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『蜩ノ記』の子供たち
2017/10/26 16:21
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
葉室麟が『蜩ノ記』で第146回直木賞を受賞したのは2012年だから、まだ5年程前のことだ。
旺盛な執筆活動から随分昔のような錯覚をしてしまうのは、読者としてうれしい限りだ。
何しろ『蜩ノ記』の舞台となった羽根(うね)藩を舞台とした物語もこの作品で5作目となる。
しかも、今回の作品は『蜩ノ記』につながる人たちの物語だから、葉室ファンにとってはたまらない。
この物語は『蜩ノ記』から16年が経った羽根藩を描いている。
『蜩ノ記』の主人公戸田秋谷は無実の罪によって切腹をさせられたが、その息子は今戸田順右衛門と名を改め、羽根藩中老として重き役職についている。
そして、あの時秋谷とともに「蜩ノ記」の清書に努めた檀野庄三郎は秋谷の娘薫と結婚し、桃という娘とともに平和に暮らしていた。
そこに持ち上がってくる難題。若い藩主の隙を狙って藩政をわが物になさんとする三浦左近の悪だくみに、秋谷の子供たちも巻き込まれていくことになる。
但し、今回の主人公は彼らではない。
若い藩主と気心のあった小姓赤座颯太である。
颯太は「泣き虫颯太」と呼ばれるほど気弱な少年であったが、庄三郎のそばで過ごすうちに次第に藩主を助ける若者へと成長していく。
それは秋谷のそばで成長していった庄三郎とそっくりだ。
庄三郎は颯太に言う。「おのれが大切と思うひとのために命を投げ出して動じない心」こそ、まことの勇気だと。
『蜩ノ記』からこうして物語はつながっていく。
葉室麟は羽根藩という世界でまさに深い葉室麟の世界を構築したといえる。
紙の本
「蜩ノ記」の続編
2018/12/14 20:59
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投稿者:みか - この投稿者のレビュー一覧を見る
「蜩ノ記」を読んでいたので、あの郁太郎が成長して美雪という娘がおり、庄三郎と薫の生活ぶりやお春が成長していて驚きました。
意外に終わりぐらいの市之進もいい人になったと思いました。
文中に「蜩ノ記」が出てきたときは懐かしさを覚えました。
颯太や村の子供たちの姿も良かった。
ラストシーンで順右衛門と庄三郎が話す場面も良かったです。
何より藩主の吉通が名君と呼ばれるように後々なっていることを願います。
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イッキ読み‼︎でしたぁ。
蜩ノ記から、ズッと待ってた。
やっとの続編といった内容。
蜩ノ記のアンサーBOOKかも⁉︎
戸田秋谷という人に
改めてアタシも触れられた。
檀野庄三郎と薫。に、娘がぁ。
ほのぼのと。
草笛絡んで。
少年たちのお話。
かっこいいっーくって、キレイにまとまりすぎて…
すぎすぎて…な、んだかってなぁ⁉︎って、チト思っておりますが。
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3.8
羽根藩シリーズ第5弾。
「蜩の記」の主人公・戸田秋谷の嫡男・順右衛門と、その友・檀野庄三郎、順右衛門の姉にして庄三郎の妻・薫、もう一人の友・水上岳堂。
「蜩の記」の続編としての色合いが最も濃い作品。
死して尚、事あるごとに「真の忠義とは」と藩士の心に語りかけてくる秋谷。
珠玉の一言
薫
人が変わろうと思えば時がかかる。
自分のことでできる辛抱は、人の事でもしなければならない。
人は自らのための辛抱はいくらでもできるが、人のための辛抱はわずかでもできないものだ。
庄三郎
男の本懐とは、良い女房をもらうことなのかもしれない。
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初出 2016〜17年「小説NON」
直木賞受賞作『蜩ノ記』に続く羽根藩シリーズ第5作。
若くして継いだ藩主に御家騒動が降りかかるなか、主人公で14歳の"泣き虫颯太"は近習として必死に自分の生き方を模索する。
『蜩ノ記』で従容と死に赴いた戸田秋谷の息子、娘とその夫たちが、秋谷の生き方を思い劣勢を跳ね返すクライマックスには胸が熱くなる。
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羽根藩シリーズの最新作ですが、これまでのシリーズのキーマン的存在の戸田秋成の子供の世代が大人になり、羽根藩のために奔走する話ですが、戸田秋成の死をもって伝えたかった志が他の者たちに脈々と伝搬しているところが良かったですね!颯太の成長する姿も良かったです!
続編に期待したいです。
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12月23日に亡くなられた葉室麟さんの、おそらく最後の作品。
12年前に作家デビュー。それまであまり時代小説を読む機会に恵まれなかった私が時代小説を読むようになったのは、この人の作品と出会ったことが大きな影響を与えている。
凛とした武士の姿を描く腕には感心するばかりだった。
「蜩ノ記」で直木賞を受賞された時は嬉しかったのを今でもよく覚えている。
その「蜩ノ記」がこの作品でも重要な役割を果たしている。
そして、この作品に登場する女性たちは、どうしてこうも聡明なのだろうか?
このような女性たちに支えられた吉通率いる羽根藩は、きっと近隣からも羨ましがられる藩になっていくと思うが、葉室さんの死で藩の行く末を知ることが出来ないのが残念だ。
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蜩の記より5作目の物語。蜩の記の戸田秋谷の息子が絡んだお家騒動で、正義は勝つ、ですかね。あと友情と。簡潔な文章で読みやすかったし面白かったです。他の話しも読んでみようかと思いました。
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葉室作品にしたら、軽めのテイスト。
がんばれ若人たち!という感じで、一生懸命な子供達(殿様も主人公も周りの小姓たちも百姓の友達も)が、まだいろいろ足りないなりにも必死に考え、行動する姿が爽やかでほほえましく、読みやすかった。
「蜩の記」の主人公の子供達が大人になり、それぞれが志を持ちながら悩んでいる世代。あの名作が根底にBGMのように流れていて、この作品の品格を上げている。
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内容紹介
受け継がれる思い、そして覚悟。
著者畢生の羽根藩シリーズに、新たなる感動作、誕生!
蒼天に、志燃ゆ。
『蜩ノ記』を遺した戸田秋谷の切腹から十六年。
泣き虫と揶揄される少年は、友と出会い、天命を知る。
羽根藩江戸屋敷に暮らす少年赤座颯太は、両親の他界に伴い、母方の伯父で藩校教授の
水上岳堂預けとなり帰国した。国許では、江戸で颯太が小姓を務めた同い年の世子鍋千代
を巡り、彼を推す中老戸田順右衛門と、御一門衆の三浦左近を推す一派が対立。岳堂は颯
太を騒動から遠ざけるため、親友の薬草園番人檀野庄三郎に預けることに。やがて鍋千代
が国入り、颯太は再び小姓として陰謀渦巻く城に上がるが……。
『蜩ノ記』の檀野庄三郎、戸田郁太郎たちにふたたび出会える、待望の最新刊!
平成30年3月9日~10日
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「蜩ノ記」の続編で舞台は羽根藩。
亡き戸田秋谷や源吉の生き様や思いが、遺された者達にしっかりと受け継がれている。
「蜩の記」の方が重厚だが、本書は若者の成長物語だと感じた。
さらなる続編が読めないのがとても残念。
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ハッピーエンドの作品だからか軽くて爽やかな読後感だった。
忠義とは、主君とは?
大人でも答えるのが難しいことをわからないと思いながら考えてる若者達が爽やかだったからかも。
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7月-6。3.5点。
羽根藩シリーズ。羽根藩の跡継ぎの友人が主人公。
跡継ぎの江戸行きと同時に江戸へ。
跡継ぎ争いに巻き込まれながら、成長し強くなっていく。
葉室節。面白くホロッとさせる。
蜩ノ記の登場人物多く、続編イメージ。再読しよう。
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「蜩ノ記」。その後の物語。
私が「蜩ノ記」を読んだのが約7年前なので、殆どうろ覚えな状態でしたが、前作で清冽な生き様を見せてくれた戸田秋谷が、その後を生きる人達の心の中にしっかりと生き続けているのが伝わってきました。
次を担う、若い世代の友情や成長も清々しく、友を呼ぶ草笛の音のような、心が洗われるような読後感でした。
是非「蜩ノ記」とセットで読んで頂きたいです。
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ひとはおのれの生き方に照らしてしか他人を見ることができないものだ
毒痛みがなまってドクダミ、痛み取りが転じてイタドリになったといわれている
ひとはいとおしく思っていてくれるひとがいてくれれれば、道を過たずに生きていける