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紙の本
包帯クラブ (ちくまプリマー新書)
著者 天童 荒太 (著)
傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける長編小説。【「BOOK」データベ...
包帯クラブ (ちくまプリマー新書)
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商品説明
傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける長編小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
これは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした、ある小さなクラブの記録であり、途中報告書だ…。いまの社会を生きがたいと感じている若い人たちに語りかける、傷ついた少年少女たちの感動的な物語。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
天童 荒太
- 略歴
- 〈天童荒太〉1960年愛媛県生まれ。作家。「白の家族」で野性時代新人文学賞、「孤独の歌声」で日本推理サスペンス大賞優秀作、「家族狩り」で山本周五郎賞、「永遠の仔」で日本推理作家協会賞を受賞。
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紙の本
傷ついた心に、包帯を。
2007/05/08 15:51
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
人はみな、心にたくさんの傷を追って生きていく。
子供達もまた、心にたくさんの傷を追って成長していく。
その傷は擦りむいた膝小僧なんかより、何倍も何倍も痛くて。
死にたくさえなってしまう事もある。
そんな時、周りにいる者はどうもしてやれない無力感に苛まれる。
心の傷を治す薬を持たない自分が、悔しくてしょうがない。
でもそんな時。その傷にそっと包帯を巻いて上げられたら。
その傷を傷として認めて、その傷の業と一緒に包んで上げられたなら。
この作品のように、本物の包帯で巻いてあげなくてもいいのかもしれない。
心にそっと包帯を。そんなキモチ。それでいいんじゃないだろうか。
直接心の傷を治す薬は、誰も持ちえないのだから。
心の傷を治すのは、結局自分の心の力でしか、無いのだから。
それまで真白な包帯で、そっと包んで上げれば、それでいい。
紙の本
このオハナシばかりは読後感で世代差が出てしまいました。高一と高三の娘二人は絶賛、私はちょっと保留
2006/04/08 16:14
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ちくまプリマー新書の一冊で、この新書に小説が入る、それも書き下ろしの、とは思っていなかったものですから広告を見たときは半信半疑で、正直、手にした今でも「うそでしょ?」と思っています。正直、いくら品がいい新書だからって、装幀くらい変えろよ、っていいたくもなります。
その素晴らしい装幀は、クラフト・エヴィング商會。限りなく和の風情を漂わせながら、べとべとしない。ちょっとレトロだけれど、都会的。色もあっさりしていて上品。こういうセンスは、この会社?だけのものでしょう。大好き!しかもです、包帯クラブに The Bandage Club って英文字を入れるあたりが、上手い。
さて、最初に書いておけば、この小説を読み終わった高二(今度、高三)長女は、「いいよ、このお話」っていいました。親譲りで、どちらかというと甘めの展開にはダメをだすのが普通ですから、今回もてっきり×かと思っていたんですが、そうじゃあない。ま、主人公たちの年代もあって共感しやすい、ということもあるんでしょうが、それだけじゃあないでしょう。
構成も、実はかなり凝っていて、捻りもありますし、単にハッピー!っていう展開もしない。挫折もしっかりあるわけで、それを乗り越えるのだって、コミック風の劇的なというか造り物めいてはいないわけで、そこが評価されたのかな、なんて思います。それでいて、私に言わせればやっぱり小説だよな、って思えるところがあって、そこが娘と私の評価の差となって出てきています。
小説の紹介とくれば主人公を、というのが決まり事ではあるんですが、このお話で主人公を一人に絞る必要があるかといえば、ま、無理することもないかな、と思います。とりあえず最初に出てくるのが、タイトルにもなっている包帯クラブが出来た当時、16歳、高校二年生のワラ、こと笑美子が名前です。
ワラについての情報が一番多いのでついでに書いておけば母は自称34歳、実際は44歳という強かな女性、弟は二歳年下の性にたいする好奇心が活発化する14歳。で両親は17年前に結婚したのですが、5年前に父親が女を作ってしまい離婚。ですから母子家庭ではあるわけです。
そのワラが授業をサボって久遠市の中央地区にある総合病院の屋上にいたとき「彼女、そこの包帯ほどけている女子高生。パンツのひももほどけて動かれへんのかな」と声をかけてきたのが、後にクラブの一員となるディノこと井出埜辰耶です。実はワラより一つ年上ですが留年して、ワラとは違いますが今も北地区の進学校の高校二年です。学業に関しては優秀ですが、昨年からおかしな行動を取るようになって、周囲から白い目で見られています。
その屋上で、ワラが行なったこと、それが「包帯クラブ」となっていくわけです。自分の心がそこで傷付いた、そういう場所を捜しては包帯を巻いていくこ。それで、本人の心が癒されていく(流行り言葉で私は大嫌いなんですが)。その輪が広まっていきます。それゆえの障害も生まれるんですが・・・
他の登場人物を書いておけば、ワラと同じ高校に通っているのが中学時代に部員が四人の『方言クラブ』をやっていて、今も友だちのタンシオこと丹沢志緒美です。二人の違いはいろいろあるんでしょうが、一番の違いは、高2になる春休みにセックスも経験済のワラ、未体験ゆえに純情で失恋に哀しむタンシオということになります。
凄く面白い、っていうのではありません。どちらかというと、カバーデザイン同様、微温的な、ぬるま湯につかるような心地よさ。といって単にファンタジックかっていうと、登場人物たちは現代的な苦しみに心を傷つけています。ただ、それもドロドロのものではなく、ありがちなもの。天童って坦々とした話も書けるんだ、と再認識。
紙の本
傷、痛い、不安。
2006/03/18 22:08
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:〜花巻温泉〜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
天童荒太の著書を読むのは、「永遠の仔」以来。
物語は、中学生時代にクラブを一緒に立ち上げた「親友」たちが高校生になって、微妙に距離感に変化が生じ。それぞれに悩み、不安があり。物語はあくまでも高校生を中心に語られる。大人の存在は薄い。
『人が受けた深い傷に、わたしたちができることはほとんどないように思う。でも、相手の沈む心を想いながら包帯を巻くことで、<それは傷だと思うよ>と名前をつけ、<その傷は痛いでしょ>と、いたわりを伝えることは出来るかもしれない。』
そんな思いから、高校生になった彼女たちがたちあげたのが、「包帯クラブ」。傷の舐めあい、失態の暴露ごっこか、と読み進んだ。クラブの運営にも曲折があり。そして彼らは大人になり。
自分は今まで、どんな傷を、いくつ、つくってきたかな。忘れてきたかな。その傷を、誰かと分かち合うことができたかな。誰かの傷を「ここに、傷があるね」と手を当ててあげたことがあったかな。
そんなことに、思いがおよぶ。