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商品説明
アジア・太平洋戦争期に軍部の関心を集めた戦争神経症。恐怖を言語化することが憚られた社会で、患者はどのような処遇を受けたのか。様々な医療アーカイブズや医師への聞き取りから、忘却されたトラウマを浮かび上がらせる。【「TRC MARC」の商品解説】
アジア・太平洋戦争期に軍部の関心を集めた戦争神経症。恐怖を言語化することが憚られた社会で患者はどのような処遇を受けたのか。また、この病の問題はなぜ戦後長らく忘却されてきたのか。さまざまな医療アーカイブズや医師への聞き取りから忘却されたトラウマを浮かび上がらせ、自衛隊のメンタルヘルスなど現代的課題の視座も示す注目の一冊。【商品解説】
目次
- 序章 戦争とトラウマの記憶の忘却
- 1 問題の所在
- 2 先行研究と本書の位置づけ
- 3 本書の課題と視角
- 4 本書の構成
- 第Ⅰ部 総力戦と精神疾患をめぐる問題系
- 第一章 兵員の組織的管理と軍事心理学
- 1 軍隊と心理学
- 2 戦場心理・戦争心理研究
- 小括
著者紹介
中村 江里
- 略歴
- 〈中村江里〉1982年山梨県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会学)。同大学大学院社会学研究科特任講師。
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紙の本
かえりみられてしかるべき歴史
2021/09/21 16:35
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本社会でトラウマ(心の傷)について認識が高まったのは、阪神淡路大震災以降のことだろう。でもよく考えれば、それ以前にも人間はトラウマになるような体験をたくさんしているはずだ。
特に、戦争。死ぬか生きるか、殺すか殺されるかの極限体験は、人間の心にどのような影や傷をもたらしたのか、想像に難くない。思えば、第1次世界大戦やベトナム戦争、イラク戦争など欧米では帰還兵のメンタルを描いた映画や文学がある。
にもかかわらず、日本では、旧日本軍兵士のトラウマについて、ほとんど語られてこなかった。
本書は、戦時中は「いない」ことにされ、戦後はかえりみられることのなかった旧日本軍の精神疾患兵士を対象に、膨大な記録や関係者への聞き取りなどから、そのトラウマと歴史的背景を読み解いている。
軍隊生活や戦地での壮絶な体験をきっかけに、戦争疾患を発症した人たちは当時「戦争神経症」と呼ばれ、実は専門の治療施設も設けられていたそうだ。残されていた病床日誌を基にした考察は過去にもなされているが、著者はそこにとどまらない。
専門病院に収容された兵士はごく一部であるからだ。
見落とされた患者、戦争中の精神疾患を巡る軍部や世間といった社会構造にも迫っている。
専門書なので、やや難解ではあるが、単なる知るべき「歴史」ではなく、精神疾患への偏見や、患者とその家族への影響、海外に派遣された自衛隊のメンタル…などなど、いまにもつながる重要なテーマだということが伝わってくる。