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紙の本
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2015/03/05 14:33
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投稿者:桜井 哲夫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
『手塚治虫ー時代と切り結ぶ表現者』(1990年)以来、25年ぶりの漫画論となる。マンガではなく、「漫画」と表記しているのは、この書物の内容が「マンガ」というカタカナ書きでは伝わらないと感じたからである。目次をみてもらえばわかるように、戦中、戦後の日本の歴史と漫画家たちの個人史とを結びつけて論じた。個人個人の点と点があちこちでぶつかって、全体の物語がつむがれてゆくスタイルをとっている。かつて『占領下パリの思想家たち』などで用いた手法と基本的に変わらない。
敗戦後70年の節目の年に、再びこのような形で漫画を論じようとは思いもよらなかったが、時代の危機にある今こそ戦後漫画の原点をみすえるべきときだと思う。「廃墟」は人々の「記憶の場」である。単なる残骸ではない。手塚治虫をはじめとする戦後の漫画家たちは、この「記憶の場」たる「廃墟」から出発した。「廃墟」は、戦後漫画の根源にあるメインテーマである。終章で、もともとアニメである「エヴァンゲリオン」に触れたので、目次を見てtwitterで反応する人々がいたが、「エヴァ」は、本筋の廃墟の物語ではないことを指摘しただけである。この本に主役はいない。多くの漫画家たちを中心とする群像劇である。漫画家以外にも安部公房や森繁久弥、小松左京、その他大勢の登場人物がいる。あえて一貫して登場して役割を果たす人物としてあげるなら、『『ガロ』を創刊した長井勝一である。お楽しみいただきたい。
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