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紙の本
後世に多大な弊害を遺した小泉元総理
2009/01/05 20:27
11人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
『文藝春秋』02年2月号、4月号掲載の記事を、単行本化(02年4月)、文庫化(05年4月)したものである。 雑誌掲載時も、当時の小泉総理(在職01年4月~05年10月)についての評価が低いことが話題を呼んだと思う。
在職期間が60日前後に過ぎないために採点不能とされた東久邇宮、羽田両元総理を除き、初代伊藤博文以来56名(当時)の総理大臣の内で、小泉純一郎がブービー、近衛文麿がブービーメーカーとなっている。
小泉評価は雑誌掲載時は29点となっていたが、近来では珍しい長期政権となったのにもかかわらず成果があまりにも乏しいということから、「27点」に下方修正されている。ちなみに「30点以下」とは「明確に国を誤り、国家社会に、重大な危難をもたらした。もしくは後世に多大な弊害を遺した」というものである。適正な評価であろう。
「夏の休暇を芦ノ湖で過ごした際、各省の枢要な官僚たちは、きっと勉強のために呼ばれるだろう、とみな準備万端用意して待っていた。が、誰も呼ばれなかった」「言葉は鮮やかだが、前後の脈略はまったくない。学ばない上に、聞く耳をもたないので、スタッフはすべて首相の顔色をうかがうばかり、節操のないイエスマンしか残っていない」(p.194)という部分を雑誌で読んでウンザリしたものだ。
著者に国正武重、中西輝政、保阪正康氏を加えた4名による「大闘論」が第二部となっている(雑誌掲載は0 2年4月号)。 このなかでの小泉首相(当時)の評価を読んでも、情けなくなってきたものであった。 中西氏も小泉首相(当時)の評価は「29点でも随分甘い」と言っている。そして「タレント政治家という言葉がありましたが、小泉さんは逆にもはや政治家がタレントに成り下がった、とでも言うべき存在ですね」と語っているが、その後の無責任な引退声明、後継者という次男の印象、(三流)タレントそのものの長男の姿を見れば、こうした評価が決して言い過ぎではないことが明白であろう。小泉純一郎という人物はどこまでこの国をナメているのだろうか。
08年12月9日、60人を超える議員が出席して「郵政民営化を堅持し推進する集い」という会合が開かれ、小泉元総理が「3年前の(郵政)選挙がどういう選挙だったか、もう一度思い起こしてもらいたい」と語ったという。その直後となる総選挙を数ヶ月以内に控えた現在、我々はまさしく「3年前の(郵政)選挙がどういう選挙だったか、もう一度思い起こさなければならない」だろう。そして、戦前から戦後にわたる政治の流れを概観するためにも本書は極めて有益であると思う。
本書では、56人の歴代総理についての経歴、在職期間、在職中の主なできごと、とともに、2~4頁程度のコメントが載せられており、座右に置く簡便な政治史年表としても有用である。
紙の本
大胆にして便利な叩き台
2011/03/27 12:13
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ががんぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず言えるのは非常に便利な本であるということ。歴代の総理などと言って、いざ調べるとなるとなかなか大変だろう。伊藤博文以来、執筆時の小泉純一郎に至る56人の総理を紹介して寸評を加え、『作家の値うち』同様点数化したものである。点数評価については当然賛否があるだろうが、あくまで便宜的な判断の目安だろうし、読者一人一人で評価が違うことは著者も承知の上のはず。ひとつの試みとして、とくに問題ないと思う。
右寄りで知られる論客だから、そちらに傾いているとも考えられるが、政治家の批評などどうしたってどこかに傾かざるを得ない。むしろ、いわば批評的真っ当さではこの人を私は信用しているし、その点読んでいても満足だった。要するにこれと決めつけなければ、役に立つ読み方ができるはずだ。
それにしても著者が政治の矮小化を嘆く平成以来、ここで語られる小泉さん以後も(小泉さんについては違った評価もありそうだが)、安倍、福田、麻生、鳩山、そして現在の菅総理に至るまで、どれもあまり頼りにされていない宰相であることを考えると、この国の未来は不安だとあらためて思う。