紙の本
男性中高年の働き方・働かせ方の課題は、日本の企業の制度的な問題
2022/05/18 09:23
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
サバイバル術、というよりは、日本の企業での人事評価や制度のしくみの特徴や課題から説き起こす内容。その現状や原因の分析などは、なるほど、という分かりやすさと納得感がある。その後の対処・対応については、企業として、個人として、それぞれ提起されているが、ちょっとわかりずらいところがあり、また、一朝一夕にできることではないので、「サバイバル術」というより、より根本的なグランドデザインから考えるべきという内容。
男性中高年のことが中心となっているが、女性観点などからは、どんな見方ができるのか、聞いてみたい。
電子書籍
高年法
2022/08/27 15:35
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sas - この投稿者のレビュー一覧を見る
高年齢者雇用安定法による70歳までの雇用等が、努力義務から義務になるのではないかと聞きます。
真偽のほどは分かりませんが、これからの世代の方は、早目にこういった書籍を読んで、客観的に自分自身を見ることが必要だと思います。
投稿元:
レビューを見る
昨年定年退職(60歳)し、契約社員として継続勤務中。
今後の事を、あらためて考える必要性の認識を促してくれた重要な一冊。部分的に再読しよう。
投稿元:
レビューを見る
本屋に並んでるのを見て、最初は躊躇。若いコンサルタントみたいな著者だし、流行りのテーマにのっているだけでは?と。立ち読みで一部分だけ見て、そうでも無さそうだと購入。結果、現在の日本の労働環境をデータに基づいた真摯な分析でひもといたとても良い本でした。
小熊英二さんの「日本社会のしくみ」が明らかにした日本の雇用の成り立ちの最新の状況がよく分かり、合わして読むと良いかも。中年男性サラリーマンは自分の置かれた状態が「自分のせい(だけ)では無いんだ」と理解できると思います。
惜しむらくは、企業や私たちがどうすれば良いのかの部分。極めて現実的で今までに無い具体的な提案がされているので、十分評価できるし、役に立つんだけれども、分析が素晴らしい分、さらなる大胆な提起が欲しかった。日本の雇用の将来的なあり方を、例えば、米国型にもっていくべきなのか、はたまた欧州の何処かの国をモデルにすべきなのか、などの提案を聞いてみたい。
今の日本企業の雇用形態は、性別も年齢も関係ないと言いつつ定年もあり、採用のキーに年齢、性別が重要視されているのは事実。個人のキャリア形成が大事と言われても、そのキャリアの決定権は会社に大半があることは本書の分析の通り。制度として矛盾だらけで破綻していることは、多くのビジネス人が感じ困っている事。
是非、次回作に期待します。
投稿元:
レビューを見る
なぜ黒字の会社でもリストラを迫るのか
男性中高年の四つの「ない」とは
第1章 中高年が職場で肩身が狭い真の理由
揺らぐ働く環境
変わらない仕組みの中、「変われ」と迫られる中高年
会社が「キャリア自律」を促すほど、社員はしがみつく
第2章 狭まる「ミドル・シニア」包囲網
70歳まで働く時代はすぐそこに
年功序列≠ベテラン優遇
役職定年
日本型雇用は高齢者有利のウソ
「ジョブ型」導入はミドル層の「一人負け」状態
第3章 日本の「校内マラソン型」人事が「働かないおじさん」問題の原因
42.5歳で迎える出世の限界という曲がり角
国際的にも独特な日本の昇進
働かないおじさん≠モチベーションがない
第4章 自分の居場所を確保するために
テレワークで浮いた時間も仕事をする男性
職場・家庭以外の場の発見
第5章 「離さない人」の落とし穴
シニアで急減する人ととの交流
自分をさらけ出さない中高年
第6章 「変わる」ことはキャリアの価値
現状維持を目標にすると転職は失敗する
35歳転職限界説の真実
変わる力=将来への備え
第7章 企業はどうすればよいか
「ジョブ型雇用」は中高年問題を解決するか
内部労働市場をアップデート
物語を話す仕掛け
対話型ジョブ・マッチングの企業事例
第8章 成功する早期退職を迎えるために
専門性にこだわりすぎるのは危険
中高年の武器 四つの「ある」とは
第9章 私たちはどう転職すればよいか
「後悔する転職」には予兆がある
中高年の転職は「即戦力」を目指してはいけない
投稿元:
レビューを見る
中高年は、働かないだけでなく、帰らない、話さない、変われない。
ロールモデルが語るエピソード、は違いを見せつけられて負の効果がある。
会社がキャリアを考えて行動を促せば、自覚している中高年はよりしがみつく。
年功賃金は、全国電気産業が提案した電算型賃金。同時に55歳定年制も定着した。
60年代の職務給は根付かず、職能給制度が定着。
日本の雇用の独特さは、行内マラソンに似た広くて長い出世競争にある。
強制参加=降りることは本人の意思として理解される。=女性活躍が女性の意欲の問題とみなされる。
42.5歳で出世競争から外れる。と同時にモチベーションが下がり働かなくなる。代替えのモチベーションがない。
昇進の差が出始めるのは、日本は7.9年、ドイツは3.7年、アメリカ3.4年。日本企業では22年を超えるまで出世意欲がおとろえない=42.5歳程度になるとあきらめる人が出てくる。
ラテンモデル=フランスなど。最初から昇進する人は選ばれている。
ドイツモデル=スイス、オランダ、なども。昇進は専門性を高めるために行われる。部門をまたいだ移動はない。
モチベーションが社内出世競争だけだったことが問題。
対人コミュニケーションでは自己開示が不可欠。
35歳転職限界説は実体では正しい。出世の見込みがなくなってからだと転職はできない。
変化適応力とは、変化適応への自己効力感。
ジョブ型人材マネジメントとの差はかなり深い。
仕事を意味づける、まずやってみる、学びを活かす、年下とうまくやる。
特定の専門性を高めることでキャリア全体を支える分野、領域はどんどん少なくなっている。
専門スキルのコモディティ化=ココナラ、ランサーズ、クラウドワークスなど。
過去へのこだわりを捨てられるか=アンラーニングが必要。
投稿元:
レビューを見る
著者が述べる中高年就業者の問題点「四ない(働かない、帰らない、話さない、変われない)」、それに対する日本の労働市場の歴史的背景や将来的課題の根拠提示やデータ分析は俊逸だ。例えば年功序列制も単なる累進加算ではなく加齢に対する期待値が本来趣旨ということが分かる(であればIT時代では時代遅れと言われても仕方ないであろう)。一方で「早期退職サバイバル」と銘打っておきながら、主な読者層であろう40~50代にとっては気が滅入るような論説をただただひたすら200頁超見せつけられる。具体的提言である第7~8章も、結局はべき論を以てして企業にしわ寄せし問題を先延ばしする行政の姿勢と何ら変わらないものである。当人である中高年就業者にとっては「結局どうしようもないのね」という沈痛な面持ちになる本かもしれない。本質的問題をしっかり捉えている著者であればもう少し切れ味鋭く踏み込んだ解決策を(もう少し端的に)提示できたのではないかと思い、やや残念に感じる。
投稿元:
レビューを見る
働かないおじさん問題は自分たちが若い頃から言われてるけど、相変わらず温存されてるんだろうなぁ。怖いのは自分が就職した頃のそんな人たちはもう会社を去り、自分たちがそんな年齢に差し掛かっていること。
結局、専門性なのか、それにとらわれず広範な業務を経験するゼネラリストか。
転職を繰り返す人に「強い」人がいるのはなんとなくわかるけど、必ずしもそうばかりでない。キャリアの硬直性は考えるべきだけど、どこまでいっても隣の芝は青く見えることは忘れちゃいけない。
投稿元:
レビューを見る
「個別の施策の切り貼り状態で、その全体像をデザインする発想が欠けていることも多くあります」
「キャリア自律アプローチの最大の問題点は、実行的な制度上の工夫もこらさず、きちんとした予算もつけない、ただの呼びかけが多い」
同意します。
が、社員側が利口になり、会社の制度をうまく利用すればいいとも思う。
投稿元:
レビューを見る
『早期退職時代のサバイバル術』
大人が学んでないよなと常々感じる中で手に取った本。なるほどなと思ったのは、大学も含めて職場内の経験学習が社会人の学びのメインストリームなので、大人(日本人)は学んでいないのではなく、「学びが職場に偏っている」のだということ。
職場環境を通じての学びだけでは自立的にキャリアを作っていくことはできない。
リスキリングや会社の外での学び、キャリア自立ができないことは個人の問題よりも構造の問題。
既存の「勝負のルール」に目を向けることで、大人の学びやキャリアの歩み方は変わっていくのかなと思う。
#読了 #君羅文庫
投稿元:
レビューを見る
校内マラソン型人事において、日本では40代前半で限界が見えてくるため、代替モチベーションが存在しないがゆえに働かないおじさんを生み出される、ということを説明している。(米国などでは30代前半でラットレースにある程度見えてくるため、代替モチベーションを見つけやすい?)
また雇用環境では、年功序列雇用ではなく、昨今はジョブ型雇用のトレンドがあり、年功による賃金カーブの平準化が進んでいる。
そのような環境下において、1970年代生まれ前後のミドルは厳しい現実を突きつけられる可能性が高そうとうことである。就職氷河期に社会に出て、ミドル時代ではジョブ型雇用として年功序列制度にメリットを享受できる割合もなく、早期退職募集を受ける可能性が高い、一方で受給年金の後ろ倒しが行われていき、健康であれば75歳前後までは働く必要がある。そこで本書に書かれているようなサバイバル術として、備えておくことが大事ということがよく分かった。
投稿元:
レビューを見る
中高年には切実な問題ですね。
確かに若い頃とは、いろんな事が変わってきました。
働かないおじさんの問題もあるけど、日本の雇用形態にも大きな欠陥があると思う。
投稿元:
レビューを見る
主に中高年のホワイトカラー男性に向けた本。転職を考えるに当たっての心構えなどもあるが、大半は日本の人事制度の現状を解説している。
その日本的人事制度の結果として「働かないおじさん」が量産されているという一般的な見方について、否定も肯定もし、この「働かないおじさん」の話題を軸に制度の分析がされている。
筆者本人が冒頭で述べているように、本書は転職のハウツー物ではない。働かないおじさんや「中高年はITスキルが弱い」などの見方は「そういう人もいる」というだけで、ステレオタイプのものの見方では本質を見失う。そして普段から職場以外にも交流を持ちましょう、という本だった。
投稿元:
レビューを見る
人事・組織について考えている人・「社会課題」としての中高年問題に関心のある人向けの要素が多め。
「働かない」「帰らない」「話さない」「変われない」という男性中高年の「四ない」問題について、歴史的背景から解説している。
これからの時代の会社経営や採用、教育研修を考えるにあたり勉強になった。
中高年問題を考えるにあたり、多くの人が心理還元主義に陥っているという話はドキッとしてしまった。
中高年向けのキャリアデザイン研修なども増えているが、「モチベーションが低いから…」といった考えが「本人に刺激を与える」といった表面的な啓発でとどまってしまい、仕組みが追い付いていないのが日本企業の課題である。
(社会学では社会の「心理学化」と呼ばれ、ヨガや瞑想の流行、自己分析の一般化など、様々な問題に対して「個人」の「心」を通じてアプローチしていく発想は、既にありふれたものになっている)
キャリアの考え方については、フランスなどのラテンモデルだと、飛び級システムで優秀な新人でも管理職として採用するし、良いポジションがもらえないなら入らない。一方で日本企業のキャリアの歩み方が校内マラソンで、よーいドンで一斉スタートし、平和主義・競争主義で長い長い昇進レースをしていく。会社事情で異動もするからキャリア計画もろくにできず、昇進だけをモチベーションとして走り続けている。
アメリカドイツは出世の見込みがない人が5割になるのが10年前後、日本は22年でとても遅い。
これを踏まえて出世意欲の「出世したいと思わない」が「出世したい」が上回るタイミングが42.5歳、またキャリアの終わりを意識するのが45歳くらいというデータを見ると、昇進以外のモチベーションの代わりになるものがないまま走り続けて、出世意欲がなくなると引退モードが見えてくるというのも納得できる。
先進各国の中で最低クラスの学習習慣のなさが、中高年の「変わらなさ」の背景にあり、APAC就業者の学習状況のデータでは、勤務先以外での学習や自己啓発について、日本は「特に行ってない」が46.3%。次に多いのはオーストラリアとニュージーランドだが22%程度で大きな差がある。
キャリアについて計画ができない校内マラソン型人事なので、配属された後に覚えた方が合理的と考えることと、長時間労働の文化が根付いていることが背景と考えられる。
社会関係資本(ソーシャルキャピタル)の分厚さが人生の幸福感や満足感に繋がるという話はよく聞くが、年齢と交友関係の幅の分析で男性の方が年を重ねると他社との交流が急減し、女性は寧ろ50代でまた増えている。
忙しい仕事を引退した後の妻との時間を楽しみにしている夫に対し、日々ママ友や地域交流を通じて社会関係資本を蓄積してきた妻、という比較が悲しくもその通りだなと感じた。
目標達成の志向性・新しいことへの挑戦や学びへの意欲・興味の柔軟性の3点が変化適応力の促進心理であり、これらは組織と雇用のあり方によって変えられる。