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紙の本
死者たちの声を聴く
2022/04/11 09:04
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投稿者:BB - この投稿者のレビュー一覧を見る
原爆に関する児童書/若い人にも分かるように書かれた本は、たいてい作者が決まっている。戦争や原爆の体験者や児童文学作家。司修という名前には、見覚えはあったものの、すぐには思い出せなかった。
「空白」という言葉と、白い表紙。半分、興味本位で手に取ったが、とても不思議な読後感、余韻の残る原爆の物語だった。
家族ごと全滅し、死亡の届さえ出せず、戸籍上は生きたことになっている「幽霊戸籍」について知った作者が脚本を書き、30年余り前に放映されたNHKドラマを、時を経て自身で小説に仕立て直したもののようだ。
ドラマで主人公が独白でナレーションするような、独特な文体。
読むより語りに適した言葉で、物語がつづられている。合間に実在した少年少女たちの詩や手記が挟まる。慣れるまではちょっとつかみどころがない感じがしたが、読む者はそれも含めて作品世界に誘われる。
原爆は一瞬にして無数の命を奪い、その命がどれほどあったのか、いまだに実数さえつかめない。その死者たちの声に、原爆孤児だった母とその娘が耳を傾ける。
原爆は落とされた瞬間だけでなく、その後も、そして今なお被爆者を苦しめる。でも原爆の被害は、いわゆる」被爆者だけにとどまらない。
「幽霊戸籍」として生き続ける死者、原爆孤児、広島市にいなくても、市外から救護や入市で被爆した人たち。さまざまな苦しみに、そっと視野を広げさせてくれる。
読んでようやく、作者は、松谷みよ子さんの「まちんと」「ふたりのイーダ」の挿画の人だ、と思い至った。
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