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- カテゴリ:一般
- 発売日:2014/08/24
- 出版社: 白水社
- サイズ:20cm/297p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-560-08382-6
紙の本
モンスターズ 現代アメリカ傑作短篇集
フランケンシュタイン映画が大好きな少年の爆笑の日々を描く「クリーチャー・フィーチャー」。几帳面な男の怪我した爪から生まれた無口な働き者「泥人間」。サマーキャンプでいじめら...
モンスターズ 現代アメリカ傑作短篇集
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商品説明
フランケンシュタイン映画が大好きな少年の爆笑の日々を描く「クリーチャー・フィーチャー」。几帳面な男の怪我した爪から生まれた無口な働き者「泥人間」。サマーキャンプでいじめられっ子が遭遇したもっとも危険な相手とは…「モンスター」。自分を吸血族と信じて疑わぬ少年の大切な“牙”が一家に招く事態を描く「ダニエル」など粒ぞろいの17篇。ケリー・リンク、エイミー・ベンダー、ベンジャミン・パーシーら気鋭の作家が贈る、恐怖と笑い、遊び心に満ちた、ちょっぴり切ない傑作モンスター・アンソロジー。【「BOOK」データベースの商品解説】
吸血鬼やゴジラ、蛾男からあなたの隣にいる怪物まで、多彩なモンスターが勢ぞろい。ケリー・リンク、エイミー・ベンダーら気鋭の作家が贈る、恐怖と笑い、遊び心に満ちた、ちょっぴり切ない傑作モンスター・アンソロジー。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
序として あなたが書くと音をたてる不思議な怪物 | B.J.ホラーズ 著 | 7−15 |
---|---|---|
クリーチャー・フィーチャー | ジョン・マクナリー 著 | 19−48 |
B・ホラー | ウェンデル・メイヨー 著 | 49−71 |
著者紹介
B.J.ホラーズ
- 略歴
- 〈B.J.ホラーズ〉ウィスコンシン大学オークレア校准教授。
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紙の本
世に入れられない者の隠喩としてのモンスター
2014/10/03 13:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:abraxas - この投稿者のレビュー一覧を見る
題名通りモンスターたちをモチーフにした短篇ばかりのアンソロジー。大方の素材となっているのは、フランケンシュタインの怪物や吸血鬼、ミイラ男といった面々。小説ではなく映画やテレビに登場するキャラクターたちが中心だ。主人公は自分がモンスターだと思い込んでいる少年や、自分の子がモンスターだとしか思えない母親、またモンスターを演じる俳優といった人たち。ウィットともユーモアというのともちがう、サタイア或はアイロニーの色あいが強いのも特徴である。
モンスター物には何故か悲哀が漂う。そこにあるのは少数者ゆえの悲劇。その生まれゆえの絶対的な孤独感に加えて、外貌の醜悪さや奇怪さ。心許せる仲間とてなく、圧倒的多数者の前に放り出され、異端者として迫害される運命。モンスターに心寄せるものは彼らにシンパシーを抱く。
モンスターを世に入れられることのない者の隠喩であると見たらいい。仮面をかぶることでしか、ふつうの人々の間にいることができない、他に理解されない哀しさを噛みしめる孤独者。彼らの内心をモンスターに託して描いてみせる作品が多いのは、むしろ不思議でもなんでもない。それだけ、家族や友人たちの無理解に苦しむ人が多いのだ。だからこそ生きていることを実感したときの歓喜は素晴らしい感動を呼ぶ。
巻頭のジョン・マクナリー作「クリーチャー・フィーチャー」は、除け者意識を抱き、自分をモンスターに重ね合わせる少年の、母の妊娠に由来する焦慮や不安定な心理を描く。母の出産の知らせを聞き、雨に打たれながら「生きているんだ!」と歓喜の叫びをあげる少年とフランケンシュタイン博士を二重写しにした構成が見事。オースティン・バンの「瓶詰め仔猫」は、交通事故で顔に火傷を負い、モンスターの顔になった少年の復讐劇。少年は死んだ事故相手の妹をクスリで眠らせ復讐しようとする。思いがけない少女の告白が少年の過去を癒し、未来を拓く。
悼尾を飾るのはローラ・ヴァンデンバーグ作「わたしたちがいるべき場所」。俳優を夢見て家を出たジーンの夢は破れ、北カリフォルニアの森でビッグフットの着ぐるみをきて、客を脅かす仕事につく。隣に住むジミーは肺を病んでいた。周囲との交わりを絶たれ、森に隠れ住む孤独な姿はビッグフットを偲ばせる。家族から離れて暮らす二人の心の底にしみいるような孤独が胸に迫る。
ファンタジーあり、ホラーあり、ショート・ショートありの全十六篇。巻末にロック好きなら涙なくして読めないジェレミー・テンダー作のマンガ「モスマン」を収める。この中から次代を担う作家が出てきそうな予感の漂うアメリカ現代作家の競作集である。
紙の本
粒ぞろいではあるけれど…
2015/08/23 09:45
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sin - この投稿者のレビュー一覧を見る
勿体ぶった“序文”から胡散臭いと思った通り、この本に登場するモンスター達は何れも比喩的な意味でのそれであって文学にしゃぶりつくされた存在でしかない。作品としての質は悪くないがモンスターに対する愛は感じられない。それは序文で編者がビッグフット愛好家に向ける観察者の眼差しに似て…作者たちが描きたいものは他に在って、そのため描かれたモンスター達は表現のツールとして存在しているに過ぎない((T_T))とはいえ粒ぞろいの作品であることに間違いはない。