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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.4
- 出版社: 白水社
- サイズ:20cm/422p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-560-09009-1
- 国内送料無料
紙の本
野生の探偵たち 下 (エクス・リブリス)
著者 ロベルト・ボラーニョ (著),柳原 孝敦 (訳),松本 健二 (訳)
1976年、ソノラ砂漠から戻った二人の詩人、アルトゥーロ・ベラーノとウリセス・リマは、メキシコを離れ、それぞれヨーロッパに渡る。その後、世界各地を放浪する二人の足取りは、...
野生の探偵たち 下 (エクス・リブリス)
紙の本 |
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- 税込価格:6,600円(60pt)
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商品説明
1976年、ソノラ砂漠から戻った二人の詩人、アルトゥーロ・ベラーノとウリセス・リマは、メキシコを離れ、それぞれヨーロッパに渡る。その後、世界各地を放浪する二人の足取りは、メキシコに残ったかつての仲間たち、作家、批評家、編集者、トロツキーの曾孫、ウルグアイ人の詩人、チリ人密航者、アルゼンチン人写真家、ガリシア人弁護士、女ボディビルダー、オクタビオ・パスの秘書、大学教授など、実在・架空のさまざまな人物の口から伝えられる。最後に少年の日記から明らかにされる二人の逃避行の理由とは?強烈な皮肉とユーモアに貫かれた、半自伝的傑作長編。【「BOOK」データベースの商品解説】
【エラルデ賞(1998年)】【ロムロ・ガジェゴス賞(1999年)】1976年、メキシコ北部の砂漠から戻ったふたりの詩人はメキシコを離れ、それぞれヨーロッパに渡る。その後、30年にわたって世界各地を放浪するふたり。複数の証言と少年の日記から明らかにされる逃避行の理由とは?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ロベルト・ボラーニョ
- 略歴
- 〈ロベルト・ボラーニョ〉1953〜2003年。チリ生まれ。詩人として出発し、84年に小説家としてデビュー。「野生の探偵たち」でエラルデ賞、ロムロ・ガジェゴス賞を受賞。他の作品に「通話」など。
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紙の本
ロベルト・ボラーニョによる傑作長編
2010/06/13 12:12
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:K・I - この投稿者のレビュー一覧を見る
『野生の探偵たち』。日本語訳は上下巻の大著だが、その長さを感じさせなかった。
第一部、第二部、第三部、の三部構成になっている。
第一部は、「はらわたリアリスト」になった少年の日記からなっている。
そこにあるのは、詩とセックスと大麻だ。
少年の性的な「遍歴」もかなり直截的に描かれている。
「はらわたリアリズム」を主導しているのは、ウリセス・リマとアルトゥーロ・ベラーノの二人だ。
彼らは大麻を売りさばいて金を作っている。
第一部の終わりで、ある理由から少年とウリセス・リマ・アルトゥーロ・ベラーノ、それからルペという少女は北へ車で逃げる。そこで第一部が終わる。
第一部は1975年のこと。
そして第二部は、1976年から1996年まで。
第三部は、1976年となっている。
第二部は、主にリマとベラーノに関する証言集だ。
何人もの人が証言している。しかし、証言を聞いているのは誰なのか?それは分からない。
ある男の証言はベラーノに直接向けられたもののように読めるが、
他の多くの人たちの「証言」は、特定の人物が聞き出したものと考えるのは困難だろう。
僕は村上春樹がしばしば小説について言う、
「ヴォイス」というものを思う。
まさに、第二部は、多くの人々の「ヴォイス」の集積なのだ。
それぞれがゆるやかにつながっていて、また、それぞれが一編の短編のような。
「証言」によると、リマとベラーノは、ヨーロッパを放浪したり、さまざまな場所に放浪している。
そして、そういう「証言」を聞いているうちに、リマとベラーノが何を目指していたのか、ということがだんだんと浮かび上がってくる。
第三部は、再び少年の日記である。時間としては第一部の続きで、メキシコを車で移動している。
時間としては、第二部の方が「未来」なのだから、
時間として、リマとベラーノがその後どういう道筋をたどったのか、というのは、
(多くの謎を残しながら)、ある程度は分かる。
しかし、彼らが「求めていたもの」に「たどり着く」のは、第三部なのだ。
というふうに、書いてみたが、分かりにくい書評だったかもしれない。
なにせ、骨のある小説なので、こちらもなかなか噛み砕いて説明するのが難しかった。
この小説はどう考えても、文部科学省推薦図書にはならない。
人々はセックスをやりまくっているし、ドラッグをやっているし、本は万引きするし、あるときは、強盗もする。
でもこの小説は魅力的だ。おそらく、法的な「倫理」とは別の文学的な「倫理」のようなものを登場人物が守っているからだろう。
この本の作者のロベルト・ボラーニョの本は同じく、白水社のエクス・リブリスシリーズの『通話』で最初に読んだ。そのときは、いいものとあまりよくないものが混じっているというのが正直な実感だった。僕にとっては、カーヴァーの短編の方がいい、と思えた。
しかし、この『野生の探偵たち』は文句ない、傑作だ。
ぜひ、一読をおすすめする。