ひとりでおとまり （こどものとも絵本）

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　扉絵の、楽しそうな表情でリュックに荷物を入れている、｢まり｣の様子からも窺える、このわくわく感は、初めて友だちの家に泊まりに行く、特別な日であることがよくわかる。

　｢まるやまあやこ｣さんの絵は、前回読んだ『たんぽぽのふね』と共通した、紗のかかったような美しさがあり、ここでは幻想的というより、過去に同じ体験をした大人が読んだときに思い起こす、ノスタルジアを感じさせるが、それに加えて、見返しも含め、淡い暖色系をふんだんに使うことで、まりと、その泊まり先の友だち｢あやの｣、二人の楽しい気分を表しているようで、やわらかくも温かい雰囲気に包まれているのが、なんとも心地好く、それは、二人で夕ごはんを食べたり、二つ並んだふとんで遊んだりといった、初めての新鮮な体験による、無邪気な笑顔からも感じさせられる。

　しかし、そんな中でも、数少ない暖色系ではない場面に於ける、まりの主観で眺めた見開きの絵には、心当たりのある方もいると思われる、その独特な雰囲気を五感で感じ取ってしまった様子にハッとさせられたものの、そこは、かつて体験したことのある人ならば、きっとその気持ちが良く分かることを実感できた、そんな様子を見て、こうしたことも世代問わず、ずっと変わらずに受け継がれていくのだろうなと思わせたのは、人と人の繋がりの温かさがあるからであり、それがあれば、寒色系の景色もたちまち様変わりする、人の為せる力であると共に、改めて我が家の良さにも気付くことが出来る、この絵本は、今週末の連休等に、初めてお泊まりをする、子どものお供にも最適な一冊だと思います。