渋沢栄一 ――日本のインフラを創った民間経済の巨人
著者 木村昌人
「近代日本資本主義の父」とも称される実業家・渋沢栄一(1840―1931)は、日米・日中関係改善に尽力した「民間」外交家であり、さらには社会福祉、教育などにも深く関わった...
渋沢栄一 ――日本のインフラを創った民間経済の巨人
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商品説明
「近代日本資本主義の父」とも称される実業家・渋沢栄一(1840―1931)は、日米・日中関係改善に尽力した「民間」外交家であり、さらには社会福祉、教育などにも深く関わった慈善事業家でもあった。本書は、論語・算盤・「民主化」という三つのキーワードをもとに、東アジアの伝統と文化の中で育まれた渋沢の精神を明らかにし、渋沢の構想した「英米資本主義」を超える日本発の新しいグローバル資本主義を考察しながら、稀有なリーダーの足跡を余すところなく踏襲する試みである。
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渋沢の生涯を編年体で俯瞰
2020/11/07 15:22
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は渋沢栄一記念財団勤務などを経て、現在は関西大学客員教授であり、『渋沢栄一 民間経済外交の創始者』・『グローバル資本主義の中の渋沢栄一 合本キャピタリズムとモラル』などの渋沢栄一に関連する著作を執筆している。渋沢栄一は500近くの企業の設立や経営に関係するとともに、600近いフィランソロピー(慈善、奉仕)の分野の団体や個人の活動に関与した「近代日本資本主義の父」とも称される実業家である。著者はプロローグで<いままでの渋沢の評伝や研究書は、経済、経営、思想、民間(国民)、外交、福祉、教育などの分野別に彼の人生を語るものが多かったが、これも渋沢の全体像を見えにくくしていた。渋沢の真骨頂は、公益を増大することを大きな目標に掲げて、あらゆる事象に関心を持ち、同時並行的に粘り強く実行したことである。そこで本書では、六つの章に分けて、彼の九十一年の人生を編年体で俯瞰したい。>と記述している。著者が研究者ということもあり、本書では渋沢の業績を淡々と感情移入することなく描き出している。このため、渋沢の事業にかける情熱や苦悩が直に伝わってくる内容ではない。渋沢の伝記・評伝を期待する読者にとっては、若干期待外れとなるかもしれない。
渋沢は民間外交家でもあり、戦争は健全財政を危うくするという観点から、明治初期の台湾出兵から非戦論を唱えてきた。日露戦争後、ロシアに代わって満州への日本の権益を強引に拡大することにも危惧を感じていた。満州における鉄道建設を米国の鉄道王ハリマンの提案による日米共同事業とすることに渋沢は期待していたが、日本の権益を重視する小村寿太郎外相らにより実現しなかった。渋沢の期待が実現していれば、その後の日本の歴史も大きく変わったのではなかろうか。単なる経済人に留まらず、日本の針路を見据えていた偉大なる巨人との印象を改めて強くした。