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商品説明
マクロ経済政策を考えるためのフレームワークを論じる。マクロ経済政策が「将来」に制約される部分や、流動性とのかねあいで政策が配慮しなくてはならない部分を掘り下げて議論する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
斉藤 誠
- 略歴
- 〈斉藤誠〉1960年生まれ。京都大学経済学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了。一橋大学大学院経済学研究科教授。著書に「新しいマクロ経済学」「金融技術の考え方・使い方」ほか。
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紙の本
理論と現実経済の説明が全くかみ合っていない
2003/04/08 05:33
3人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:子母原心 - この投稿者のレビュー一覧を見る
はしがきを見ると、本書は「オーソドックスな経済モデルに沿って」「議論が常とうに流される事無く」「マクロ経済政策に関して出来るだけ新鮮な、有益な視点を読者に提示」することが目的だとある。著者は「経済学で飯を食わせてもらっている人間」であり、本書は確かに「経済学が考えるための道具である事を伝え」ようとはしている。だが残念ながらその試みは完全に失敗している。
本書における個々の経済理論の説明「合理的期待形成論」や「資産価格とマクロ経済学」等それ自体は大体分かる。だが問題はそれらを使っての日本経済への応用の段での説明である。
著者は現在の日本経済に冠する認識はこうだ。「現在の失業は本当に需要不足に起因したものか」「現在は産業構造の転換に拠って生産性の高いセクターに資本が移動していく過程」「不良債権処理問題がここまでクローズアップされてきたのも、生産性の低い部門に資本が塩漬けになってしまい」(以上96ページ)また昨今の金融政策に関しても「ゼロ金利金融政策無効論」(第3章)としていて、結論レベルでは巷の経済議論と殆ど変わらない。経済理論の説明とこれらの記述が全くかみ合っていないように思われる。それが一番の問題だろう。またその経済理論の説明も、結論にあわせるようにわざわざ書いたのではないかと思われる物も少なくない(特に「ブラックホール論」によるハイパーインフレ論)。
ところでこの本は、まさに本書が目的としている、巷の経済議論に飽き足らずに「自ら考えるための道具」として本書を手に取る人も多いはずだ。そんな人でも本書を読むと、なんだ経済学を持ってしてもやはりマクロ経済政策効果なし、構造改革なのか、と思うだろう。高度な専門的知見を有していて紋切り型の経済議論政策論に抗しようとしているはずの人が、実はそのトンデモ経済論に理論的根拠を与えかねない言説ーしかも自らの意見がトンデモ経済論ーを展開しているということに、本人は気づいているのだろうか。本書を読むのであれば、同時期に発売された野口旭「経済学を知らないエコノミストたち」と併読することを勧める。