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商品説明
南方戦線で生き残った水木しげる、本土の大空襲を生き延びた手塚治虫…。戦後、彼らが描いた漫画に通底するのは廃墟のイメージだった。人間にとって廃墟とは何なのか。戦後史と漫画家たちの個人史を重ねあわせて綴る。【「TRC MARC」の商品解説】
水木しげるは南方戦線で左手を失い、赤塚不二夫やちばてつやは中国大陸で幼年時代を過ごして敗戦後の戦地での修羅場を経験し、手塚治虫は大阪大空襲で瓦礫と死体の山を見た。
戦争の時代を生きた漫画家にはどこか心に闇をかかえ、破滅志向がある。戦後生まれの大友克洋の作品にも廃墟の残響が聞こえる。では、「新世紀エヴァンゲリオン」は……。戦後漫画がもつ滅亡のイメージから、近代の文明・文化を考える。【商品解説】
戦後漫画に影を落とす、廃墟のイメージ
水木しげるは南方戦線で左手を失い、赤塚不二夫やちばてつやは中国大陸で幼年時代を過ごして敗戦後の戦地での修羅場を経験し、手塚治虫は大阪大空襲で瓦礫と死体の山を見た。戦争の時代を生きた漫画家にはどこか心に闇をかかえ、破滅志向がある。戦後生まれの大友克洋の作品にも廃墟の残響が聞こえるが、「新世紀エヴァンゲリオン」は……。戦後漫画がもつ滅亡のイメージから、近代の文明・文化を考える。【本の内容】
目次
- 序 章 水木しげるの「戦争」
- 劣等生、召集される
- 「総員玉砕せよ!」
- 第一章 満洲の崩壊のなかで
- 敗戦前の満洲国
- 帝国の崩壊
- 敗戦後の日々
- 母ちゃんがあぶない
- 葫蘆島に向かう無蓋列車の記憶
著者紹介
桜井 哲夫
- 略歴
- 〈桜井哲夫〉1949年生まれ。東京大学大学院社会学研究科国際関係論専攻博士課程単位取得満期退学。東京経済大学コミュニケーション学部教授。専攻はヨーロッパ社会思想、近現代社会史、現代文化論。
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新著案内
2015/03/05 14:33
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投稿者:桜井 哲夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『手塚治虫ー時代と切り結ぶ表現者』(1990年)以来、25年ぶりの漫画論となる。マンガではなく、「漫画」と表記しているのは、この書物の内容が「マンガ」というカタカナ書きでは伝わらないと感じたからである。目次をみてもらえばわかるように、戦中、戦後の日本の歴史と漫画家たちの個人史とを結びつけて論じた。個人個人の点と点があちこちでぶつかって、全体の物語がつむがれてゆくスタイルをとっている。かつて『占領下パリの思想家たち』などで用いた手法と基本的に変わらない。
敗戦後70年の節目の年に、再びこのような形で漫画を論じようとは思いもよらなかったが、時代の危機にある今こそ戦後漫画の原点をみすえるべきときだと思う。「廃墟」は人々の「記憶の場」である。単なる残骸ではない。手塚治虫をはじめとする戦後の漫画家たちは、この「記憶の場」たる「廃墟」から出発した。「廃墟」は、戦後漫画の根源にあるメインテーマである。終章で、もともとアニメである「エヴァンゲリオン」に触れたので、目次を見てtwitterで反応する人々がいたが、「エヴァ」は、本筋の廃墟の物語ではないことを指摘しただけである。この本に主役はいない。多くの漫画家たちを中心とする群像劇である。漫画家以外にも安部公房や森繁久弥、小松左京、その他大勢の登場人物がいる。あえて一貫して登場して役割を果たす人物としてあげるなら、『『ガロ』を創刊した長井勝一である。お楽しみいただきたい。