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商品説明
古い友人につれられて入った店は一軒のシガーバーだった。タバコはやらないと躊躇する私に、彼は「ここはただのシガーバーじゃないんだよ」と言い…。新世代のショートショート作家のちょっと不思議な20編を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
星新一の流れを受け継ぐ新世代ショートショート作家の旗手、初の単行本!
田丸ワールド全開の、ちょっと不思議な20編。
――名うての読み巧者たちが大絶賛!――
うん。面白い。綺麗だったり、楽しかったり。 新井素子
ぶっとんだ奇想と一握の抒情。SF系SS(ショートショート)の理想形。 大森 望
友人の家に上がり込んで話を聞いてたら、身の回りの物が踊り出した! そんな感じの驚きでいっぱい。 瀬名秀明
水野葉舟、城昌幸、星新一へと受け継がれた掌篇ニッポンの系譜に、新たな可能性を拓く才能が出現した! 東雅夫
理がかようナンセンス! 珍無類なロジック! 牧眞司
(※お名前は五十音順で掲載)
【商品解説】
目次
- 1.蜻蛉玉
- 2.妻の力
- 3.大根侍
- 4.みみずの大地
- 5.白メガネの男
- 6.リモコン
- 7.文字
- 8.試練
- 9.千代紙
- 10.干物
収録作品一覧
蜻蛉玉 | 5−12 | |
---|---|---|
妻の力 | 13−24 | |
大根侍 | 25−48 |
著者紹介
田丸 雅智
- 略歴
- 〈田丸雅智〉1987年愛媛県生まれ。東京大学大学院工学系研究科卒。光文社文庫「物語のルミナリエ」に「桜」が掲載され作家デビュー。若手ショートショート作家を代表するひとりとして活躍。
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紙の本
意外性で攻めてくるショートショート。
2018/11/05 23:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たけぞう - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の考えがあとがきでよく分かります。
>何らかの意外な結末をもった世界観のある物語を作りたい。
>そのために幻想、シュール、ナンセンスの三つの軸を意識する。
この本が初めての作品集なので、実質的なデビュー作に
あたるようです。星新一さんのショートショートに魅せられ、
アンソロジーの文庫に一つの作品が収録されてデビューし、
最初は電子雑誌を中心に活動したようです。
おそらくこの本で一定の評価を得たから、のちの作品群が
生み出されたのでしょう。師匠は星新一の弟子である江坂遊
という人で、星新一の流れを組むオマージュ感があります。
おやつみたいに軽く読めて、ショートショートの良さが出ています。
十ページ前後の作品がニ十本並びます。
蜻蛉玉、大根侍、干物、星を探して、夢巻などが
気に入りました。他の作品も自分の趣味とは違うものの、
内容はしっかりしているので、なかなかの出来栄えです。
その中でも表題作の夢巻が秀逸でしたね。こんなお話です。
古い友人に連れられて入った店はシガーバーでした。
悪いけどタバコはという私に、ここはただのシガーバーじゃ
ないんだよと彼に招き入れられます。
小学校の卒業式以来、突然の電話で呼び出された私。
だから、彼なんて呼びかたをする距離感の微妙な関係です。
席につき、話しを掘り下げようとしたところで、
店の人が葉巻と灰皿、そしてマッチを持ってきました。
タバコを吸わない私は、葉巻に興味がありそうなそぶりを
見せながら彼の心をはかりかねています。
すると彼は、私の言葉を待っていたかのように口を開きます。
「あいにくこれは葉巻じゃなくってね」
ひと呼吸おき、「ユメマキといって」「なんだって?」
吸ってみれば分かるさとの言葉に押され、口にくわえてみると
私の頭に強烈なイメージが流れ込んできたのです。
それは夏の景色でした。
クマ蝉、虫取り網、木から木へと渡り歩く自分。
ユメマキとは、子どもの思い出が詰まった代物だったのです。
だって夢巻は、子どもの作文から作るのですから。
友人は私に、子どもの頃の作文や文集、テストなども
全部持ってこさせていました。やっと理由が分かりました。
これで夢巻を作れば……それはそれ、なぜ友人が
私を呼びだしたのでしょう。
そんなお話です。
へええ、という言葉がよく似合う一冊でした。
紙の本
シュールなのに温かい
2016/03/01 00:40
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
本作はショーショート作家、田丸さんの初単行本です。
どの作品も幻想的でシュールなのに温かい作品で、星新一っぽさを感じます。一方で、物に命を吹き込んで作品にする発想力は田丸さんの方が上かもしれないと思いました。例えば表題作の「夢巻」のテーマは、作文+葉巻。一見ミスマッチだけど面白いし、きちんとオチがあります。
本作が気に入ったら「海酒」も併せてぜひ。