紙の本
相談と秘密
2023/06/01 20:41
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投稿者:咲耶子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
市役所に『こころの相談室』が設けられ、二人の心理士が市民の相談に乗ります。
相談者はみんなコロナ禍が原因で将来に希望を持てなくなています。
そんな人たちが心理士に話を聞いてもらううちに心が整理され、新たな道が見えてくる展開。
しかし、心理士は相談内容の矛盾から話されていいない秘密に気が付きます。
ここ数年でみんなが感じてきたことばかりで共感。そこからどうやって抜け出すか。どんなに先が見えなくても、針穴みたいな小さな希望の光が見えたら突き進めって勇気になります。
電子書籍
ほんわか
2023/03/30 10:36
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投稿者:毎日読書 - この投稿者のレビュー一覧を見る
様々な年齢、立場の人のそれぞれのコロナ禍、誰が悪いわけでもないけれどそれでも生きていかなければならない。
それぞれ、つらい状況になりながらも最後は希望が持てるようになっていて読んですっきりした。
最後、おおっ!となり読後感ヨシ!
紙の本
ミステリーだった
2023/09/21 11:46
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投稿者:nap - この投稿者のレビュー一覧を見る
そんなふうに思わず読み始めたら、日常の謎系のミステリーだった。
しかも、当事者のいないところで謎解き。
コロナ、特に1年目はほんと影響大きかったよね。
紙の本
こころの相談室
2023/06/29 22:14
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投稿者:ぽんぽん岩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
コロナ禍の2020の7月、立倉市役所にこころの相談室が開設される。5人の相談者の悩みが5編、相談員の晴川あかりと正木昭三は相談者の悩みを聞き心を救っていくけど、晴川は相談者のちょっとした隠し事などにも気付いちゃう。行き過ぎそうになると正木さんがたしなめたり、二人の会話もほんわか楽しめる。お守りがいい味出してる。
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コロナ禍がもたらした、幾つもの「こんなはずじゃなかった」。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれるのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密。あなたなりの答えを見つけられるよう、二人のカウンセラーが推理します。最注目の気鋭がストレスフルな現代に贈る、あたたかなミステリー。
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コロナ禍で悩みを抱えた人々が、市役所の無料相談室でカウンセラーに悩みを打ち明ける。
進路を絶たれた女子高生、婚約寸前の恋人と破局した男性、ワンオペで育児をするシングルマザーなど、全てコロナの所為で『こんな筈では無かった』が共通の悩みの中心。それを上から目線ではなく、隣に居て悩みをただ聞いてくれる存在と言うのは、見ず知らずの人にだからこそ話せる事ですよね。
女性臨床心理士の晴川が相談者の悩みが解決した後、真実を読み解くのが日常の謎で面白かったです。必ずしも相談者が全て話しているとは限らないと言う所がピリリとスパイスが効いていたと思いました。
最初の相談者の女子高生が持っていた手作りのNの御守りが、ラストまでたすきリレーみたいでお気に入りでした。
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※
コロナ禍の2020、市役所内に設けられた
『心の相談室』で待つ二人のカウンセラー。
ふんわりしていて優しい雰囲気が漂う
臨床心理士の晴川あかりと人好きされる人柄に
どこかお茶目な認定心理士の正木昭三が、
相談者たちの悩み耳を傾け、心の中に澱の
ようにたまった不安と奥底にある本当の悩みに
そっと寄り添う、心が温まる物語。
将来の夢を失った
婚約者を失った
幸せな未来を失った
人間の尊厳を失った
生きる気力を失った
『あの日の交換日記』を思い出しました。
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臨床心理士の晴川さんの洞察力が凄い。この人、刑事にもなれるんじゃなかろうかというくらい。
基本、相談室に来る人の話を否定せず聴くスタイルだが、言うときは言う。
まさに欲しい言葉をくれる人なのだ、晴川さんは。
新人心理士の正木さんと晴川さんの関係性もまた良い。正木さんが自分より遥かに歳下の晴川さんを心理士として尊敬している姿がよく分かる。
そんな暖かな心理士の2人の元へやってくるいろんな問題を抱えた人たち。
皆、コロナがきっかけとなって何かしら挫折している。
特に自分のせいで祖母が亡くなったと思っている女子高生は不憫だった。
他にも医療従事者への偏見(コロナを持ち運ぶな等)や出産立ち会いもなく孤独に出産に耐える女性の苦悩etc...コロナは本当に私たちの精神を容赦なく蝕んでくる。
この物語に出てくる悩みを持つ人は、コロナ社会で生きる私たちの代弁者なのかもしれない。立場も年齢も様々、誰にでも起こり得る話でもあるし。
だとしたら、作者は落ち込んだ世の中の人にエールを送ってくれているのだろう。
少なくとも本書は、まだこの世の中は捨てたものでもないことを教えてくれている。
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ミステリーなのに人は死なない。コロナ禍の現実問題をちゃんと調べて書き上がっているのがよくわかる。「無料」カウンセリングだからこそ、嘘もつきやすくなるし、隠し事をしていることも多いだろう。それをひとつひとつ見抜いていく晴川さん、和ませ役の正木さん、よかった!そして主人公たちが少しずつ重なっているのも良い。
p.69 私たちのもとにやってくる相談者は、全てを語ろうとしません。カウンセラー臭臭義務があり、ここでの話は、外に持ち出す事はないとわかっていても、話したくないこと、託していた事は、人それぞれあります。カウンセリングの目的とは、相談者本人が自分の問題を明確にし、自力で道を見つけることです。私たちは対話や傾聴により、その手助けをしているだけ。だから、私は常々、彼らの秘密を無理に引き出して、心を丸裸にする事は、カウンセラーの仕事では無いのだと、自分の肝に銘じています。
p.160 全部完璧にやろうとしなくていいんです。三千穂さんが楽に子育てできること。それが1番なんですよ。何せ、修吾くんの元気の源は、お母さんの三千穂さんなんですから。
p.172 彼女が伝授してくれるのは、本当なら母から教わるはずだった、育児書や病院でもらったパンフレットには載っていない。“トゥーン駅から“だった。
離乳食はね、無理に全部食べさせなくたっていいの。ダラダラ20分以上続くようなら、残っていてもごちそうさまさせちゃう。ご飯は集中して食べるものだ、て言う躾の一環としてね。その分、栄養は母乳やミルクで補えばいいのよ。
手作りにこだわらなくても、市販の離乳食も結構使えるわよ。瓶に入ってる野菜のペーストや、りんごのすりおろし、私も昔、よく買ってたわ。
目を離した隙に周吾くんが怪我するのが怖いの?寝返りしてベッドの柵にぶつかるんじゃないかって?それぐらい平気よ。赤ちゃんがぷくぷく太っているのは、肉ぶとんで自分の身を守るためなんだから。
新生児の寝かしつけは、大判のタオルを体にきつく巻きつけてあげると良いのよね。ほら、ミノムシみたいな感じで。狭くて暖かかったママのおなかの中思い出すみたいで、驚くほどすぐに眠ってくれるの。
p.249 一か八かの人生は、やめにしようと思うよ。いつ沈むかわからんの筏に、死ぬまで乗り続けるわけにはいかない。起死回生の大きな勝負に打って出るより、1日1日をじっくりとーーそのほうが案外、性に合っている気がしてきたんだよな。
p.275 「なんていうか…こんな生活がずっと続くくらいなら、別に今すぐ親だって、何も変わらないんじゃないかなって、思ったりするわけです」
『それは絶対にありません』
驚くほどつよい口調で、晴川が言った。晴川はそれっきり、言葉を続けなかった。そのせいだろうか、彼女が最後に放った言葉が、静寂とともに実に深く沈み込んでいった。
p.297 「まさにそういうところがあるんですよ、うちの父親には。こっちは昔から、意味わからない命令に振り回されるばかり。そんなんだから、家族が離れていくんだよな」
『そうね。今日はたくさん起こってみようか』静かな���で言われ、驚いて、晴川の顔を凝視した。彼女は真顔で小さく、頷き、胸にそっと手を当てる。『怒りは大事な感情だから。怒っている時、人は1番、自分の気持ちに正直になれる』ただーーと、彼女がこちらをまっすぐに見返して言う。
『その前提として、相手が自分にしてくれたことを整理して、頭の片隅に置いていく、と言う手順を踏んだほうがいいかな。それを心に止めた上で、それでも許せない部分についての怒りを、思いっきり放出してみるの』
『それはどういう目的で?』『起こりすぎて、自分が疲れないようにするための前準備…と言えばいいでしょうか』『自分が、疲れないように?』『心の中で、相手の言動を事前に整理しておくんです。ここは許せる、でも、ここは許せない、と言うように。いわば仕分け作業ですね。ほら、怒るのって、とてつもなくエネルギーを消費するでしょう?それで疲弊してしまって、ヒステリックに怒りをぶちまけている自分自身に罪悪感を覚えたりしたら、元も子もありません。相手からもらったもの、自分が相手に与えたものが釣り合っていない店に着いただけ、こころおきなく送ればいいんです。こちらが常に穏やかな口調を心がけているのに、相手方なる場合とか。こちらが全て正直に打ち明けていたのに、相手が嘘をついていた場合とか。こちらに落ち度がないのに、相手が義務を果たさない場合とか』『岩西さんのケースで言うと、お父さんがしてくれている事は、例えば大学の学費を払ってくれていること。受験生の時に予備校に通わせてくれたこと。生活費を負担してくれていること。アルバイトをせず、奨学金にも頼らずに大学に通うのは、誰もができることじゃない。その点については、お父さんに感謝すべきと言うことだね。だからといって、岩西さんからしてみれば、お父さんの恋生の全てを許すわけにはいかない。お小遣いの件に関しては、お父さんは約束を違えたと言うことだからね。金額がどうこうと言う話ではなく、こっちが神だと思っていたものを、突然一方的に変えられるのは、だれだってストレスに感じるものだよ。岩西さんが約束破りの常襲版なのではない限り、お父さんに不満を述べる権利はもちろんあるんだろうね』
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やられた〜気を付けていたつもりなのに最後の章までぼんやり読んでしまった。でも、ちょっとだけ前向きになれる話で楽しめた。
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コロナ禍がもたらした、幾つもの「こんなはずじゃなかった」。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれるのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密ー。日常の謎ミステリー。誰かに相談したいことって誰しも1つや2つはあるのでは?そんな時に気軽に出かけられる場所があればいいなぁと思います。
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コロナ真っ只中の時のお話。
あの頃そんなにピリピリしてたっけ?ともう過去の事の様に感じてしまう。
気軽に行ける 無料相談。話を聞いてもらうだけでも きっと気持ちが楽になる そんな場所が実際にあるといいな。
カウンセラーが 実は…と推理する場面 最初は「なるほど」と思ったけど だんだんそれが 辻褄合わせから かなり強引な こじつけに 感じて 違和感ありました。
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「お守り」と2人の優しいカウンセラーさんが作る幸せへの糸
悩みは人それぞれで、話を聞いたり一言明るく声をかけることで元気になる手助けができる
コロナが落ち着いてきた今だからこそ、読んで良かったと思える話
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市役所3階に設置された心の相談室。
対応するのは、臨床心理士の晴川あかりと、公認心理師の正木昭三の2名。
若い晴川さんの鋭さと、定年を過ぎた正木さんのほのぼの感。
新型コロナ感染拡大によって人生が変わってしまった相談者たちが、相談室を訪れるんだけど、読みながら「2020年って、こういうときだったよね」と、しみじみ思い出した。
ダイヤモンドプリンセス号が横浜に到着し、ずっとニュースでやっていた。学校も休校になって、合唱コンクール中止になったよね。マスクも全然売ってなくて買えなくて、1箱30枚入り3000円だったんだよ。たった3年前だけど、遠い昔のよう。
あの当時、日本中きっと全員が悩みをかかえたり、閉塞感を抱いていた。いつ終わるの?という不安に、私もさいなまれていたな。
普遍的な問題としてずっとあること(たとえば、高校生が家庭の都合で進学できず就職する、婚外妊娠、ホームレス、多重浪人・・・)✕新型コロナ。
それはそれは、こじれるし、よりゴールがなくなる。
最初の相談者である女子高生が合唱コンクール(Nコン)のために手作りした黄色いお守りが、持ち主の手を離れて相談者の手に渡って旅をするようで、それも連絡小説としての醍醐味。
あのお守り、どこでどう登場するのかな?と思いながら、次の話へ読み進める。
相談後の心理士2人の会話では、相談者が隠していたことを晴川さんが推理する。
この流れ、1話目では新鮮なおどろきがあったものの、2話目からは「この人は何を隠しているのかな?」という視点で読んでしまい、だいたい想像があたる。
ただホームレス男性だけは「この人に何を隠すことがあるというんだ?」という感じだった。その結果、結末におどろき。
心理士、いい仕事してますね。
辻堂ゆめさんの本は初めて読みましたが、テーマ選びといい、タイトル・表紙の可愛さといい、センスの良い作家さんなんだろうなという印象。
これからも読む機会をつくりたい作家さん。
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Amazonの紹介より
コロナ禍がもたらした、幾つもの「こんなはずじゃなかった」。市役所に開設された「2020こころの相談室」に持ち込まれるのは、切実な悩みと誰かに気づいてもらいたい想い、そして、誰にも知られたくない秘密。あなたなりの答えを見つけられるよう、二人のカウンセラーが推理します。最注目の気鋭がストレスフルな現代に贈る、あたたかなミステリー。
和やかな雰囲気のある表紙から想像するに、単なるコロナに関するお悩み相談を解決して終わりといった展開かと思っていました。ところが、後半で明らかになる真実に驚きでした。
辻堂さんの得意の伏線回収が、ここでも発揮されていたので、読み応えがありました。
全5話で、それぞれの話に訪問者がやってきて、相談にのるといった展開になっています。訪問者が最終的に悩みに納得して終わりで、最後に市役所内での臨床心理士と認定心理士との会話で終了といったサイクルになっています。
ただ、一番最後の会話が驚きでした。まさか来客の発する一つ一つの行動や言葉が、伏線になっていたとは。
臨床心理士が推理する訪問者の見えない「顔」が驚きの連続でした。
第1話では気軽に読んでいたので、まさかの展開にそれまでの雰囲気がガラリと変わりました。それ以降は、色々推理しながら読んだので、ミステリーとしての面白みがありました。
この臨床心理士、会話や仕草だけで、訪問者全体の雰囲気がわかるとは侮れないなと思いました。
ミステリーの面白さもありますが、コロナの苦悩も際立っていました。誰もが経験しているコロナがもたらした影響。
コロナがなければと思うと、悔やむばかりでした。
一人で抱えず、こういった相談室があると、個人的にもありがたいですし、こうした人がいると思うと安心感があるなと思いました。
ただ、裏を返せば、全てを見透かされているので、なんとも複雑な気持ちにもなります。