「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
紙の本
ミュージシャンになる方法 (寺子屋ブックス)
著者 加茂 啓太郎 (著)
CDデビューするために、最も効率のよい方法は何か。巷に流布する間違いだらけの「なる方法」の虚実を暴き、プロのミュージシャンになるための最短コースと心構えを、現役辣腕ディレ...
ミュージシャンになる方法 (寺子屋ブックス)
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
CDデビューするために、最も効率のよい方法は何か。巷に流布する間違いだらけの「なる方法」の虚実を暴き、プロのミュージシャンになるための最短コースと心構えを、現役辣腕ディレクターが具体的に紹介・解説する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
加茂 啓太郎
- 略歴
- 〈加茂啓太郎〉1960年東京都生まれ。83年東芝EMI入社。邦楽の制作、宣伝、新人発掘の業務に携わる。
関連キーワード
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
絶対にありっこないミュージシャンになる方法、それを知りつつ書く著者の自己矛盾がなぜか笑える
2001/03/22 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中山康樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビートルズは英デッカ・レコードのオーディションで蹴られ、ようやく契約できた相手はパーロフォンという、大手EMI傘下の小レーベルだった。やがてイギリスで旋風を巻き起こすも、アメリカのキャピトル・レコードはまるで無視、ビートルズはしぶしぶ弱小マイナー・レーベルと契約、念願のアメリカ発売にこぎつける。キャピトルからの全米デビューはそのあとのことである。
マライア・キャリーはいつか歌手になることを夢見て、狭いアパートで貧困生活を送っていた。友人にあるパーティーに誘われ、音楽業界の人間もくるということから、ダメモトでデモ・テープをポケットにしのばせていく。それをパーティーで紹介されたレコード会社の人間に渡したことがデビューのきっかけだった。
というわけで「ミュージシャンになれた方法」や「成功のきっかけ」を紹介することはできるが、その「方法」を紹介することはできない。なぜならミュージシャンになる方法も成功する方法もハナから存在しないからである。そしてそれはミュージシャンや音楽にかぎったことではない。
にもかかわらず世の中には、「答え」や「正解」がないことがわかっているにもかかわらず、さも方法や秘訣があるかのように断定、紹介するハウツー本が少なくない。そして「答え」がないことを知りつつ書く人、こんなものを読んでも役に立たないということを知りつつ読む人との幸せな関係は、各分野において依然としてつづいている。
思うにこの種のハウツー本の最大のテーマは、それを読んだ人間に読後「ああ、やっぱり“方法”なんかないんだ、こんな本に頼った自分が甘かった」と思わせることだろうが、その点、本書はじつに見事にハウツー本の役割をはたしている。
そもそも著者が「ミュージシャンになる方法」などない、「この本を読んでいるような人間のなかからミュージシャンが生まれるとは思えない」という視点から音楽業界のあれこれを紹介し、ゆえに世のハウツー本にみられがちの「押しつけ」がまったく感じられない。
では、この本はなんのために、誰のために存在するのか。いうまでもなくミュージシャンになりたい人のために存在する。彼らは、それが無駄であることがわかっていながらこの種の本を読み、やっぱり無駄だったという「安心感」を得る。いいかえれば、それを得るためだけに読む。
個人的には、「答え」のないミュージシャンになる方法を探るまえに「音楽」とはなにかということを深いレヴェルで知る必要があると思う。 (bk1ブックナビゲーター:中山康樹/音楽評論家 2001.03.23)