紙の本
女王の数字
2020/06/27 21:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:6EQUJ5 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ファンタジーに素数や友愛数など数学の要素を織り込んだ異色の一冊。しかし、ストーリーは単調な感じでした。
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約数や素因数分解、完全数、友愛数、フィボナッチ数列といった数の理論をもりこんだファンタジー。
人間一人一人に「運命の数」があたえられている世界で、呪いで世界を支配しようとする王妃に養女である13歳のナジャがたちむかうことになる。孤独で自己肯定感が低かったナジャが、美しく賢かったのに行方不明になってしまった姉ビアンカへの思慕を胸に秘めつつ、いろいろな人や妖精との出会いを通じて少しずつ自分の力に気づき活かせるようになる成長物語でもあり、ナジャとビアンカ、そしてもう一組の姉妹の関係を重ね合わせながら、人の本当の強さとは、人の弱みとはなにかを考えさせる物語でもある。
はじめのうちは登場人物のキャラや舞台設定が飲み込めるまで、何度も冒頭に立ち返ってなかなか進まなかったが、第3章ぐらいからはぐっと物語の世界に引き込まれてあとはほぼ一気読みだった。数学のスパイスを効かせつつ、「祝福」は「呪詛」と表裏一体という人間の心理と真理をていねいに描いている秀作だと思う。
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題名が気になったので、購入。
指輪物語?ハリーポッター?のようなファンタジーの展開で、妖精が出たりとハリウッド映画を見ているような雰囲気でした。ただ、正直無理やり「数字」の要素を入れたように感じました。
この本の特徴は、横読み(左→右)で約300ページ以上ですが、精神的には倍以上のボリュームがあるように感じました。説明の部分が多く書かれていたので、そう思ったのかもしれません。
要約すると、ある世界では、人々にマイナンバーが与えられている。蜂の毒によって喰数霊となり、特定の人を襲うというもの。蜂の毒は素数蜂と呼ばれ、異なった数を調合することにより、特定の人を襲うことができる。
それを企んでいるのは、王妃である。王妃の娘である主人公は、素数を使って計算したり、王妃や姉であるビアンカなど様々な謎・秘密に迫っていったりと数を巡るファンタジーの展開が満載です。
この話のメインは「素数」で、計算することによって、いろんな数の不思議が書かれています。もちろん解説付きですが、その部分だけ NHKの数学講座を見ているようで、為にもなります。しかし、桁数が多いことや計算が「??」な部分もあり、訳が分からなくなります。途中からその部分は雰囲気だけ楽しみながら、読んでいました。
数学の要素を抜きにしても児童文学の大人版のようなファンタジー小説として楽しむことができます。
数学が好きな人には、たまらないですが、嫌いな人には雰囲気でこうなるんだとスルーしていったほうが楽しめるかと思います。
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数字の数学のトリビア的な面白さと,登場人物の個々に割り当てられた数をそれにうまく合わせて能力を当てはめているのが凄い!「巡る数」のビアンカには驚いた.ストーリーも数学的な奥深いところと並行して進むのが楽しかった.
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整数をネタにしたファンタジー.前作,白と黒の扉はと比べてしまうと,ファンタジーとしての出来はともかく整数の理論との関係がそれほど密ではなくて,付け足しというか無理やり関連づけたというか,そんな感じ.ネタ切れ感もある.
無理してこういうの書くより,ゲーム作家とかの方が成功するのではないか.
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数字の持つ「神秘的な」特徴はそこに神や妖精の存在を、感じさせる。小説、しかもファンタジー小説のような体裁でこのようなストーリーが現れるのは必然なのかもしれない。フィボナッチ数、コラッツ予想、などが題材に使われる。
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数学の知識を織り交ぜたファンタジー作品。神や権力者、戦士をとりまく筋書きが稚拙な感じもあるが、登場人物が固有の数字に置き換えられ、力や魔力を発揮するといった展開が面白い。素数やフィボナッチ数など昔習った事柄が、なつかしく思い出された。力作だと思う。
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数学の知識を物語の中で学べる作品となっています。私はこのような作品を今まで様々なものを読んできましたが、本書はその中で、最も「カッコいい」作品でした。設定は理解するまでに時間がかかりましたが、一度理解してしまえば手に汗握るストーリー展開や数学に詳しく無くても「なるほど」と言えるものばかりでした。
本書で私が最も感動したのは大学数学レベルの領域や、未解決問題も取り上げられているのにもかかわらず、そのほとんどが四則演算に知識で理解ができると言うことです。そしてこれらの説明が淡々と方られるのでは無く、方法や答えに物語としての意味が関連づけされていることで、より興味をそそられました。
例えば物語の最後に語られる「コラッツの予想」これは未解決問題です。内容としてはどんな数もたった2つの作業を繰り返すことで1になるというものです。ここまでは多くの数学書で語られていることですが、その1がただの数字では無く「最高神の数」であると語られています。こういった表現をされると数学的な美徳だけで無く物語としてのロマンも感じられ、様々な面から本作品を楽しむことができました。
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Podcastホンタナで紹介されていて読んでみました。自然界の法則を数学の法則が直接的に影響を与えている世界として設定されたファンタジー。とても新鮮。ディストピアな話で人間一人一人にシリアルナンバーが振られているのとは全然違う。 また、「祝福と呪詛は裏表」「今すべきことする」「内ばかりに目を向けているとの危うさ」「知識を経験にするために純粋に疑うこと」などストーリーのエッセンスもよかった。 以下、ホンタナのURL https://00m.in/2axag
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人は生まれながらにして平等ではない。持っていないものを嘆いてもしかたがない。持っているもので何ができるか自分で考えて、そして行動するのだ。
そんな熱いメッセージが込められたのはたまたまだろうか?
たぶんそうではないだろう。それは著者の著作に一貫して流れているテーマなのだから。
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白雪姫の物語に,整数論における特別な整数を盛り込んだ創作。整数論の学習に疲れた頭を休ませるために読んだ。
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本書の著者である川添愛の別の本が面白かったこともあり、こちらも読んでみました。
『数学ガール』と『博士の愛した数式』のような要素を持つファンタジー、というのが自分の印象です。
何よりも、数字の使い方がとてもうまく、また、数字の意味付けや、キャラクター設定も絶妙だと思いましたし、それらとこの本の世界観の設定がうまくマッチしていると思います。
ちなみに、ある程度、数学の素養がある自分は、楽しく読めたのですが、普通のファンタジーとして読めるのかどうかは疑問です。
また、この本に出てくるフィボナ草の設定についても疑問があります。
が、たとえ、それらの疑問があったとしても、それらを上回る面白さがありました。
基本的には、ファンタジーには興味がないのですが、自分の興味を惹く要素があれば、ファンタジーも楽しめることを実感した一冊です。
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一人一人が、与えられた「運命数」を持つという不思議な世界観に引き込まれるようにして読み終えました。
世界観はなんとも不思議だけど、自分の数値に傲り、人を持って生まれた数だけで判断しようとする姿勢は、なんだかよく知る世界のような、、、
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剣と魔法の世界を舞台にしたファンタジー。
ファンタジー世界では「魔法の存在は所与のもの」であるが、川添氏の著作では「魔法等と学術的問題」のリンクが試みられている。
本作で取り上げられているのはずばり「数」。
現実のことは全て忘れて物語を楽しみたい、という人には向かないが、様々な「数」の性質を知り、感心したり、面白いと思ったりできる人にとっては、一冊で二度美味しい作品だ。
文庫化はされていないようだが、多くの人に読んでもらいたいと思った。
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一人ひとりが運命数と呼ぶ固有の数字を持って生まれる世界。その数字を素因数分解(割り算的な)することで相手を呪い殺す力を得た悪の女王が、世界を意のままに操ろうとしている。
それに抗うのは13歳の赤毛の少女。算術に長けた妖精や森の長と協力して、女王が持つという運命数【ひび割れのない数=素数】を打ち破り、世界に平和をもたらすことができるのか、的なファンタジー話。
物語において、不思議な性質を持つ様々な数字が困難を乗り切る鍵となります。読み進めることで、整数をかけると元の数字の列が一つずつズレていく巡回数や、植物など自然に多く見られる数字配列のフィボナッチ数といった話題に触れられます。
紹介される数字は桁数が多く、一見すると難しく見えるかもしれません。ただ、へー不思議だね、くらいの感覚で読んで全く問題ないと思います。
たまにはファンタジーものを読みたいけど、あまりに子供向けなのはちょっと、、という人にはおすすめできるのではないでしょうか。数字の面白さに出会える本でした。