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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2011.9
- 出版社: 紀伊國屋書店
- サイズ:20cm/685p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-314-01086-3
- 国内送料無料
紙の本
イスラームから見た「世界史」
西洋版世界史の後景に追いやられてきたムスリムたちは自らの歴史をどう捉え、いかに語り伝えてきたのか。ムハンマドの誕生から現代までのイスラーム通史を、血の通った人間ドラマとし...
イスラームから見た「世界史」
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商品説明
西洋版世界史の後景に追いやられてきたムスリムたちは自らの歴史をどう捉え、いかに語り伝えてきたのか。ムハンマドの誕生から現代までのイスラーム通史を、血の通った人間ドラマとして描く。【「TRC MARC」の商品解説】
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書店員レビュー
目からウロコ 「イスラーム側」からみた世界史
ジュンク堂書店ロフト名古屋店さん
歴史は西洋史と東洋史という括りで語れるものではない。西洋と東洋の間に位置する「ミドルワールド」(いわゆる中東地域のことだが、「中東」という呼称自体が西洋から見た時の位置を表しているため、著者は西洋と東洋の間の地域という意味合いでこの呼び方を採用している)の歴史は西洋・東洋で歴史を語る諸国では、あまり重視されていない。あるいは(ある程度は仕方がないことではあるが)西洋か東洋か、自分が属する歴史の視点から描かれるのみである。
アメリカ在住でアフガニスタン出身の著者は高校の教科書出版の仕事に携わった。イスラームが世界史の中で果たした役割に比して、教科書での扱いは小さなものであった。著者はイスラームの記述を増やすよう主張したが、少数意見というよりも謬見としてみなされかねない状況であったという。
しかし、同時多発テロ以降、イスラームに対する関心が高まり、著者自身も「イスラームとはなにか」と改めてイスラームについて研究をはじめた。本書で著者が目指したものは学術書や研究書のような歴史叙述ではない。ストーリーとして読める歴史物語である。タイトルこそ「世界史」であるが、中世まではイスラーム史(「ミドルワールド」の歴史)が中心である。著者自身が特別な思い入れをもって描いた正統カリフ時代は力が入っており、まるで大河ドラマのようなストーリーが紡がれている。しかし、かといって神話・伝説や伝承の類いや、歴史を題材とした歴史小説というわけではない。基本部分は歴史的事実に基づいている。
近代以降は西洋諸国との関わり抜きにイスラームを語るのは不可能。「ミドルワールド」の歴史から、いわゆる「世界史」となるが、視点はあくまでも「イスラーム側から」である。西洋・東洋史という視点からみた「世界史」とは違った歴史認識がそこにはある。西洋・東洋史が暗黙・当然の前提としてしまっている思考に対して課題・疑問を投げかけているように。例えば西洋史に描かれたナポレオンのエジプト(オスマン朝の支配下)征服の記述をみると、まるでそこにはエジプト人がいなかったかのように描かれている。エジプト人がいなかったのか?そんなことはない。昨今の国際情勢を欧米側は「欧米vsイスラーム」といういわゆる「文明の衝突」と見なす見解はよく聞かれるが、イスラーム側の前提に立つとそのような認識が一面的なものであるということがよくわかる。
値段と600ページを超えるボリュームから重厚な専門書のようなイメージをうけるかもしれないが、著者もいっているように専門書ではない。また、かなり親切な訳注がついているので非常に読みやすい。イスラーム初心者には特に上述の正統カリフ時代は一読をオススメしたい。「イスラーム側」からみた世界史は目からウロコが落ちることの連続である。
紙の本
新たな認識を得ることができた
2012/01/22 18:11
9人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者はアフガニスタンでムスリムとして育ち、奨学金を得てアメリカの高校に留学し、大学に進んだのちに教科書の執筆に従事するようになった。歴史の教科書作成に携わった経験はあるが、歴史家ではないという。
歴史は、その時々の各地域や各階層の人々の間で紡ぎ出されるものである。その縺れこんだかたまりをときほぐし、縦糸と横糸として織り込んでいかなる文様をうかびあがらせるか、それが歴史家の仕事であろうか。そのような意味では著者は歴史家であり、本書では(日本においては)これまでには見られない新たな文様が描かれているといえよう。イスラームと西洋の両方の視座から、相対的に客観的に歴史を見ている。特に近代から現代にかけてのイスラーム社会の状況とムスリムの考え方や感情については、教えられることが多い。今日各地で発生している闘争や紛争の根深い要因をおもい知る。
イスラーム文化・思想や歴史については井筒俊彦の著作を読んで、知っていたこともある。それに加える新たな認識を得ることができた。
「はじめに」に次のようにかかれている。
「私はこの物語を血の通った人間ドラマとして描いた。なぜなら、ムスリムはまさにそのようなものとして、イスラームの世界史物語りに親しんできたからだ。専門家たちはより懐疑的な姿勢でこの物語に取り組み、ムスリムの叙述は客観性に乏しいとして、非ムスリムがものした史料の方を信頼している。というのも、彼らは概して「実際に生じた」出来事を掘り起こすことに関心を抱いているからだ。私が目指しているのは主として、実際に生じたとムスリムたちが思っている出来事を読者に伝えることだ。なぜなら、それこそが、ムスリムをこれまで動かしてきた原動力であり、世界史における彼らの役割を理解する手だてとなるからだ。」
紙の本
中東に興味ある方は必読
2012/06/14 04:13
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たぬき - この投稿者のレビュー一覧を見る
「アラブの春」と言われるが、中東の春は砂嵐の季節。この言葉のとらえ方と同様、世界史で習った欧州から見た歴史と、アラブ人から見た歴史はかなり違う。スーフィズム、ムスリムブラザーフッド等、知って要る様で知らない単語の意味がその歴史を通じて良くわかる。中東にある程度詳しい方には、大変面白い。余り詳しくない方は、途中で飽きる危険あり。
紙の本
「ヨーロッパから見た「世界史」」だけでなく
2024/02/24 22:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ichikawan - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本においても「世界史」はどうしても「ヨーロッパから見た「世界史」」になりがちである。イスラームから見ればそれが違ったものに映るのは当然のことであり、日本からもその視点を学ぶ必要がある。