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商品説明
長年にわたり韓国・朝鮮と深くかかわった批評家による集大成。植民地支配と差別、〈親日〉の汚名や屈従を強いられた朝鮮の文学者たちの生と、その歴史に並走してきた日本の作家や知識人らの理解・無理解・葛藤の記憶に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
40年以上にわたって韓国・朝鮮と深く関わり、朝鮮文学や在日文学の批評家としても第一線を歩き続けてきた著者による集大成。植民地支配と差別、〈親日〉の汚名や屈従を強いられた朝鮮の文学者たち(李光洙、張赫宙、李箱ほか多数)の生と、その歴史に並走してきた日本の作家や知識人らの理解・無理解・葛藤の記憶を、現在の新しい読者に向けて語り直す。文学だけが架けられる橋とは何か?【商品解説】
目次
- 序章 架橋としての文学
- 1 “他者”としての朝鮮
- 2 「親日文学」と「転向文学」
- 第1章 移植文学から始まる
- 1 近代的文体の誕生
- 2 最初のハングル新聞
- 第2章 歪んだ鏡──李光洙と日本語
- 1 李光洙の「文体」
著者紹介
川村 湊
- 略歴
- 〈川村湊〉1951年網走市生まれ。文芸評論家。法政大学名誉教授。木山捷平文学賞はじめ多くの文学賞の選考委員を務める。著書に「川村湊自撰集」など。
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紙の本
色々とまとめると
2022/08/16 00:48
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今までに出していた本と同じく、書き下ろしこそあるが、色々な媒体で発表した文章をまとめているので、松本清張の「北の詩人」を批判している注釈があるかと思えば、中野重治が林和の運命を知らなかったかのように書いている個所があったりする。他の北朝鮮での粛清と違って、南労党裁判は公表されているから、「北の詩人」のような作品が生まれたわけで、昭和39年に除名されるまで日本共産党中央委員だった中野重治が知らないはずがないのだが。
崔南善が人民軍に拉致されたなんて初めて読んだ。
金史良が毎日新報に連載していた作品名を「海の歌」と「海への歌」の二通りの表記があるが、どちらかに統一してほしい。
張赫宙が朝鮮戦争を題材にした「嗚呼朝鮮」と「無窮花」を書いた事を紹介して、「日本国籍となっても消すことができない“朝鮮人性”や“民族性”が張赫宙にとっては問題ではなかったか」と書いているが、他の個所を見る限り、ここで彼に対する認識が止まったようだ。ここは出典にあるように30年ほど前、岩波書店の論集に寄稿したもので、平凡社の「生まれたらそこがふるさと」にも収録していた。今回、結構手を入れているのは分かるが、「嗚呼朝鮮」の刊年を「1951」年と実際より1年早いのは相変わらずだ。著者自身が編纂に関わった集英社の「戦争×文学」の朝鮮戦争の巻には張赫宙が昭和28年に書いた「眼」という短編が収録されているように、彼は朝鮮戦争の取材で韓国での取材を元にした短編をいくつか書いている。張赫宙の「“朝鮮人性や”民族性”」というならば、昭和25年の「李王家悲史・秘苑の花」に触れないのは、解せない話しだ。
金素雲の翻訳について触れた個所を読むと、著者自身が光文社古典新訳文庫で出した「歎異抄」と「梁塵秘抄」の抜粋を連想した。金素雲の翻訳を「再創作の詩」と評しているが、「原詩からかけ離れたものである」のは、まさに著者による「歎異抄」と「梁塵秘抄」の抜粋に当てはまる。何で唯円に今風の関西弁で語らせるとか高度成長期の盛り場みたいな訳文にするとかしたのだろうか。
張赫宙と金史良が関わっていた「文藝首都」の戦後史や半世紀ほど前の同人誌「朝鮮文学」の評価とかは参考になる。
「朝鮮文学」を書いた章に出て来る「現代朝鮮文学選」の2巻目を売れなくて「断裁」されたので「稀覯本」と論じているが、訳した田中明が「物語 韓国人」で言及している李泰俊の「解放前後」を読みたくて古書で購入したのは貴重な本という事になる。この章に出て来る「朝鮮文学」が刊行された昭和40年代半ばまでの韓国・北朝鮮の作品の紹介について、日本人で植民地時代から韓国・北朝鮮の現代文学に通じて訳せたような人はまずいないだろうから、韓国人か在日の手によるものだろう。
本文とはずれるが、巻末の広告には「天皇の韓国併合」や「朝鮮朝宮中風俗の研究」のような本はない。