビューを見る
先日読んだ『ニードレス通り
果ての家』が面白かったので、その巻末の広告に載ってた本作も手に取ってみました
ってまたホラーやないかいっ!
ってホラー作品の巻末広告なんだからホラーに決まってるやろバカタレ!
ホラー苦手なんだけどなぁと思いつつも、いやいやこれこそあれですよ
浄土瓶宗に伝わる荒行のひとつ「新境地のためあえて外しに行ってるとも思えるほどの苦手分野を読み進めてあーやっぱり苦手だったわーという悟りを開く行」ですよ
結果はというとあーやっぱり苦手だったわーという
でもあんまり恐い!って感じもしなかったかな
静かな狂気と言いましょうか、人の持つ浅ましさをギュッと濃縮したようなお話しでした
王道の展開は嫌いじゃないんですが、あまりにおどろおどろしい感じを出そうとし過ぎてか、情景描写が多すぎてちょっと疲れちゃいました
悪くなかったんだけど、時間もかかってしまいました
読むのに時間かかってる時って脳が喜んでないときなんだよね
でもホラーはまたごんごん読んで行こうとも思いました
そろそろ行ってみる?スティーブンとか
投稿元:
レビューを見る
中盤までは動きがなくて退屈だったが、謎が詳らかになってからは面白くなった。原住民の禁断のキノコが菌糸を張り巡らせて人間と一体化し、その作用で半不死になるという設定は面白い。一族の中に適性があり、その不死性を維持するために新しい血が必要。ラヴクラフト的なストーリー運び。舞台が1950年のメキシコなのも良い。
投稿元:
レビューを見る
勝気なメキシコ美女やら、イギリスから来た一族が住む古びた館やら、設定がてんこもり。
ゴシックというと白黒灰色の世界をイメージするけれど、こちらはメキシコ系だけあって、色彩が鮮やかなゴシックホラーだし、みんなよく喋るから明るいホラーでもあった。最終的には恋愛小説かな。
爺さんが醜くすぎて、ゴシックよりホラーより恋愛より、爺さんを抹殺することが私の中ではメインテーマになってしまった。キモすぎ。