「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
「幽霊戸籍」をテーマに放映されたNHKドラマ「空白の絵本」を小説化。ヒロシマに生きた少年少女たちの詩や言葉をそのまま引用し、平和への願いを込めて新たに描く。『季刊文科』連載を書籍化。【「TRC MARC」の商品解説】
テレビドラマを小説化!
幽霊戸籍とは何か!
もののけの宿とは何か!
その子にとってヒロシマとは何か!【商品解説】
目次
- 空白の絵本
- 幸福のはずかしさ
- 死者の声
- もののけの宿
- 『この世界の片隅で』を読む
収録作品一覧
空白の絵本 | 5−33 | |
---|---|---|
幸福のはずかしさ | 35−67 | |
死者の声 | 69−110 |
著者紹介
司 修
- 略歴
- 〈司修〉1936年生まれ。画家、小説家。法政大学名誉教授。「犬」で川端康成文学賞受賞。著書に「幽霊さん」「戦争と美術」などがある。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
死者たちの声を聴く
2022/04/11 09:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
原爆に関する児童書/若い人にも分かるように書かれた本は、たいてい作者が決まっている。戦争や原爆の体験者や児童文学作家。司修という名前には、見覚えはあったものの、すぐには思い出せなかった。
「空白」という言葉と、白い表紙。半分、興味本位で手に取ったが、とても不思議な読後感、余韻の残る原爆の物語だった。
家族ごと全滅し、死亡の届さえ出せず、戸籍上は生きたことになっている「幽霊戸籍」について知った作者が脚本を書き、30年余り前に放映されたNHKドラマを、時を経て自身で小説に仕立て直したもののようだ。
ドラマで主人公が独白でナレーションするような、独特な文体。
読むより語りに適した言葉で、物語がつづられている。合間に実在した少年少女たちの詩や手記が挟まる。慣れるまではちょっとつかみどころがない感じがしたが、読む者はそれも含めて作品世界に誘われる。
原爆は一瞬にして無数の命を奪い、その命がどれほどあったのか、いまだに実数さえつかめない。その死者たちの声に、原爆孤児だった母とその娘が耳を傾ける。
原爆は落とされた瞬間だけでなく、その後も、そして今なお被爆者を苦しめる。でも原爆の被害は、いわゆる」被爆者だけにとどまらない。
「幽霊戸籍」として生き続ける死者、原爆孤児、広島市にいなくても、市外から救護や入市で被爆した人たち。さまざまな苦しみに、そっと視野を広げさせてくれる。
読んでようやく、作者は、松谷みよ子さんの「まちんと」「ふたりのイーダ」の挿画の人だ、と思い至った。