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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2010.11
- 出版社: 平凡社
- サイズ:22cm/127p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-582-83491-8
紙の本
EXPO’70パビリオン 大阪万博公式メモリアルガイド
著者 橋爪 紳也 (監修)
住宅カプセル、万能テレビ、人間洗濯機…。懐かしい未来へようこそ! 万博記念館「EXPO’70パビリオン」&大阪万博を完全ガイド。ジャケット裏に「日本万国博覧会公式ガイドマ...
EXPO’70パビリオン 大阪万博公式メモリアルガイド
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商品説明
住宅カプセル、万能テレビ、人間洗濯機…。懐かしい未来へようこそ! 万博記念館「EXPO’70パビリオン」&大阪万博を完全ガイド。ジャケット裏に「日本万国博覧会公式ガイドマップ」付き。【「TRC MARC」の商品解説】
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書店員レビュー
大阪万博40周年記念...
ジュンク堂書店京都BAL店さん
大阪万博40周年記念のメモリアルガイドです。
1970年3月14日から183日間開催された、アジアで初めてとなる「日本万国博覧会」。今見ても、なぜか「あこがれの未来」を感じさせられます。
パビリオン紹介、開催中の風景、イベントカレンダーなどデータが豊富です。
70年代が好き、岡本太郎が好き、万博マニアの方へ。
表紙カバーを広げると、公式ガイドマップになっています。
京都BAL店芸術書担当
紙の本
未来を遠くすぎて
2010/11/29 08:18
9人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今からちょうど40年前の1970年、この国に3つの大きな出来事があった。
ひとつは「われわれは明日のジョーである」と声明文を残し北朝鮮に亡命したよど号ハイジャック事件(1970.3.31)であり、ひとつは「諸君は武士だろ!」と自衛隊市ヶ谷駐屯所のバルコニーで絶叫してその後割腹自殺した三島由紀夫事件(1970.11.25)である。
そして、もうひとつはこの本で紹介されている、「人類の進歩と調和」をテーマに開催された日本万国博覧会(1970.3.15~9.13)だ。
高度成長期だったあの時代によど号を乗っ取った若者も、自衛隊に奮起を促した三島由紀夫も、彼らなりの危機感があのような事件を引き起こしたと思われる。
しかし、大衆は繁栄と未来を信じ、大阪千里丘陵に広がる万博会場へと押しかけた。その数、実に6421万8770人。単純計算でいえば、国民の2人に1人が万博に行ったことになる。
誰もが人類の未来を信じていた。繁栄を夢みていた。誰もそこから落ちこぼれないはずだった。
のに。
記憶がぼんやりしている。
よど号の白い機体と三島由紀夫のカーキ色の制服はよく覚えているのに、何故か万博の記憶がさだかではない。
1970年、私は中学を卒業したばかりの15歳の少年だった。地元大阪で開催された万博に確かに一度行ったはずなのに、そのことをまるで覚えていない。
「月の石」でにぎわう「アメリカ館」も「光の木」の「スイス館」もまるで覚えていない。
それなのに、こうしてあの当時のパビリオンの姿を収めた「公式メモリアルガイド」を見ると、懐かしさでいっぱいになる。ほとんどの案内嬢のユニフォームはミニスカートだし、来場者の容姿はどこかスマートではない。なのに、みんながその繁栄に満足しきっているように見える。そして、それはきっと記憶から消えている私の姿でもあっただろう。
あの時、埋められた「タイムカプセル」には輝かしい明日しかはいっていなかった。
あれから40年。
万国博覧会で夢であったさまざまなものが現実となった。しかし、輝かしい未来は手にすることができただろうか。物は進化したが、心はどこにいってしまったのだろう。
過去は否定しない。1970年、この国に絶望した二つの事件のはざまで、万国博覧会は見事な成功をおさめた。それは事実だ。ただ、あの万博会場にあふれた未来に対する希望や手ごたえはどこに消えてしまったのか、と思うだけだ。
この本に掲載された40年前の未来を私たち自身が裏切ってしまったのだとしたら、単に懐かしさではなく、40年の間に喪ったものを、この本で見つけ出せればいいのだけれど。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。